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episode 09 浄化

 「セレストレイア!!!」



美紅の腕輪が強く輝き出した。

腕輪から手に光が移り、 その光は少しずつ

形となっていった。



 「…あ、 あんた、 それ、 …武器?」


 「え? う、 うん…」








  〜 浄 化 〜

p u r i f i c a t i o n







−ラピュラリス−

氷界ニヴルヘイム




美紅の手に持っていた武器…それは

傘の様なものだった。



 「傘っぽいんだけど?」


 「えー傘じゃないよー!!」


 「武器でイメージって言ってるのに

 なんでそんなのが出てくるのよー」


 「だって考えたら頭にこんなのが浮かんだんだもん」


 「美紅ちゃん、

 ちょっとそれに霊力込めてみてくれるかな…」


 「え、 はい…」



傘の様なものに霊力を込めた。

すると瞬時に形態が変わった。



 「!? びびっくりしたー!!」


 「すごぉ〜い! 変形したぁー」



傘は鋭い剣に変わっていた。

さっきまでの面影が一切見られない変わり様。

しかし美紅の武器にはさらにまだ続きがあったのだ。



 「あんたでも2つあったんじゃなかったの?」


 「え? う〜ん…そのはずだったんだけど…」


 「なに言ってるんだよ綵菜ちゃ〜ん♪♪

 ちゃんと2つあるじゃん♪」


 「え? どれですかぁ?」


 「美紅ちゃん、 もっかい霊力込めてみて」


 「あ、 はい…。 ん〜!!」



するとまた瞬時に変形した。



 「あ、 戻った…」


 「それ広げてみてくれるかなー」


 「はい………あ、 あれ? 開かない…」


 「違う違うー、 霊力使って」



霊力を込めてみると傘は開いた。



 「それがもう1つの武器だよ♪」


 「え? な、 なんですか?」


 「何言ってんの、 盾だよたーて!」


 「あぁ〜」



そう言いながら傘を回しながら自分の作った武器を眺めた。



 「実を言うとね美紅ちゃん」


 「はい?」


 「その武器、 6変形するよ」


 「え?」


 「ろ、 6〜!?」


 「でもあたしそんなイメージしてませんけど?」


 「イーヴァの影響でそうなっちゃったんだろうねー」


 「イーヴァ…」


 「まぁ今の美紅ちゃんの霊数では全部扱うのは無理だけどね」


 「美紅〜

 あんたでもすごい武器作ったじゃん!!

 ただの傘じゃなかったんだね〜」


 「えへへ! まぁねー♪」


 「さ、 じゃあ今度は武器の戻し方教えるね!

 絶対覚えておいてほしいんだけど

 戻す時は腕輪をはめてる手に持っててね、

 あとは霊力を込めるだけで…」



すると美紅と綵の武器が光になり腕輪へと流れていく。

光は腕輪に吸い込まれる様に消えた。

その腕輪を見ながら綵はある事に気づいたのだった。



 「あれ? これ…」


 「ん? なに、 腕輪がどうしたの?」



そう言いながら美紅も自分の腕輪に目を向ける。

すると腕輪に模様が浮かんでいた。



 「さっきまでなかったのに」


 「それは君達の霊力がインプットされて

 腕輪の力が解放されたからなんだー」


 「腕輪の力ですか…」


 「う〜ん…あ! 例えば!

 敵と戦って武器を奪われました」


 「はい…」


 「でも敵は君達の武器を触れないの♪

 何故ならその腕輪の力で護られてるから♪」


 「へぇー、 じゃあーあたしだけにしか使えないんだぁ」


 「例えば…」


 「え!? まだあるんですか??」


 「ふふ、 そうなんだよ♪

 例えば敵と戦ってて、 武器が落ちちゃいました。

 でも霊力をちょこっと込めるだけで

 自分の手に返ってくるんだ♪

 どう? 凄いよねー!!」


 「便利な腕輪ですね」


 「戻し方はもうわかったよね?

 じゃあいよいよ次は浄化についてだね!!」



するとハートは部屋の真ん中にある玉に手をかざした。

玉の丁度上に画面の様なものが現れ、

慣れた手つきでそれを見ながら手を動かしている。



 「いきなりだとほら、 2人ともまだ霊数少ない訳だし…。

 ダスト1体だけちょっと浄化してみよっか♪」


 「え〜!!?」


 「も、 もしかして戦うんですかぁー!?」


 「ちょっと待ってね…あ、 いたいたこいつ霊数11だ。

 大丈夫♪ 11だから余裕だって」


 「み、 みみみく〜!! あの化け物だよね!?」


 「う、 うん…」


 「準備いい?」


 「え、 え、 あ、 じゃあちょっとま」


 「行ってらっしゃ〜い♪♪」



強い光が地面から現れて美紅と綵は

吸い取られる様に光と消えてしまった。



 「まって…あ、 あれ?」


 「な、 なに? ど、 どこ?

