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05-22 激震!! 三河一向一揆④

「では、船内を御案内致しますのでどうぞ付いてきてください」


 そう言ってにこやかに告げた【タイタニック号】の船長を勤めるハリスンに習って、500名からなる松平家の面々は緊張と期待を胸に踊らせつつ、船長の後方にいた船員達が左右に別れる事で作られた道を通って行くハリスン船長の後に続いてついていく。


「なんじゃこりゃ……。巨大な階段の下に車輪がついておる……」

「なるほど、これならば背の高い船にも楽に乗り込めるな!」


 そこで彼等が見たものは一つの船着き場につき2台用意されていて、人が横に四人並んでも大丈夫な程の幅を持ち、旅客機に搭乗する際に用いられる様な下部分に小型のトラックが備えられている、【タイタニック号】の船首左側に固定された純白の自走式タラップ(搭乗用階段)であった。


「では皆様、この階段を登って本船の甲板から乗船致しますので焦らずに付いてきてくださいね」


「わ、わはりましたぁ!」


 その言葉を聴き先頭にいた元康はまるで初めて外国に行く旅行客の様にガチガチに緊張した様子で上擦った返事を返し、前に出した足と同じ様に腕を同時に出して階段をロボットの様に登って行くものだから、その後ろにいた三河武士達から笑いを堪えている様な声が漏れていた。


(はうぅぅ……。緊張と恥ずかしさで死んでしまいそうです……)


 全身を羞恥心でタコの様に赤く染め、元康は波の音と海鳥達の鳴き声を聴きながら階段を登りつつもふと軍港全体を自然と見渡していた。


(やっぱり、私達が津島山でおもてなしを受けている間にいつの間にか見たことが無い船が沢山停泊していますね……)


 そこには【タイタニック号】の他に十隻もの大型艦を収容する事が出来る船着き場に停泊している多くの護衛艦達の姿があり、先ず幅広い海域に目を光らせる事が出来る海上基地としての役割を担う【ひゅうが型ヘリコプター搭載型護衛艦】が3隻。

 更に【戦艦長門】と同じ大きさを持ち、その内部に燃料と物資を満載している【ましゅう型補給艦】二隻が停泊している。


 その隣には後部の荷台に緑色のシートが被せられた大きな荷物が幾つも積まれている【作業装置付2tトラック】を船首側甲板に満載し、後部ヘリポートには三機の【AH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリコプター】を搭載している【おおすみ型輸送艦】1隻が確認出来。


 それら全ての大型艦船の船首前には全長が200m近く有るために小回りの効かない艦を沖合いに運ぶ為のタグボートとして、小柄であるが自走不能になった僚艦や標的艦の曳航・消火・救難・物資輸送・離島に対する災害派遣など多目的に使用するために建造された【ひうち型多用途支援艦】が待機しているのが見える。


 そして今回の輸送任務で大活躍した、日本で使用されているホバークラフト型揚陸艦と比べれば二倍近くの大きさがあり、全長197mの【ひゅうが型護衛艦】と比べると3分の1の全長を持つ【ポモルニク型エアクッション揚陸艦】が一つの船着き場につき縦に四隻並べられ、合わせて三つの船着き場を用いる事で十隻停泊しており。

 その周辺では津島の復興する際に用いられた重機や【作業装置付2tトラック】等を用いて、余ってしまった資材等を回収する為の運搬作業が優秀な陸軍兵士達の手により現在も世話しなく行われている。


「わしらが争いあっている間に外国はこれだけの物を作っておったのか……」

「信じられん……」

「見るもの全てが見たことも無いもので溢れておる……」


 戦国時代の船と比べるのも躊躇われる程に参列している高性能過ぎる艦船達の姿を見た松平家の面々は言葉を失い、黒船を見ただけでも大パニックに陥っていた自分達と朝露国との差は埋められない程に開いている事を嫌がおうでも考えさせられた。


「彼等が地震を予期したと言う言葉はあながち妄言でもないのかもしれんぞ……」


 そして彼等が受けた驚きは何時しか朝露国の評価へと繋がり始め、今までは反対勢力だけでなく織田家や松平家からも内心では嘘っぱちだと思われていた地震予測すらも、まだ半信半疑ではあるが“彼等なら本当に予測出来ているのかもしれない”と言う心境の変化を産み初めていたのだが……。


(様々な国の人々からなるとは言え、何故これ程までの艦船だけでなく他の国を支援するだけの力を只の小さな島国である朝露国が持っているのだろうか?)


