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05-23 激震!! 三河一向一揆⑤

「司令官より通達します!! 各艦出港準備、前中後部指揮官艦橋へ通達!!」

「はっ!! 各艦へ司令官より通達!! 各艦出港準備、前中後部指揮官艦橋へ通達!!」


 場面は亮太も乗船している【装甲空母大鳳】に今回艦隊全体を指揮する司令官として乗船中のナグモから、津島の軍港指令部を通して軍港に停泊している艦船に出動命令が下った所から始まります。


 今回の津島での戦闘に増援として駆け付けてくれた兵士と馬からなる500組の【松平家】陣営と、彼等の恩義に報いる為に編成された織田信勝と柴田勝家率いる、朝露国から輸入した最先端の防具と銃器で武装した1000人からなる【織田家】の兵士達を収容し終えた【タイタニック号】。


 そして今回【タイタニック号】を護衛する事となる護衛艦である【ひゅうが型ヘリコプター搭載型護衛艦】二隻、【ましゅう型補給艦】二隻、【おおすみ型輸送艦】一隻が予定では共に亮太達が所有している津島軍港から出て、沖合いにいる第一艦隊と合流する予定となっており。

 現在【タイタニック号】を含めた護衛艦内では船員達が慌ただしく出航準備が行われていた。


「よし! 全タラップ(搭乗用階段)と係留(けいりゅう)用ロープの解除を確認!!」

「各航海当番、全員持ち場に着きました!!」


 各艦ではその様な報告のやり取りが艦橋にいる艦長の元に集まり、それを確認した各艦長達は号令をかける。


「了解。(いかり)を上げろ!! 離れた係留用ロープが付いていないか確認!」

「はっ!! 錨を上げろ!! 係留用ロープが付いていないか確認!」


 その号令を聴いた各船員達は海に沈んで地面に食い込んでいる錨を上げつつ、船着き場と船を繋ぎ止めていた係留用ロープがスクリュー等に絡まってしまわない様、厳重なチェックを行う。


「錨、回収完了しました!!」

「係留用ロープも残っていません!!」


 それらの報告が再び艦橋へともたらされ、続けて大型の船を開けた場所までタグボートに引っ張りだして貰う段階へと場面が移行します。


「よし!! これより引き出しを行う!! 大勢の見物客達が見ている中で恥を掻きたくなければ慎重に、正確に、素早く行動せよ!!」

「はっ!! 艦長より後部指揮官艦橋に達する!! 引き出し作業を開始せよ!!」

 《了解しました!!》


 停泊している全ての大型船の前に停泊しており、今回タグボートとして活躍する事となった全6隻からなる【ひうち型多用途支援艦】の船員達はスピーカーから発せられたその命令を受け、大きく返事を返してから一様にまるで艦と一体かした一つの生き物の様に作業を開始します。


「おい、遂に出港準備が始まった様だぞ!!」

「本当だみゃ!!」


 それらの様子を一目見ようとしているのは【タイタニック号】の甲板上にいる大勢の【松平家】と【織田家】の者達だけでなく、津島で暮らしている人々も津島山城の頂上から世話しなく働いている軍港の職員達の様子を見ていた。


「彼等が一向衆に荒らされ、崩壊した私達の村を瞬時に建て直したと言う話はにわかには信じられ無かったが……」

「確かにあれだけ進んだ技術と熟練した船員達もいる艦船を持っているのであれば、本当なのかも知れないな……」


 その様な感想を津島村の住民達が唱えている間にも既に時刻は日が沈み始める夕刻となっているので水平線上は茜色に染まり始めており、それを世話しなく働いている【タイタニック号】の船員達と共に船首甲板で確認していた元康は、まるでそれが“今まで見ていた物が夢であった事を告げに来た様に感じてしまい”不安に駆られてしまう。