 ま、 真っ白なんだけど…」



すると2人の背後にペチャペチャとまるで

水を含んだ雑巾の様な音が聞こえてきた。

喉元が締まった声が徐々に近づいて来る。

恐怖の余り後ろを振り向けない2人。



 「みみみみくみくー!!

 どどどどするの〜!!」


 「あ、 あ、 あや、 う、 ううごけないよぉ〜!!」


 「…ァ…ぎあ…グ…ゥ…ガ…」


 「みみみみぃくぅ!!!!!!」



それを画面から見ていたハートは美紅達に声をかける。



――早く武器出してー!!

 ちゃんと名前言わないとダメだよー!!――


 「あ、 あ、 あやぁ、 や、 やるしか…

ない…みみたいだだ…だね」



ゆっくりと振り返る美紅。

真っ白の何もない空間、 彼女の瞳に映っていたもの…









異形の者は…。



すぐ目の前で今にも裂けそうな口をめいいっぱい広げていた。






 「いやあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」



美紅はとっさに霊力を異形のよだれがかった口に放った。



 「ギョアッ! …べ…ャエ…グ…ェ…」



異形の者の口はバラバラに吹き飛んでいた。

ピクピクとけいれんを繰り返しながら少しずつ

動きが止まっていった。



 「はぁ…はぁ…はぁ」


 「みみみく、 だだだいじょうぶ!?」


 「はぁ…はぁ…あ、 あれ…? 変だな…」


 「ど、 どどしたの!? な、 なにがへ、 へへん?」



あれほど恐怖に感じていた異形の姿をしたダスト。

しかし一戦して美紅の恐怖心は無くなっていった。



 「あれ? なんか…大丈夫みたい…」


 「う、 うううそー!?」



――2人共ー、 武器でやっつけないと意味ないよー。

 そっちにまた送るからちゃんと武器使うんだよ?

 わかった??――


 「は、 はいー!!」



暫くするとダストが光と共に現れた。

綵はまだ恐怖心と戦っている。

しかし美紅は少し違っていたのだった。



 「え、 ええっと…名前と霊力…。

 せ、 セレストレイア!!」



すると美紅の手には先程の武器が握られていた。



 「グ…ィ…あ…げ…ガ…ぐ…」


 「うわぁっ!! ち、 ちか、 ちかいって!!

 え、 えと〜! えとけ、 けんけん剣んー!!!」



セレストレイアは美紅が思うままに瞬時に変形する。



 「イ…グ………がぁぁあああ!!!!!」



と、 いきなりダストはスピードを上げながら

美紅へと襲いかかって来た。



 「みみみくー!!!!!

 も、 もぉぉー!!!!!!」



美紅の身に危険を感じた綵は無意識の内に

霊力を全身に解放した。

画面を通して見ていたハートの目が鋭くなる。



「(霊数が28まで上がった…)」


 「美紅! 待ってて今行くから!!