(彼等はつい最近まで無人島として放置されていた筈の小島に、まるで長年もかけて築いて来た様な国家を建国し得たのか?)


(今まで日ノ本が関わってきたどの国よりも進んでいるであろう朝露国の本当の目的は何なのだろうか……)


 ……と言った様な疑問が過る格上の相手にやたらによいしょされている事が気になり始めた松平家の面々がひそひそ話をする中で、彼等は15階建てのオフィスビル並みの高さを持ち、今は時刻が夕刻であるので沈み行く夕陽に照らされている【タイタニック号】の船首側甲板へと続々と足を踏み入れて行くのであった。



 ーーーーー◇ーーーーー



「分かりました……ではそのまま松平家の皆さんを大浴場の方へと御案内してください。長旅で疲れていると思いますから」


 そう言って津島港の軍港の中心地に建てられた10階建てのビルの上に津島全体を見渡す事が出来る展望台のついた、【京都タワー】を連想させる指令情報センターの展望台で指示を出しているのはコピーロボットの亮太であり。

 彼は【タイタニック号】へと続々と乗り込んで行く松平家の者達500名と、その後に続いて乗船を開始した織田信勝率いる1000人からなる【織田家】の兵士達の様子を目の前の左側に浮かべている、20インチ程の大きさがある半透明なモニターで確認しており。


 同じ様に右側にもあるモニターでは各地で反乱が起こっている三河の様子や、今川家の本国である駿州すんしゅうに設けられた関所の門の前が映し出されていて。

 そこには整地された土で出来ていて、人が横に五人並べるだけの横幅を持つ道路上を赤い川の様に連なって待機している、赤い鎧を身に纏った総勢“二万名”にも及ぶ【武田家】の大軍勢がいた。


「これからの日ノ本の命運を分ける事態とは言え、幾らなんでも張り切り過ぎよ!」


「彼等の目的はやはり、三河を奪い取る事なのでしょうかマスター?」


 その一大事を見て思わず呟いたのは亮太の左隣にいるマリナと右隣にいるエリスであり、二人には何故か驚くと言うよりも呆れた様な感情が沸き上がっていた。それは彼等の動きと思惑(おもわく)を利休と共に日ノ本に忍ばせていた優秀な忍び達から、彼等の情報を事前に亮太達が耳にしていたからであった。


「元々松平家の右側に位置する今川家は武田家と同盟を結んでいる友好国同士だからな。この時に乗じて徹底的に自分達に従わず、松平家に味方する者を蹴散らしてしまおうと言う腹なんだろう……」


 そんな事を亮太が考えている内に閉じられていた両開きの関所の門が開かれ、中からは鎧に身を包んで武装している【今川家】の者達が現れて小走りに武田家の先頭にいる男の元へと掛け寄った。


 《よ、ようこそおいでくださいました!! 信玄様!!》


 《久しく会っていない間に随分と出生されましたな、氏真うじざね殿》


 信玄と呼ばれた貫禄のある男に氏真うじざね)と呼ばれた何処かひきつった顔をしている男は、桶狭間の戦いの後に突如行方を眩ませてしまった父【今川義元(いまがわよしもと)】に代わり、現在の今川家の当主となってしまった息子の【今川氏真いまがわうじざね)】であり。


 彼は冷や汗をかきながらも獅子舞を思わせる白い馬の毛を纏った兜と赤備えを着用した熊の様に大柄で、彼の戦のやり方を現している【風林火山】と書かれた旗を馬上で背中に靡かせている【武田信玄】を見上げており。