「また……今日の様な日が迎えられるのかな、忠次?」


 そう言って自らの右側に佇んでいる酒井忠次に元康は弱々しい声で尋ね、忠次は元康を安心させる様に彼女の右手を握りつつ凛々しく答えた。


「はい、勿論ですよ姫様。寧ろ今回の騒動を納める事が出来さいすれば、姫様は胸を張って自分こそが三河の大名である事を証明できるのですから」


「でも……」


 そう言って声を震わせながらも反論しようとする元康の正面に回って、忠次は元康を優しく抱き締めた。


「ですから難しい事は我々にお任せください。皆はただ、新たなる環境を受け入れられずに驚き戸惑っているだけなのですから……」


 そんな夕陽に染まる彼等の後ろ姿を、サバイバルゲームで使用されていた高性能防具で身を包んだ一人の兵士が元康達に見つからない様に船内デッキの外窓から眺めていた。


「……そ、そこに誰かいるの?」


 その不自然な視線に気がついた元康は思わず抱き締めてくれている忠次の脇と二の腕の間から視線がする方へと注目するのだが、そこには元康達と同じく甲板上に居る、頭以外を甲冑で身を包んだエリスが歩いて来るのが見えた。


「姫様。御迎えに上がりました!」

「アルバインさん!! 貴方もこの船に乗っていたのですね!!」


 既に津島防衛戦の際に顔を会わせていた二人はその再会を喜びつつ、御互いに手が届く位置で向かい合う。


「はい。今回の作戦に辺り、私も姫様の護衛と案内を申し付けて頂ける事が出来まして。色々と拙い所があるとは思いますが、よろしくお願いいたしますね」


「いえ! こちらこそ、私の命を見事に救ってくださったアルバインさんが護衛役として付いてくださると言うのは本当に心強いです!! あ、私の隣にいますのは私の重臣である酒井忠次です!」


 その紹介を受けた酒井忠次は元康から一先ず離れて、後ろから来たエリスと向き合いつつ、微笑みながら挨拶した。


「昼の戦闘の際には本当に御世話になりました、アルバイン殿。私からも改めて御礼を言わせてください」


 酒井忠次から丁寧な挨拶を受けたエリスは何処か照れ臭そうに一礼した。


「い、いえ! 姫様が大事に至らずに済んで本当に良かったです! それに、私が飛び込まずとも酒井様も魔石には気づかれていた様でしたし、私が代わりとして間に割り込んだに過ぎませんから!!」


 そう言って謙遜するエリスの姿を見て何か言い返そうとした酒井であったが、あえてその言葉を呑み込んでから代わりとしてにっこりと笑った。


「ふふっ。貴方も大きな実力や権力を持っていながらへりくだる事が出来る姫様の様な方なのですね……。では今は、皆からのありがとうと言う言葉だけを贈らせて頂きますね」


 その言葉にエリスは再び顔を赤らめながら「あ、ありがとうございます酒井様!」と感謝の言葉を受け取りつつも、話を本題に移す事とする。


「私が姫様を探しておりましたのは、マス……トレノ様から姫様を御案内する様伝えられていたからなのです」


「トレノ様からですか? えーと……確か、白黒の髪の毛を持っておられる朝露国の代表者の方ですよね?」


 その元康からの問い掛けにエリスは笑顔で頷く。


「はい! ですが姫様が何処に居られるかまではトレノ様に知らされていなかったので、こうして直ぐに姫様と酒井様と出会えて良かったです!! えーと、折角ですから船が出港する所を見て頂いてから御案内しましょうか?」


 その提案に元康と酒井は御互いに視線を合わせてから、仲良く軽く頷き合ってからエリスの粋な計らいに賛同する。


「はい、折角ですからそうさせて頂きたいのですが……。その前に現在の三河はどういった状況にあるのか、アルバイン殿が知っておられる事だけでも良いので教えて頂けませんか?」


 故郷で起きているであろう災いを聞くからか、震えながらそう告げた元康にエリスは「それは……申し訳無いのですが、今は姫様に御伝えできるだけのしっかりとした情報が用意出来てい無いのです……。申し訳ありません……」と返事を返しつつ元康に頭を下げ、それを見た元康は慌ててエリスの頭を上げさせる。


