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捨てられちゃった

相変わらず展開が早いので、ゆったりお読みくださると幸いです。

「………」


あたりには一面の森、森、森。

来ている服はボロ布みたいで、持ち物は0。


…どうしてこうなった。



*—*—*—*—*



おぎゃあああ、おぎゃあああ…

赤子の産声が響き渡る。


「おお、生まれたか!」


「ええ、男の子ですよ、あなた」


「でかした!よく頑張ったな、セリア」


ここはルーカンス王国首都、メナクのとある屋敷。

この日、僕という一つの新しい命が芽吹いた。



*—*—*—*—*



僕が生まれた家、カランベルグ家は代々伝わる魔法に秀でた一家である。

父、エドモンド・カランベルグは宮廷魔法師団長。

宮廷魔法師団とはその名の通り、宮廷直属の魔法師団である。

つまるところ、ここルーカンス王国の最高戦力、エリート中のエリートである。


母、セリア・カランベルグは地域の治療院の院長をしている。

地域のと言っても侮るなかれ、王国内で右に出るものはいないと称されるほどの母の圧倒的な治癒魔法のセンスは治療院開院後すぐに広まり、今や王家御用達(?)の治療院となっているのだ。


僕はクロードと名付けられ、とても大事に育てられた。

3つほどになっても私のさまざまなことへの好奇心は収まらず、いつも落ち着きがなかったと今は思う。

この日も…


「あ〜っ、クロード!魔導書を勝手に読むのはいけないと言っているでしょう!」


魔導書に勝手に手を出して母さんに怒られた。

手を出してはいけないものを3歳児の手が届く場所に置いておくのもどうかと思うが…。


「こういうのはまだクロードには早いんです。もう少し大きくなったら一緒に魔法の勉強をしましょうね」


決まっていつもこう言われる。

まあ、それでわかったと言ってもまた魔導書に手を出すのは毎回変わらなかったが。


「まあまあセリア、いいじゃないか。魔法に興味津々で父さんは嬉しいぞ?いずれは一緒に仕事ができるかもな」


…父さんの方はむしろ魔導書を読むのに協力的であった。

少なくともこの時は、僕はあんなことになるなんて微塵も思っていなかった。



*—*—*—*—*



5歳になってから2ヶ月ほど経ったある日。

朝起きると、なんだか右目の視界だけがぼやけて、見えにくくなっているような感じがした。

鏡で見て見ると、右目だけが赤く染まっていた。

僕は気になった。

階段を降りて、朝食をとるダイニングの扉を開けると、父と母が視界に入る。

そして、右目のことを切り出そうとすると、


「ク、クロード!?どうしたんだその右目は!?」


向こうから聞いてきた。


「うん…今朝起きたらなんだか右目だけ見えにくいような感じがして…」


「…どうしましょう、あなた…私こんなの見るの初めてだわ…」


「…私もだ……」


両親も困惑の声を上げる。

しばらくの沈黙の後、父が口を開いた。


「…とりあえずクロード、その目のことは今はわからないからそのままにしておきなさい。もし何か変化があったら報告するように」


「うん、わかった」


この時は、このことをそんなに重視していなかった。



*—*—*—*—*



6歳になると、いよいよ魔法の勉強が始まった。

やっと堂々と魔導書が読める!

…と思っていたのだが、最初に始まったのは魔導書を使わない訓練からであった。


「クロード、体の中心近くにある暖かいものがあるのがわかる?」


最初に始まったのは魔法の基礎、魔力を感じること。


「うん、わかるよ」


「あら、一発でできちゃうなんて…それじゃあ、その暖かいものを全身に張り巡らせられるかしら?」


やってみる。

全身に、全身に…と、懸命に念じる。

しかし、一向に魔力が動いていく感じはない。


「う〜ん…難しい…」


「さすがにこれはまだ早すぎたかしら?これは魔力循環って言うんだけど、まあ最初はそんなものよ。私なんて魔力を感じるのですら1週間くらいかかったんだから。まあ、気長にやりましょう」


