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episode 06 マリスナディア

ここから先は段々と深くシリアスになっていきます。

好みがわかれる内容になっていくので

予めご了承下さいm(__)m

無事霊力がコントロール出来る様になった美紅と綵。

ついこの間まではショッピングしたりカラオケに行ったりと

普通に生活をしていた何処にでもいる若者2人。

神が存在しこの様な世界がまさか本当に存在するなど

針の先にも思っていなかっただろう。

しかし彼女達は、 その世界の一部分を見たに過ぎなかった…。











 〜 マ リ ス ナ デ ィ ア 〜

  M A R I C E N A D I A





−ラピュラリス−



イメージは解放され元の闇へと戻った。

美紅や綵、 ジェラスが今

何をそこに投影しているのかはお互いわからない。

ジェラスはマリスナディアに会うと言った。

しかしこの何も無い世界にいるのは彼等だけ。

一体どういう事なのだろうか。

そしてどういう人物なのであろうか…。



 「もう一度言うがマリスナディアの元へ行くには

 霊力のコントロールができなければ存在できない。

 今のあんた達の霊数なら問題はないが…うま…」


 「霊数ってなんなんですか?」


 「……はぁ」


 「す、 すいません!!

 気になったら聞きたくなっちゃう性格なもんで!!」



『考えるよりも聞け』

これが立花美紅の性質である。

一人で考え込むなら聞いてしまえという

美紅のやっかいな性格。

この様に例え話の途中であっても我慢できなくなり

ついつい口のひもが緩む。

ジェラスは溜め息を吐きながら丁寧に説明を始めた。



 「…霊数とは霊力の量の事だ」


 「霊力の量…」


 「その量が…えと、 マリスナディアさん?

 となにか関係しているんですかぁ?」


 「そうだな…マリスナディアの元へゲートを繋ぐのに

 維持しなければならない霊数は大体で8〜9…。

 あんた達はそれを超えてるから」


 「あたし達いくつなんですか?」


 「イーヴァ、 あんたは…23だ。

 綵…だったな、 あんたは…20だな」


 「えーなんであたし美紅より低いんですかぁー」


 「仕方ない…霊力を初めて解放したんだ。

 それにイーヴァは覚醒していないとは言え

 少なからずとも基礎は出来てたからな」


 「…そのイーヴァって呼ぶのやめてもらえますか〜!」


 「…何故だ?」


 「あぁーもー!!!!

