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二話 星の旅人って大変そうですね

 「神殿の方がどうして私に?」

 「あなたが星の旅人、預言者かを調べるためです」

 神殿に報告したのか。もしかしてそれを取り締まるのは神殿の役目?

 「はい。どうぞ」

 預言者かは分からないが星の旅人なのは確かだ。

 「では、ここに手を当ててください。星の旅人かどうかを調べる水晶です」

 言われた通りに私は手を水晶に当てる。すると、水晶は白い光を放った。

 「星の旅人ですね」

 「あの、私保護とかされるんですか?」

 「任意ですので、ここに居たいというのなら大丈夫です」

 「そうですか」

 やっぱり予想通りだった。聞いておいてよかった。

 「ユーストさん。私は騒ぎになりたくないと思っているのです。なのでこれを隠すことってできますか?」

 「ええ、出来ます」

 「なら、お願いします」

 「では、次に預言者かどうかを調べます。この水晶に手を当ててください」

 また違う水晶を出されてその水晶に手を当てた。だが、先程のように光はしない。

 「光りませんね」

 「そうですね」

 んーとユーストは唸っている。

 「あの、私がなぜこの世界について知っているのか説明した方がいいですよね」

 その方が分かりやすいし、私が預言者ではないという理由もわかるだろう。

 「お願いします」

 「まず、私がこの世界を知っているのは私がプレイしていたゲームがこの世界と酷似していて調べているとやはりここがゲームの世界なのだと気づきました」

 「知らない単語ですね。プレイ。ゲーム」

 確かに知らないのも無理ない。この世界にゲームはないのだから。

 今さらだけど何でこの世界の言葉を理解できるんだろう。やっぱり体が覚えているからってことなのかな。

 「ゲームというのは遊ぶための道具みたいなものです。で、プレイは遊ぶという意味です」

 「なるほど。理解しました。あなたのゲームを作った方が預言者ということですね」

 確かにこのユーストという人の言う通りだと思った。この世界でこの世界のことを知っている人のことを預言者というのならこの話を作り出した人物こそが預言者なのだろう。

 「では、これを」

 ユーストは私にペンダントを渡した。

 「これは何ですか?」

 「あなたを守ってくれる魔法具です」

 「なぜこんなものを」

 装飾からして高いに決まっている。前世の私なら絶対に手にできなかったものだ。

 「星の旅人は何かしら理由があってこの世界に来ます。そして星の旅人はあらゆる者たちから狙われる可能性がある。普通は神殿で保護をするのですが、星の旅人がそれを望まないというときはこうやってペンダントを渡して危ない者たちから星の旅人を守れるようにしているんです」

 「ありがとうございます」

 「いえ」

 それからユーストは帰っていった。お母様とお父様はまさか自分の娘が星の旅人何て驚いたよと言っていた。

 そしてこうも言った。

 「私たちがイティシアを守るからな。絶対に」

 「ありがとうございます」

 


 窓際の方で本を読んでいると、馬車を走る音が聞こえたので窓から外を眺めた。案の定馬車は止まっていてその馬車には公爵家の紋章があった。

 私は急いで部屋から出て玄関へと向かった。扉を開けると丁度馬車からリベルタが降りてくるところだった。

 リベルタは私に気づくと走って近寄ってきた。

 「イティシア様。すみません。僕、イティシア様のことを思って神殿に報告したのですが、それがかえって危険に晒されるのだと気づかず」

 リベルタは星の旅人について調べたのだろう。

 「大丈夫です。私のことについては神殿側に隠すようにお願いしましたから。それに、魔法具も貰ったんです」

 私はペンダントをリベルタに見せる。これで少しは安心しただろうか。

 「古代の魔法具ですね。私も初めて見ました。これならイティシア様を守れるでしょう。それに、こんなに焦っていた僕が馬鹿みたいですね」

 「私リベルタ様が来てくださって嬉しかったです。ありがとうございます」

 「そうですか。ならよかったです」

 

 

 私はその一か月後、ベルアバ学院に通うことになった。ベルアバ学院と伯爵邸までは遠いので、学院の寮に住むことになる。そのため、今日の荷物はとても多い。

 「では、行ってまいります」

 「「いってらっしゃい」」

 私は楽しみ半分不安半分で学院に向かっていた。

 学院には攻略キャラのほとんどがいる。不安しかない。

 「ああ、これからどうなるのか」

 危ないことには極力突っ込まないようにしよう。

 そんなことを考えているうちに私は眠りについた。

 「さま。お嬢様!」

 侍女のリアンネが起こしてくれたようだ。

 「着きましたよ」

 扉が開くと私は階段を下りて学院の方を見た。

 「大きいですね」 

 「そうですね」

 私の他にも入学生が居て、皆学院に向かって歩いていた。私もそれに続いて歩いて行った。

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