「はわわ!? アルバイン殿が頭を下げる必要はないのです!! 私こそ無理に尋ねてごめんなさい!」

「元康様、お気遣いありがとうございます……。情報がもたらされ次第必ず御伝えさせて頂きますので少しだけお待ちください」


 まだ元康達に現地の情報開示する事が許されていない為にエリスが謝ったにも関わらず、逆に謝られてしまうと言ういかにも日本人らしい元康の優しさに触れたエリスの中で彼女に対する好感度が上がっていく中で、先程までは静かだった【タイタニック号】がまるで身震いをするかの様に機関を始動させたのである。


「きゃっ!! じじじ、地揺れでしょうか!?」

「……ッ!! 予定よりも随分と速いではないか?!」


 亮太達が日ノ本に大地震が起きると言う事を警告していた事もあり過敏に揺れに反応している二人に慌ててエリスがフォローを入れる。


「いえ姫様、酒井様! これは船を動かす為の動力が動き出した証拠だと思われます。後ろにある煙突を御覧ください!!」

「えんとつ?」


 煙突の名は堺にある鉄工所等で知っていても、実際に見るのは初めてである元康と酒井はエリスに紹介された【タイタニック号】に四本聳え立っている内、見た目を良くする為に設置されている四番目のダミーの煙突以外から白い煙が上がり始めている事に気がつかされる。


「白い煙が上がっていますがあれが地揺れと関係しているのですかアルバイン殿……? まま、まさか船の中に火山があるとか?!」


 そう言って元康は体を震わせ顔も真っ青にさせて完全にビビってしまい、思わず酒井に抱き付いてしまっているので続けてエリスはフォローを入れる。


「大丈夫ですよ元康様!! あの煙はえーと……“えんじん”と言う船を動かすカラクリを火を燃やす力で動かす際に生まれる見たいですので、煙突が噴火する事は有りません!!」


「え……“炎神(えんじん)”ですか?! それは、またとんでもない名前をつけられたのですね……。いや、でもそれだけの力を先程の揺れからは感じる事が出来ましたよ!」


 そんなやり取りを三人がしている間に【タイタニック号】と同じく煙を煙突から吐き出し始めている、これから広い海へと大きな船達を引いて行くであろう【ひうち型多用途支援艦】に自然と三人の注目は集まって行く。


「これだけ大きな船をあの小さな船だけで引っ張る事が出来るのでしようかアルバインさん?」


「はい、酒井様。あの小さな船には私達が乗船している【タイタニック号】に搭載されている動力にも負けない程の力が備わっていまして、大きくて小回りの効かない大型船とは逆に小さくて小回りの効く船を荷馬の様に用いる事で進めるのだそうです!」


 その説明を受けている間にも各艦の炉には火がくべられた様で、全6隻の大型船とそれを引く【ひうち型多用途支援艦】の煙突からは最初に黒い煙りが出た後から白い煙が出始める。


 その事に気がついた【タイタニック号】に乗船している者達が驚きの声をあげている内に、続けざまに《ピン・ポン・パンポーン》と言う音楽が流れてから船長であるハリスンによる船内アナウンスがスピーカーを通して聴こえてきた。


 《皆様、長らくお待たせいたしました。これより本船は津島港から出航し、ハママッツ・ハーバーへと向かいます。また、今回行われる【三河奪回作戦】に置いて本船は皆様に取って海上に浮かぶ“宿屋”に当たる役割を担う事となっております》


 その言葉を聴いて先程まで受かれた気分になっていた兵士達にも思わず緊張が走り、それをフォローするかの様に船長はこう締め括った。


 《険しい船旅になるとは思いますが、我々【朝露国】も少しでも皆様の力と成れるよう皆様を全身全霊を持って支援させて頂きますので、故国を救った英雄として再び胸を張って古里に帰れる様に共に奮闘して参りましょう》