 月影刃っ!!」



走りながら武器を呼び出すとダスト目掛けて斬りつけた。



 「ギャアァァァァァァ」



肩から斜めに斬りつけると

その瞬間に焼けた様な音と煙りが上がる。

そして…肩からゆっくりと切断されていく。

そのまま倒れたダストは光の玉となっていったのだ。

光は何故か綵の月影刃に吸い込まれて行った。



 「あ、 あら? あたしの武器に入っちゃった…」


――それが浄化だよ♪

 おめでと〜☆ よく頑張ったね!!――


 「あ、 でもあたしの時はならなかったんですけど…?」


――だって美紅ちゃんはそのセレストレイアを

 使ってやっつけなかったでしょ?――


 「あ、 なるほど、 そういうことなんですね」


 「美紅、 あたしもなんか大丈夫なったみたい…」


 「よかったじゃーん!!」


――馴れてきたみたいだね♪♪

 あ、 さっきダストを浄化して

 魂を吸い取ったでしょ? 綵菜ちゃん――


 「あ、 はい吸い取ったみたいですー」


――それは元々マリスナディアの魂紛だから

 霊力を増大させる事が出来るよー!!――


 「あの〜、 意味わかんないんですけどー」


――つ、 つまりダストをいっぱい浄化すれば

 それだけ霊数も上がって強くなるってわけ――


 「え!? そうなんですかぁ」


――じゃ、 次いくよ〜

 今度はまとめて10体☆

 それ〜♪♪――


 「じ、 じ、 10ー!?」


 「い、 いくらなんでもむむりむりむり!」


そう言いながらも2人は着々と浄化を果たす。

そして、 何回も何回も戦いを繰り返し続けた美紅と綵は

こんなになるまでに成長しているのだった。



 「美紅〜また勝負!! いい?」


 「へへ、 負けないよ〜!!」


 「グウャエー」


 「ぁ…あ…グ…ェ」



――美紅ちゃ〜ん、 綵菜ちゃ〜ん…

 もうそろそろいんじゃないかなー。

 もう409521体目だよー?

 じゅうぶんだってもー!!――


 「じゃあこれ最後にしますー」


 「綵、 あたし達そんなに浄化してたのー?」


 「数えてなかったから…ほらやるよ」



美紅と綵の周りには数百体のダストがいた。



 「綵、 いい?」


 「うん!」


 「よ〜し…突撃だ〜あ!!!」



美紅は無数のダストに向かって走り出した。

セレストレイアを剣に変えてダストの1体に

斬りかかる。



 「やぁ! やぁ! たぁー!!!」



ダストは一撃で浄化され次々と他のダストへと

ターゲットを変えていく。



 「ギョア!!」


 「あ…ぐぁ…ぁぁぁぁああ!!!!」



後ろから美紅に襲い掛かるダストだが…。



 「グァ!? ギシュ…」


 「ガバ…ギ」



傘に姿を変形させて肩にかけた美紅。

傘は盾になって後ろのダストの攻撃を防いだ。


 「ざ〜んねん!! はぁ!」



再び変形し剣に変わると横一閃に薙ぎ払った。

ダストは耐え切れず消滅する。



 「イギャァァ!!!」



今度は美紅の頭上から3体のダストが飛びかかってきた。

すると剣はなんと2つに分かれ拳銃となった。


 「それー!!!!」



美紅は2丁の拳銃を乱発し素早くダストに命中させると

また剣へ変形させ次のターゲットに走って行った。


 「…うざぁ…」



そして綵はというと…。



 「うざすぎ…!!

 そればっかじゃん! 少しは学習しなよ…」



ダストに囲まれてしまっていた。



 「ぶぎゅるぁぁあああ!!!!」


 「ギギャア!!!!」


 「あんた達単純すぎー!!」



綵の両サイドから飛び掛かってきた。

霊弾を1体に放つと素早くもう1体の首を斬り落とした。

綵が着地するとタイミングよく魂となって浄化された。



 「グビャァ!!」


 「ギガガガグゴ…ぁ…ぁぁぁああ!!」


 「そんなんだったらまた、 あれやっちゃうよ?」



そう言いながら綵は月影刃に霊力を送った。

霊気を帯びた月影刃は青く鈍く輝く。



 「いっっっけぇぇぇ!!!!!!」



綵は月影刃をダストの群れに投げ飛ばした。

月影刃は回転しながらダストを斬り刻んで行き

片っ端から浄化されていく。

そしてまた綵の手に返る。

刀を持つと月影刃は光となり腕輪へと戻った。


 「楽勝〜♪♪♪」



まだ戦闘中の美紅は残りあと5体だった。



 「あ、 綵っち終わってる…。

 あ〜あ…負けちゃったな…」



肩を落とす美紅に5体一気に襲い掛かってくる。



 「はぁ…またそれか…」


 「グゲェゲゲゲアァァ!!!!」



溜め息を零しながらセレストレイアを変形させる。

形態は黒い物体だった。



 「(あ、 また新しい形態だ…。

 あれで美紅4つ目じゃない?

 何、 あのでかいの…)」



 「消えちゃえー!!」



霊力を込めると黒い物体は筒状に変形し

筒の中に蓄積されていく。

そして彼女と同じぐらいの大きな黒筒を

肩に乗せると信じられない巨大な霊力を放った。

まるで霊気で出来たレーザー。

5体まるごと飲み込むと全て消滅し浄化された。

放ち終わるとまた傘形態に瞬時に変形する。

そして魂が美紅のセレストレイアに吸い込まれるのを

確認すると光となって腕輪へと戻した。



 「あ、 あんた…随分感じ変わったよね…」






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