 あたしの名前は立花美紅だからですー!!」


 「まぁまぁ美紅っちぃ…」


 「……そうか…わかった」


 「それで…」


 「…なんだまだあるのか…」


 「その霊数ってどうやって見えるんですか?」


 「…そうだないずれ身につけなければならんからな

 いいだろう。

 ……これも基本は霊力の使い方と同じだからすぐできる」


 「…はい」


 「じゃあ2人共向かい合って」



言われた通り向かい合ってみた。



 「今までは霊力をイメージ、 物質化

 そして浮遊と言う形で使って来たが

 それを浮遊、 物質化、 最後に

 イメージと言う形で霊力を組む。

 相手に送るイメ…」


 「ほ、 ほんとだぁ…。

 美紅…23なんだ」


 「うん…なんか数字が頭に浮かんでくるね」


 「そうそれだ、 あんた達あれだけやったから

 既にコツが入ってたのかもな」



美紅の性格と似たような部分をもつ綵。

一緒にいつも過ごして来たからかそうでないのか

綵もまた気になると知りたくなる性格らしい。

ただ彼女の場合は好意を寄せる者にだけなのだが…。



 「(ジェラスさんの霊数調べちゃえ…)」



綵はジェラスの霊数を調べはじめた。

体重計の数値が前後する様なそんな感覚が頭にフッとよぎる。

だが暫くすると何かにぶつかった様な

衝撃を受け綵は吹き飛んでしまった。



 「いっ…たぁ…い…!」


 「え!? ど、 どうしたの急に…」


 「あんた…俺の霊数見ただろ?」


 「あはは…バレちゃいましたぁ〜」


 「霊数の差があまりにも激しいとそうなる。

 あんた…俺が抑えてる時でよかったな…

 戦闘時だったら消滅してたぞ」


 「し、 消滅って…」


 「きき、 きをつけます〜!!」


 「そんなに知りたいなら教えてやる。

 俺の霊数は……9万だ」


 「き、 9!?」


 「9万…」


 「もういいか? 他に質問がないなら行くぞ。

 こんな感じでは一向に進まん…」



そう言うとジェラスは地面に霊力を放った。

青い光が地面に溶け込んで輝き始める。

そして暫くすると光が収まりその地面はガラスの様な

透明な床へと姿を変えていた。



 「…今から俺がやるから同じ様に霊力を使え」


 「あ、 はい」



ジェラスはガラスの中心まで移動すると

両手を地面に向けて霊気を集め始めた。

そしてジェラスを中心に霊気を少しずつ広げて行く

それが丁度透明な床と同じ辺りまで広がると霊力を放った。

床が強く光を上げながらジェラスを包む。



 「…向こうで待ってる」


 「…え!?」



一言言い残したジェラスは光と共に消えたのだった。



 「あ! ちょっと〜っ!!」


 「えぇ!! マジぃ!!!」



ジェラスは2人を置いて何処かへ消えてしまった。

果たして美紅と綵は無事にここから

ジェラスの待つ所へと行けるのだろうか…。



 「み、 美紅…やり方わかった?」


 「…と、 とりあえず…やってみよっか!!」



美紅が床の中心へとやって来た。



 「えと、 確か…。

 こんな感じだった様な…」



すると光が床から美紅へと昇って行く。

どうやら成功した様だ。



 「や、 やった…出来た…」


 「馬鹿! やったじゃないよ!! どうやったの!?」


 「え〜っと…なんかひろげ…」



説明の途中に美紅は消え去ってしまった。

綵は美紅の名前を叫び続けるが意を決したようで

ぐずりながらも床の中心へと向かって行くのであった。











ジェラスの元に移動できた美紅は

すぐさま引き返そうとするが…。



 「心配ない、 必ずここにやって来る」


 「でも綵、 …わかってなかった気が…」


 「感覚でわかるようになってるから。

 あんたも感じたはずだ」


 「(そう言えばあの床に乗ったらなんとなく…)」



暫くすると綵も無事に到着した。

暗闇の空間からワープして来た場所は何かの建物の中だった。

ジェラスが外に繋がる扉に手をかけゆっくりと開く。

建物から出るとそこは庭園の様な場所だった。

ここも時の無い世界。

しかしこの様な美しい庭園をイメージ出来る程

2人は想像力豊かではない。

いや、 そもそも地球には存在しない景色なので

いくら想像豊かでも決して作り出す事はできないだろう。

ここはそれほど美しかった。



 「…予め言うが、 ここはマリスナディアが支配する空間だから

 いくら想像しても景色は変わらんからな」


 「…は…い…」


 「……綺麗…」


 「…うん…なんか…泣けてきた…」


 「うん…あたし…もぉ…ちょーかんどうして……る」



鳥肌が立つ程の美し過ぎる景色に涙する2人。

光はふんわり淡い色の丁度いい色合い加減。

まるで恋をしているかの様に心臓が高鳴る。

トキメキは2人に感動の涙として

彼女達の頬を伝っていき、 やがて溶けていった。



 「そ…れで、 その…マリスナディアさんは?」


 「…あそこの…神殿がそうだ」


 「あ…あそこに…?」


 「真っ白…だぁ」



庭園を後にすると少し歩いた先に純白の建物が見えた。

その建物に近づく度に罪悪感が芽生え

感じずにはいられくなっていく。

この様な美しい空間に自分は存在しても良いのだろうかと…。

胸が締め付けられていく思いだった。

魂をわし掴みにされている感覚。


そして神殿の前までやって来る頃には

2人共この先にいるマリスナディアを

神という存在として頭に刷り込んだ。



10メートル程の真っ白な扉を両手でゆっくりと開くジェラス。

この扉の巨大さにも驚いたが

何よりもその扉を開けたジェラスに驚愕した。


 「…この先だ」



神殿の中も素晴らしかった。

入ってすぐの所の中央から赤い絨毯が

真っ直ぐに先が見えなくなるまで延びていた。

天井は果てしなく高い。

マリスナディアとは巨人なのだろうか…。

それに塵や埃が一切見られなかった。

芸術の二文字では例え切れない程の建物である。



 「この先に…マリスナディアがいる」



巨大な扉の前で足を止めたジェラス。

この先にマリスナディアがいる…。

ジェラスは美紅達に振り返る事はなく

白い扉を眺めながら話し始めた。



 「一つだけ言っておきたい事がある…」


 「はい…」


 「言っておきたい事?」


 「これは大切な事だから真剣に聞いて欲しい…」


 「…わかりました」


 「マリスナディアは創造神デウスと対になる存在なんだ」


 「…じゃあやっぱり神様だったんだ…」


 「だよね…

 あたしもさっきからそうじゃないのかなぁって…」


 「破壊神と呼ばれている」


 「は、 はかい…しん」


 「どんな神かは言わなくてもわかるだろう…」


 「じゃあ…悪い神様なんだぁ…」


 「…何故だ?」


 「あーまたはじまった〜」


 「…………神に善悪も何もない。

 破壊が何故悪なんだ?

 何故悪とそう決めつけられる…?」


 「そ、 それ…は…」


 「真に、 この宇宙に善や悪と言う秩序はない

 それは人間が勝手に作り上げた幻想だ」


 「ジェラスさん、 それなら正義って何?

 ってなっちゃうじゃないですか…」


 「俺は正義の為に戦っているのではない。

 そもそも正義なども存在しない…」


 「じゃ、 じゃあジェラスさんは…

 一体何の為に…?」


 「…そう言う役割で生まれてきたから」


 「役…割…?」


 「話がそれたが…。

 とにかく破壊神マリスナディアは創造神デウスと対を成し

 デウスはマリスナディアを滅ぼそうとしている」


 「神様もケンカ……するんだねぇ…」


 「マリスナディアは……今……




  存在が…消えかかっている…」

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