 何とか機嫌を損ねたくない様子の氏真うじざね)に、信玄は落ち着いてはいるが何処かドスの効いた声で返事を返した。


 《……ふむ。貴君等が桶狭間での屈辱を晴らしたいと言う気持ちは理解しているつもりだ。しかし……我々も甲斐からの長旅で酷く疲れておりましてな……》


 そう言って男は後方にいる者達へと視線をゆっくりと向けて行く。そこには一万近い騎兵隊と荷物を背負って歩いて来たであろう五千人近い足軽達、そして武器や食料等の重い荷物を背負っている五千頭近くの馬と同じ数がいる歩兵からなる輸送部隊が川の様に連なっており。


 先程その大軍勢を見てからずっと嫌な予感がしていた今川氏真は思わず額に汗を垂らしつつも、“ごくり……”と喉を鳴らしてしまう。そして一連の彼等のやり取りを現地に忍ばせている忍達と聴覚を共有する事で亮太も話声を聞き取れているのですが。


「明らかに今川家の人達が嫌がっているな……。あっ、そう言えば忍達からの情報だと彼等が武田家に増援として頼んだのは“五千人近くの軍勢”って言ってたっけ……」


 亮太が思い出した忍び達からの情報によれば、今回の騒動を納める為に今川家が頼んだ軍勢と実際に今川領内に到着した軍勢は四倍近くおり。何故この様な単純な失敗を戦国最強と唱われた武田家がしてしまったのだろうかと亮太が首を傾げていると、その答えは次の信玄の発言と仕草で理解する事ができた。


 《日ノ本の命運を分ける今回の大戦に挑む故に、これだけの人数を集めなければ敗戦で気力が弱っている今川家を支えきれぬと思いましてな?》


 そう言ってにやりと悪い笑みを浮かべた信玄の内心に気がついた亮太は心底嫌そうに思わず呟いてしまう。


「あ、そうか……。信玄さん二万人分のタダ飯を御馳走される為に今川領内まで大勢で来たのか……」


 今回起きてしまった三河での一揆と連動して三河での主導権を取り戻したいと考えていた今川家は、今すぐにでも自分達を支持してくれている三河の反乱者達を支援する為に織田家と松平家に唯一勝てるであろう軍勢を持ち、同盟相手でもある甲斐の【武田家】と協力して三河攻略に行かねばならない事情があったのだが……。


 《あ、いや、その……。信玄様、私達がこう話し合っている間にも我が同胞達が憎き松平家達から独立せんと奮闘しておるのです……。ですから、その……》


 《いやいや……何を申されますか。氏真様とて、長旅の過酷さは理解されておる筈ですよ? 彼等を一日だけ休ませてやってください。さすれば、まだ年端も行かぬ松平など一捻りにして見せましょう》


 その丁寧な言葉と声自体には何の重圧は無かったのだが、明らかにまごついている氏真を見る信玄の目は獲物を睨み付ける虎の様に鋭く恐ろしい物であり。元々戦には興味が無く、文豪としての道を選んで生きてきた氏真は顔を冷や汗で濡らし、顔面蒼白にさせて慌てて信玄に同意してしまう。


 《あっ、はい! 信玄様がそう言ってくださるならば問題無いですね!! 失礼致しました!!》


 その待ちわびていた言葉を引き出せた信玄は先程の虎の様な形相から一転して優しく、穏やかな表情で満足げに頷いた。


 《うむ。氏真殿が理解ある御方で助かり申した! では、我等は明日の決戦に備えて栄喜を養わして頂きます故、御案内をお願いしますぞ、氏真殿?》


 《あっ、はい!! 喜んで!!》


 《ああ……了承してしまわれた……》

 《武田の者達は人の十倍は食べ散らかして行くと聴くぞ……》

 《義元様が居られればこんな事には……ううっ……》


 そんな完全にやり込められてしまった自分達の当主の姿を後方で見ていた今川家の者達が頭を抱える中で、意気揚々と予定よりも四倍近くの人数でお祭り騒ぎに乗り込んで来た武田の軍勢はこのあとイナゴの大群の様に駿州中の四分の一近くの兵糧を食べ尽くして行く事となるのはまた別の話である。


 なんにせよ武田家の我が儘のお陰で亮太達は今川家からの増援を一日ではあるが遅らせる事が出来た事もあり、自業自得ではあるが悲惨な目に逢っている今川家を亮太が哀れんでいたその時であった。