 その船長の熱い決意を感じさせる言葉を聴いた皆が心を引き締めている中で、爽やかな音楽と共に今度は女性のアナウンスが流れ始めた。


 《皆様、本日はオリンピック級客船タイタニック号に御乗船して頂きまして真にありがとうございます。本船はこれより津島港から浜松を目指して出港致します。出港に伴い、本船を港から出す為に前方に見えます船に引いて貰う事で沖合いに出ます。安全確保の為に乗船されている御客様は衝撃と揺れにご注意ください》


 そのアナウンスが流れて数分程経過した所で再度出港を知らせるアナウンスが船内に流れ、船内にいた皆が甲板に出て固唾を呑むなかで【ひうち型多用途支援艦】は警笛を鳴らしてからゆっくりと【タイタニック号】の沖合いへの移動を開始した。


「わぁ!! 凄い!! 本当にこの船よりも小さな船が大きな船を引っ張っているのですね!!」


 元康の声援を受けてかその後も順調に【ひうち型多用途支援艦】は【タイタニック号】を軍港の狭い船着き場から蟹の身を綺麗に取るように船を湾外へと各艦を曳航していき、【タイタニック号】以外にも軍港に停泊していた五隻からなる大型の護衛艦達も専属の【ひうち型多用途支援艦】が沖合いに引っ張り出して行く光景を乗客達は見ることが出来た。


 そんな彼等が今まで見たことも聴いたことも無いであろう大型船が出港する光景に皆が興奮している中で、誰よりも一番早く沖合いに【タイタニック号】を到着させた【ひうち型多用途支援艦】は微速前進で航行しつつも、【タイタニック号】から出されている牽引用ロープの切り離し準備に入っていく。


「おお……海の上で見てもあの平べったい船は本当に大きいな……」

「おい、後ろからも後続の大型船が同じ様に着いてきているぞ!!」


 そして数分もすれば他の護衛艦達も到着し、先ずは【タイタニック号】の両脇を6カイリ(11㎞)の間隔を空けて挟む様な形で【ひゅうが型ヘリコプター搭載型護衛艦】二隻が中心となる陣形を組み始めており。


 その円の11カイリ(20㎞)離れた後方の位置に【ましゅう型補給艦】二隻、【おおすみ型輸送艦】一隻が続き、その更に後方に見える津島軍港からは水しぶきをあげながら海面を走る【ポモルニク型エアクッション揚陸艦】五隻が艦隊を追い掛けて来ていると言った状況であり、それら艦船達が手馴れた様子で綺麗に陣形を整えて見せたので甲板上からは拍手や喚声が沸き上がる程であった。


 そして、ここまでの一連の流れを締め括る海軍の伝統的なフィナーレの準備が開始される。


「ん? あの方達は何をされようとしているのでしょうかアルバイン殿?」


「あれは……何でしょうか? マスターからは教えられていませんが……」


 そう言って首を傾げている元康とエリスの目線の先に映っているのは【タイタニック号】の艦橋内から扉を開けて現れた、海上自衛隊と同じ作業服を着用していて、両手でトランペットを持っている白人の水兵であり。皆がざわめいている中で信号係りを受け持つ彼は突然勇ましく出港を告げるラッパを吹き始めたのである。


 その突然の出来事に皆最初は呆けていたのだが、何故か胸が熱くなるのを感じさせる物がその演奏にはあり。その後あえて乗客にも聴こえる様に行われた艦内マイクを通して聴こえて来た船長の艦内アナウンスがその余韻を引き締めさせる。


 《出港よーーーーいっ!!!》


 その間にも【タイタニック号】の水兵だけでなく、周囲に陣形を組んでいる各護衛艦からも同様に重なりあう様にして出港を告げる力強いラッパの音色と艦長による艦内アナウンスが響き渡った。


 それはただの出港における海軍の伝統的儀礼方と言うだけでは無く、亮太達を始め、松平家や織田家に留まらず日ノ本全土を捲き込んだ戦が開始された合図であった。



予定よりも投稿が遅れてしまいすいません!

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