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九話 神殿の要請がきました

 イティシアは馬車が来ると中に乗って手紙を開いた。

 「結界の強化のために各地を回ることになる。早急に話を進めたい」

 要件を分かりやすく簡単にまとめた結果こうなったのだろう。だが、ここまで急いだとなれば急用だということ。

 「気を引き締めないと」

 「神殿に着きました」

 私は馬車を下りて中央神殿へと向かう。本当は通るために証明書を出さなければいけないのだが、ここの者たちに面が通っているので何も言わなくても入れることができる。

 私は神職者の一人に案内してもらいながら会議が開かれる場所へと行く。

 「これで揃いましたね」

 ユーストは神職者の中でも偉い地位に君臨しているらしい。神殿長を任せられるくらいと言っていた。

 「今回の会議の目的。それは結界の強化です。実行は早い方がいいでしょうから二週間後に。イティシア様の能力を使うことになりますが、大丈夫でしょうか」

 「大丈夫です」

 「魔物が狂暴化しているという事で魔物の住む地域と近い場所では結界の強化の要請が出ています。イティシア様にはそこに向かってもらいます。イティシア様には学院を二週間の間休んでもらい、結界を張るための準備に取り掛かってもらいます」

 星の旅人には神から力が与えられる。私も例外なく、神に力を与えられた。その力は莫大な魔力と全聖女の能力を使えるということを先程案内された神職者に伝えられたところだった。

 神職者はここまで神に愛された者は初めてです。と言っていたがこんな大事なこと何で言ってくれなかったんだという気持ちの方が大きかった。さっき私は魔力測定器で魔力を測ろうとしていたんだから。そういう事もあるから神職者は手を回して私に手を触れさせるさなと学院に言ったんだろうが。

 もっと大事なことはこういうことが起こる前に言ってほしいものだ。 

 「そしてイティシア様の護衛を選びたいのですが、何かイティシア様から要望はありますか?」

 「聖騎士と魔法師、そして神職者は絶対ですよね。それと私が学院を開けることは学院に話しを付けているんですか?」

 「もう手は回してあります」

 「では、もう一つ。このことを言いたい方がいるのですが」

 「どなたですか?」

 「私の婚約者のリベルタ様です」

 「あの方なら言っても大丈夫でしょう」

 「ありがとうございます」

 「では、これで解散。細かいことはこれから話し合う。ルアケルト殿とアメオラ殿は残っていただきたい」

 三人を残して皆部屋を出た。私も部屋を出ると馬車へと向かい、馬車で学院に戻った。

 学院に戻ると昼食を取る時間となっていた。

 私は食堂へと向かい、リベルタの元へと行った。

 「リベルタ様。お話したいことがあります」

 「これ、修羅場か」

 ディアストはセラストニに腹を肘で殴られていた。

 「分かりました」

 リベルタは立ち上がり、誰も居ない部屋へと向かった。

 「私は明日から学院を休みます。神殿からの要請で、結界を張りなおすので二か月ほど学院を開けます。お父様に話す時間を取れそうにないのでこの話を話せるところで話しておいてください」

 「分かりました」

 「では、お願いします」

 歩こうとすると私の手はリベルタに掴まれる。

 「離してください」

 「嫌です」

 「またキスしたら殴りますよ」

 明らかにリベルタが近寄って来ているが分かっていたので一応注意はしておく。

 「何であなたはそう極端すぎるんですか。それに、好きでもない相手とそういう事をするほど私は軽い女ではありません」

 私はリベルタの方を見る気にはならなかった。彼に失望したからだ。

 「あなたのことを勘違いしていました。これ以上に私に構わないでください。それが守れなければ婚約破棄をして、私は神殿に籠ります」

 これが一番リベルタに関わらない方法だ。やろうと思えばやれる現実的な考えを出す。

 「では失礼します」

 外に繋がる学院の扉を開けると神殿の馬車が止まっていた。私はその馬車に乗り、また中央神殿へと戻った。

 中央神殿へ戻ると、見たことのある顔が揃っていた。

 「オベリア様。これはどういうことですか?」

 中央神殿に集まっていた魔法師の中の一人の知り合いに話しかける。

 「神殿でイティシア様を守るために誰を連れて行くか見極めるそうです」

 「それって私が決めちゃ駄目なんですか?」

 「よろしいと思いますが、それでイティシア様を守れなかった場合、それを許した者の責任となります」

 それじゃ、これを計画している人のせいってことになるのか。それは嫌だ。

 「じゃ、ユーストと一緒に選定を行うのはどうですか?」

 「それなら大丈夫だと思います。ユースト様は魔法師の素質もあり、魔塔の主人の候補者とも言われた方ですから」 

 誰も被害を受けないやり方の方がいい。私の意見も取り入れられるし。

 「では、ユーストを呼んで選定を行いましょう。会議はもう終わっているでしょうし」

 「分かりました」

 近くにいた神職者にそう言うと、神職者は会議室に向かって歩いて行った。

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