自分は自分しか知らない
あさせるな。落ち着け。自分の決断で世界が核の炎で包まれてしまう。自分が人類生命かかっている。その時ある報告書が目についた。死んだ捨て駒のダイイングメッセージの言葉があった。「自分が人間であるのは誰が証明してくれるのか!←」その時悟った。今相手にしているのはロボットまたは人間以外があることを。やっと希望を持てた。人間では核を打てない。確かにそうだ。ロボットである人間以外である自分は押せる。私、いやアメリカ全ロボット人類を代表とする大統領である私が変えなければ。そして核のスイッチを押す前にこう叫んだ
「自分が人間であるのは誰が証明してくれるのか!」
「聞こえるか。」
「はい聞こえます。」
「よし、無線は問題ないようだな。奴の屋敷付近では傍受される可能性がある。最初で最後の無線だ。目標となっているジェームズはこの国の反逆者だ。我が国を裏切り、他国に極秘軍事情報を漏らした。そんな奴は生かしてはおけん。いいか、奴に引き金を時は裏切ったことを思い出せ。わかったな。」
「わかりました。」
「これで通信を終了する。幸運を祈る。」
常に目立たないように仕事をしていると車の色も地味な紺色になってしまっていた。運転するたびに思う。息を潜め、闇を味方にし、目標を目的どおりに始末する。それが仕事である。アメリカ市民を守りたいと思い警察官になったもののシークレットサービスに引き抜かれ、今ではアメリカ市民を平和や正義という名で殺す。国の犬に成り代わっていた。まさに皮肉というやつだ。
時々殺した目標が夢に出てくるときがある。頭から血を流し私を憎むかのように首を締めてくるのだ。だか、もう死んでいるからか手に力が入っておらず首を締めきれていない。しかし、ずっと首を締めようとしてくる。すると毎回のように目から涙を流し、ゆっくりと首から手を外し、地べたに横たわり泣き始める。私はいつも寄り添い慰める事しかできない。すまない、すまないと。初めの頃はその夢のせいで不眠症になってしまった。2、3日休みをもらい精神科の専門病院に行くことにした。悪夢をなくす特効薬はなく医者からは投げ出しに睡眠薬が出たが飲む気になれない。夢に出てくるたび仕事を辞めたいと思う。仕事のせいで生活に支障が出るなど言語道断。しかし、アメリカ政府の仕事を受けた以上簡単に足を洗う事はできない。仮に辞められたとしても他の同僚に暗殺されるのがオチだ。だから、政府の命令は絶対。任務を受け目標に近づき、引き金を引く。殺されないために。目標を殺し自分は生き抜く。そう思った頃からあの悪夢は見なくなった。
今回の目標は政治家兼民間警察会社社長ジェームズアルバート。国会のサーバーにハッキングし、軍事情報を他国に売っていたやつだ。どこまで本当の情報なのかはわからないが命令は命令だ。やることは一つ。自分が生きるため彼を殺す。
今日は満月だ。闇の世界での昼間。仕事をするには明るすぎる。2連式ショットガンの弾が光り輝いていたため不思議に思ったのだ。いつも使っているのはベアーショット。クマを殺すためのためだ。それを人に打つため大抵は2発同時打ちで死んでしまうが、たまに生き伸びるやつがいる。そのときはサプレッサーハンドガンで確実に殺す。これが私のやり方だ。月夜に照らされ奴の家が見えるところに車を止めた。目標のいるところはマイアミ・ビーチ。ニューヨークからは18時半かかった。白塗りの3階建ての大豪邸に近くに海があるくせにプールがついている。さぞかし警備が固いと思えば、カードマンがいなければスーツを着た人使用人もいない。そもそも何部屋もありそうな窓は一つしか唯一光は存在していない。なんと光が目標の部屋であった。目標だけが寝ていないのか。それとも私を待っており罠なのか。家への侵入は仕事の基本中の基本。だが、いまはそれが封じられてしまった。証拠が残ってしまうジップラインを使用ことにした。クロスボウガンにジップラインの矢をつけ、光の部屋のふたつ前の部屋の外壁に狙いを定めた。ボウガンの紐が軋みうなりをあげ、矢を発射した。矢は外壁に見事命中し、白という秩序にひびが入る。紐の先を車に括り付け電動巻き上げ機を付け、スイッチをつけた。うるさい機械音と紐同士での摩擦の熱さでやけどしそうだ。だが正面で受ける風は激しいが涼しく気持ちいい。そのつかの間快感の終点についた。ガラス窓をレーザーカッターで溶かし鍵を開けた。この方法なら窓を割っているわけではないため警報装置は発動しない。この機械はロシア製なのが癪に障るが物がいいのは事実である。部屋の中はスポーツ用具やベッドのシーツが散乱していた。物置部屋らしい。部屋の安全を確認し、ショットガン、ハンドガンのセーフティーを解除した。戦慄とした心を写しているか如く、冷たいドアノブに手を掛けた。
目標の部屋からは唯一の光が漏れ、自分を招き入れているようだ。一歩一歩ドアに近づくにつれ心臓の鼓動が激しさを増す。いつもの悪い癖だ。緊張するな。殺るのは一瞬だけだ。ドアノブは暖かく、人の気配を感じる。突入するぞ、3、2、1!ドアを蹴破り背中に背負っていたショットガンに手を掛けた。奴は椅子に座り机に向かっている。今なら殺れる。銃口を奴の腹に向け、爆発音と共に散弾が発射された。
「ここまでよく来たものだ。ニューヨークからは遠かっただろう。ここのソファーにでも休みなさい。」不敵な笑みをし、話す男。ジェームズアルバートだ。だが何故だ。なぜ死なない。奴の腹からは内臓またはその何かが出てくると思いきや、腹には穴が開いたが、黒くなっている。ギーギーと機械が鳴り響く。腹には歯車や鉄のパーツ、ドス黒いオイルが流れていた。私は状況を理解する事が出来なかった。
「君と大佐との無線を盗聴することは簡単だったよ。どうせ、警備員、メイドまでも皆殺しにするのがお前のモットーだろ。だからもう帰らせた。」
「貴様。一体なにものだ。」
「何者かって。人間さ。」
「何が人間だ。どう考えたって機械じゃないか。」
「じゃあ逆に聞く。お前は人間か。」
「当たり前だ。感情もあれば痛みもある。」
「だが、お前を人間だと証明する人間はいるか。その感情はたかがコンピューターのプログラムにすぎないかもしれない。その痛みも単なるシステムかもしれないだろ。確かに私の体が機械であっても人間だ。そう、地球上に本物に人間がいること証明するものはないのだよ。いつもいる親、親族、古くからの友人すべてHDDの記録を再生しただけなのかもしれない。しかしそれが私のすべてだとしても、私は人間だ。だか、唯一可能にしているのは自分が人間であることを信じることだ。」
「安心しろ。私が見る限りお前は人間ではない。」
「人とゆうのは単純なものだな。言葉一つで考え方ががらりと変わってしまう。あんたらの飼い主だって下手すれば戦争や核を落としかねないがね。あははは。」
「黙れ!」
奴の眉間にハンドガンを突き付けた。自分は認めたくなかった。自分は人間だと証明できないだと。戯言を並べやがって。こんなやつは死んで当然だ。
「お前は少しおしゃべりだったな。最後に残しておく言葉をいうと思えばいきやこの国の侮辱とは。」
「自分が人間であるのは誰が証明してくれるのかね。あははは。」
「あきれたものだな。」
俺は確実に眉間を発砲音とともに打ち抜いた。奴の死に顔は最後まで不敵な笑みを浮かべていた。