「亮太!? どうしたの!?」

「マスター!?」


「あれ……急に……眠気が……」


 突然亮太が見ている景色から色合いが薄れだし、景色全体がスプーンで掻き回される様に渦巻きを作り出し始め、そのまま亮太は一切の抵抗が出来ないまま後ろに倒れて意識を失ってしまったのである。



 ーーーーー◇ーーーーー



「う……ここは……?」


 次に亮太が目覚めた場所は沢山のベットが並べられている学校の教室二つ分程の広さを持ち、【コピーロボット】に自らの意識を憑依させた救護室であった。


「だ、大丈夫ですか閣下……?」

「え」


 白いシーツに包まれた毛布を掛けられ、ベットに寝転んでいる亮太から見て右側から震え声に近い少女らしき声が聴こえて来た。


「さ、先程から……酷くうなされていましたが……」


 思わず亮太は寝ている状態から上半身を起こして声の主がいる右側へと視線を向けてみると、そこにはパイプ椅子に座っている白い海軍用の軍服を着た中学生程の年齢に見える、長い黒髪おかっぱ頭のやや狸目な巨乳美少女がおそるおそると言った様子で亮太を見ており。

 思わず視線が合ってしまったからか、少女は頬を赤らめて恥ずかしそうに視線を落としてから可愛らしい声で挨拶を続ける。


「あ……あの。お、お目覚めになられていたのですね、亮太閣下?」


「どうやら無理のし過ぎで強制的に意識を戻されてしまったみたいだよ……。それよりも艦隊の運用お疲れ様、ナグモちゃん。本当に助かったよ」


「い、いえ! これは私に閣下から与えて頂いた任務ですから!」


 亮太に【ナグモちゃん】と呼ばれたこの美少女は亮太に代わって【装甲空母大鳳】と色々と魔改造されている【戦艦長門】を中心に、護衛の【巡視船】四隻と八隻の【陽炎型駆逐艦】からなる機動部隊の指揮を任され、立派に勤めている【司令官《Rank,R+8》】の一人であり。


 その手腕は初めてだらけの事で溢れているであろう今回の現場に置いても遺憾無く発揮されており、アメリカと旧ソビエト連邦が戦っていた冷戦記に開発され、最新の平べったいステルス戦闘機の様では無くスペースシャトルを思わせる見た目をしている【RF-4EJジェット偵察機】を【装甲空母大鳳】に追加で装備された火薬式カタパルトで8機程空に飛ばして、先程亮太が見ていた新鮮で高画質な現地の状況を偵察する等の活躍をしていたり。


 三河での反乱鎮圧に向けて彼女の様に今回の作戦の為に召喚されている【陸軍の司令官達】とミーティングを行い、必要となる輸送へり等の輸送機や、兵士達の必要数を計算する等の動きを亮太達が津島を再建している間に実は影ながら行っていたのである。


「そっ、それよりも。お、お体の方は大丈夫ですか閣下? 先程までは身動き一つ取ることが苦痛であった見たいですが……」


 そう言いつつも彼女は両手を胸元でぎゅっと握り締めて、亮太の事を心から心配をしてくれている様であり。亮太は後ろ首を掻きつつ苦笑いしながら彼女を見つめて答える。


「うん。どうやら大量に召喚し過ぎたせいでコピーロボットを操作できるだけの力まで使ってしまったみたいでね……。ナグモちゃんだけでなく、皆にも心配をかけてしまったね……」

 

 亮太の言うとおり、今回の作戦で秀吉達と共に勢いに任せて山のような大量召喚を繰り返していた結果、当たり前だが強化されていたとは言え亮太の身体に想定していた以上の不可が掛かってしまった事で限界がきてしまった様で。

 亮太は反省しつつも今ある状態はしっかりと休息を取る事で少しずつ精神力を取り戻す他無いように感じていた。


「おんや~? 随分と賑やかじゃと思ったら寝坊助さんが起きておったのじゃな」


 そんなひょうきんな声をあげながら亮太達から見て右手に置かれた四つの白いベットの先の右側に有る学校の教室を思わせる引き戸を開けて入って来たのは、163㎝程の身長と老齢に見えるにも関わらず程よく鍛えられた体を持ち、灰色の髪は後頭部まで後退していて、その代わりではないが紳士的なお髭とふさふさの顎髭を蓄えており。


