プロローグ
【タイトル、着いてきてくれた→付いてきてくれた】
俺はユウ、支援術師・・・後方で味方にバフをかける役割だ。
「おい、ユウ!テメェはここでクビだ!」
俺の所属するパーティー《鈍色の光》のリーダーであるカッシュは唐突に叫んだ。
「え?」
「え?じゃねぇよ!!テメェはバフかけたら後ろで手をついて眺めてるだけの愚図のくせに!!」
「いや、アレは俺のバフの性質上仕方ないことで・・・」
「知らねぇよ!!!確かにお前のバフは他の支援術師より強いけど他に何もできねぇならいらねぇ!!他の支援術師に声かけてあるから荷物まとめて失せろ!!」
横暴な物言いだが理解はできる。俺のバフは自分の行動を制限する代わりにバフの倍率を跳ね上げてある。
「わかったよ、世話になった。」
ふんぞり返るカッシュに一瞥し出て行こうとしたところで物陰から聞き耳を立てていたであろう人たちが飛び出してきた。このパーティで特に俺と仲良くしてくれていた、ソフィーさん、モニカ、メイリアだ。
「納得できません!!これまでパーティに貢献してくれていたユウさんにその仕打ちはあんまりです!!」
モニカは必死に説得しようとしてくれている。
「良いよモニカ。カッシュの言っていることは正しい。バフの倍率が高くても他のサポートが出来ないんじゃ足引っ張ることもある。」
「なら私もこのパーティを辞めます!!」
モニカが脱退を宣言し、それを皮切りに
「私も〜」
メイリアが乗っかり
「私もです。」
ソフィーさんも便乗する。
「チッ!好きにしやがれ!」
そう吐き捨ててカッシュたちは去っていった。
元々大所帯なパーティだし戦力の低下はそこまでないだろうけど、この3人は協調性もあり特別強いと言うわけではないが安定した戦闘をすることで有名だった。
「すまん。みんなを巻き込んで。けど俺のためにここまでしてくれたのは嬉しい。ありがとう。」
「そんなこと気にしないでください!私たちは仲間じゃないですか!それに私をここまで鍛えてくれたのはユウさんですよ!」
「そうだよ〜。私たちはもう家族みたいなものだよね〜」
「はい。私たちはいつでも味方です。」
3人とも優しい言葉をかけてくれる。本当に心優しい思いやりのある人たちだ。
「さぁ!これからどうしますか?」
「俺はとりあえずギルドに戻って脱退手続きしてくる。」
「そうですね。それがよろしいと思います。では私たちは宿の手続きをしてまいります。」
「助かる。それじゃあまた後で。」
「はい!また会いましょう!」
そう言って俺はギルドに向かい歩を進めた。