その日の勉強はそれで終わった。





しかし、1週間経っても、1ヶ月経っても、一向に上達することはなかった。

そして、2ヶ月ほどが経ったある日。


「…クロード?どうしたの、クロード!!?」


「どうした、セリア!?…って、クロード!!?」


僕は原因不明の高熱に侵された。

僕はすぐに王立病院に連れていかれた。

母の病院に行かなかったのは王立病院の方が設備が整っているから。

母でさえわからなかった病気だ、魔法で治せるとは考えにくい。


診察の順番が来て、診察室に入る。

医師からいくつか質問を受けて、意識が朦朧としながらもそれに答えていくが…


「う〜む…これといって病気になるようなことはしていませんな…唯一気になるといえば、魔力循環のことでしょうか…」


そう言って医師は、ある検査場に僕を連れて行った。

父と母は外で待機だ。


「それではクロード君、ここに立って、辛いとは思いますがもう一度魔力循環をやってみてください」


熱で頭がグラグラ揺れる中、僕はもう一度魔力循環をしてみた。

その間医師は、なにやら特殊な器具を通して私を見ていた。

数分が経った後、「はい、もう大丈夫です」と声がかかったので、魔力循環をストップした。

…相変わらず魔力は全く動かなかったが。


診察室を出てから、20分くらいが経っただろうか。

診察室に呼び出しがかかった。

3人ともやっとか、という感じで向かい、診察室の扉を開けると…医師が神妙な顔で座っていた。


「それで、どうなんですか、クロードの熱の要因は?」


「…クロード君の熱の原因は、過剰な魔力蓄積だと思われます。器具を通して見てみたところ、魔力が中心部に集まりすぎていることがわかりました」


「そんなにたくさんの魔力が!?すごいじゃないかクロード!」


「そうじゃないでしょうあなた!それで、なんで魔力循環ができないのかは…?」


「…クロード君の目に関係していると思われます。これに関しては私も初めて見るものなのでよくわかりませんが、なんらかの形で右目が魔力循環を阻害しているようです」


「そんな…それじゃあ、右目を治す方法は!?」





「残念ながら奥様、今の技術では不可能です。その目の正確な情報は一つもありませんから。循環ができないので…今後魔法を使えるようになることはないでしょう」





その一言で、母も父も呆然とし、私はといえば朦朧として何が何だかわからなかった。



*—*—*—*—*



家に帰ると、父も母もだんだん状況が飲み込めてきたようだった。

僕も自分の置かれた状況を理解し始めた。

私はすぐに自室のベッドに寝かされた。

しかし、10数分が経っただろうか、父と母の怒声が聞こえてきた。


「あんな子を家に置いておくわけにはいかない!!それこそカランベルグの恥だ!!!」


「自分の子に向かってあんな子なんていうことがありますか!!!」


「そのことが知れ渡ったら私はどんな顔をして魔法師団に行けばいいのだ!!」


「仕事よりも子供のことを優先する気は無いの!!?」


母は相変わらず僕を心配している様子であったが、父の様子は一変していた。

…正直、うるさい。

熱でぐらぐらする頭にガンガン響く。


言い合いはしばらく続き、終わった頃には夕食の時間だった。

結局一睡もできなかった。

夕食を自室で食べ終えると、僕はすぐに眠りに入った。



*—*—*—*—*



次の日も、その次の日も父と母の言い合いは続いた。

僕の高熱はやはり治ることはなく、ずっとベッドに入っている状態だった。


…そんなある日。


時刻は深夜1時を回ったくらいだろうか、いつも通りベッドで寝ていると音もなく誰かが入ってきた。

3、4人いるだろうか、その人たちは何やらコソコソと話している。

内容は全く聞き取れない。

しばらくすると、こちらに近づいてきて、何やら全員右手をこちらに翳してきた。

一体なんだと、僕が起き上がろうとすると、突然、ふわっと体が浮く感覚に襲われた。

ベッドごと浮かされたようだ。

そして、その誰かのうちの1人がこちらに近づくと、今度は僕の目の前に手を翳してきた。


僕の意識は、そこで途切れた。



*—*—*—*—*



朝。

目がさめる。

辺りを見回す。


…そこは森であった。


一面、森、森、森。

一瞬、状況の把握ができなかった。

今、森にいる。

何故?

森。

昨日の出来事。



…捨てられた?




久しぶりの作品投稿。

何を書けばいいのか分からず、以前書いたものの設定が引き継がれている部分がかなり多い…。

なんとか頑張ります。

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