 その見た目はくりくりっとした目も合間ってお茶目な仙人を思わせるおじいちゃんに見えるのだが、その身を日露戦争時の旧日本陸軍で使われていたカーキ色の赤い帯がついている帽子と、同じくカーキ色の軍服を上下に着用していて、足には黒のブーツを履いおり。

 その左腰には銀色の鞘に納められたサーベルをベルトに吊り下げる形で差していると言う事から、彼が間違いなく陸軍将校である事を伝えていた。


「コッ、コジマ将軍!?」


 それを見ていの一番に跳び跳ねる様にして振り返り、緊張した表情で敬礼するナグモにコジマも二人がいるベットへとゆっくりと近付きながらもにこやかに返礼する。


「うむ。ナグモ司令も御勤めご苦労様。それで坊主、どうなのじゃ具合は?」


 そう言って慌ててナグモちゃんが亮太が寝転んでいるベットの左隣に用意してくれたパイプ椅子にコジマ将軍はゆっくりと腰掛け、亮太の現状を落ち着いた様子で聞き出し始める。


「はい……。今ある以上に何かを召喚するとなると、既に召喚した物は消えないまでも電源を落とされる様に強制的に意識を断ち切られる様で……。現状用意している戦力だけでも任務は遂行する事が出来るでしょうかコジマさん?」


 その質問を受けたコジマ将軍は腕を組ながら「う~む……」と唸って暫く考えてから話し出す。


「そうじゃのう。先ず、我々が三河を反乱軍から取り戻すには出来るだけ集まっている敵の数が少なく、暫くは鎮圧部隊が来ないだろうと考えて安心しているであろう彼等を叩くとすれば、人間が一番油断すると言われている明日の夜明け頃を狙う事で今ある戦力だけでも充分に鎮圧する事が出来るであろう……」


 その説明に聞き入る亮太とナグモを交互に見てからコジマ将軍は「じゃがな」と言葉を挟む。


「先程偵察機から得られた情報によれば、西側で反旗を翻した彼等はそのまま反対者である元康派が大勢いる東側にも魔石を使用してまで現在進行形で雪崩れ込んでいる様でな。このままだと反対者達を夜明け頃に鎮圧出来たとしても、三河は生きた人がいない廃墟と化してしまうかもしれないのじゃよ」


 そのとんでも無い情報を聴いたナグモは震え声で呟く。


「そんな……そんなの反乱では無く只の虐殺では無いですか……」


「彼等は本気で三河国を滅ぼそうとしているのでしょうか?」


 真剣な表情になった亮太からの質問を受けたコジマ将軍は亮太の目線に自らの視線を合わせつつ答える。


「彼等の目的は三つある、一つは自分達の国を安易に売り払おうとしている松平元康とそれに賛同している者達の抹殺。そしてもう一つは、外国の言いなりに成ることを選んだ天皇陛下への反発。そして最後は……」


 言葉を溜めてコジマ将軍から出された反乱軍の行動分析結果に二人は言葉を失う事となる。


「現在の弱り果てた日ノ本の力では外国と渡り合えず、ただ飲まれて行く事を悟っておる彼等は……“最後の三河武士として侵略国である我々【朝露国】と徹底抗戦し、三河武士として散るつもり”なのだと思う……」


「そんな……」


「そう……なりますよね……」


 その最悪の結論を聴いて亮太は絶句し、同じく戦争で外国に追い詰められた経験が有るからかナグモは悲しげながらも納得した。


「……さて、どうするかね坊主? 勿論ワシらはどんな無茶な要求で有っても、その命を完遂するつもりじゃが」


 そう言って右目を瞑って語りかけて来るコジマ将軍に亮太は少し考えてから意見を出す。


「今すぐに作戦会議を開きましょう……。基本的には今日中に反乱軍を無力化する形で」


「撃破では無く……無力化ですか?」


 目をぱちくりさせながらそう尋ねて来たナグモに亮太は頷く。


「うん。これから荒れ果てた日ノ本を豊かにするのも、その地で生きていくのは地元の人達であり私達ではない。だからこそ彼等にはこんな所で死んでもらう訳にはいかないんです!」


「閣下……」


 その想いを聴いたナグモは目を潤ませながら亮太を見つめ、青臭いながらも強い意志が籠められ亮太の答えを聴いたコジマ将軍も何処か嬉しそうであった。


「はっははは。若僧は夢を追い掛け、実現させるのが役目ではあるが……。いやはや、うむ、悪くはないか」


「御二人とも、作戦を出来るだけ早く纏めて実行に移したいと思っているのですが、この通り私は自己管理すら儘ならない程に正直酷く焦っております……」


 そこまで聴いた所でパイプ椅子に座っていたコジマ将軍とナグモ司令は立ち上がり、力強い視線で亮太に答えてくれる。


「坊主が心配せんでも分かっておる。既に幾つかの作戦案を皆と共に話し合っていてのう」


「その中には閣下の希望に沿うものも有りますので御安心ください!」


「御二人とも、本当にありがとうございます……。そしてよろしくお願いいたします!」


 そう言って力強くも暖かい頼れる二人に亮太は心から感謝しつつも、ただ静かに頭を下げるのであった。


【ボーナスカードによる兵器の近代化】

・補給艦×30《Rank,SR》+ボーナスカード×1=【ひうち型多用途支援艦】×30


【今回登場した司令官の片方】


◇コジマ【元ネタ:児玉源太郎】

【容姿】 163㎝程の身長と老齢に見えるにも関わらず程よく鍛えられた体を持ち、灰色の髪は後頭部まで後退していて、その代わりではないが紳士的なお髭とふさふさの顎髭を蓄えている。

その見た目はくりくりっとした目も合間ってお茶目なおじいちゃんに見える。


日露戦争時の旧日本陸軍で使われていたカーキ色の赤い帯がついている帽子と、同じくカーキ色の軍服を上下に着用していて、足には黒のブーツを履いおり。左腰には銀色の鞘に納められたサーベルをベルトに吊り下げる形で差している。


◇第一次世界大戦が勃発する前の満州での戦いや、日露戦争にも参加しており。特に世界的にも有名なのは、作戦を成功させるにはどうすれば良いかを的確に見抜いた【旅順要塞攻防戦】であり。


ドイツから軍事顧問として訪れ、彼の才能に驚かされたメッケルに「児玉がいる限り日本は勝つ」とまで言わしめた軍師である。


・そんな彼の才能をコピーする形で亮太によって召喚された彼は普段はお茶目で優しいおじいちゃんであるが、厳しいときは鬼のように怖い。


また忠実の彼と同じく戦場全体の状況だけでなく、行われる戦闘によってどの様な影響が及ぶのかまでを把握する能力を持っており。相手国とのより良い関係を築く交渉術も持ち合わせている、正に軍の頭脳とも呼ぶべき存在である。



◇ナグモ【元ネタ:南雲 忠一】

【容姿】身長148㎝。白い海軍用の軍服を着た中学生程の年齢に見える、長い黒髪おかっぱ頭のやや狸目な少しおどおどしている巨乳美少女。


◇前海軍大臣・吉田善吾と連合艦隊司令長官・山本五十六に【真面目で、ちゃんと言うことを聞いてくれる】と言った理由で、当時は航空機に関して全く経験が無かったが【第一航空艦隊司令長官】に着任する。


第一航空艦隊では南雲本人が訓練に参加して自ら操艦の指示を出したことが、雷撃隊の技量向上に貢献したとされている。


まだ空母を用いた艦隊運用が確立されていない手探りの状況の中で一生懸命に働き、太平洋戦争の火蓋となった1941年12月8日の【真珠湾攻撃】から始まった【太平洋戦争】においては、彼の優柔不断な指揮のせいで多くの空母と乗員を失う事となってしまったと言われている1942年6月上旬の【ミッドウェー海戦】で力尽きるまで、ほぼ休む暇なく戦い続けながらも機動部隊の無敗伝説を造り上げた一人の功労者である。


また南雲は部下への教育は厳しかったが、基地では芸者が5-10人も面会に訪れると言う司令官としては異色な人であり。また、酒豪で喫煙家でもあったそうです。


今作ではそんな真面目だけど無器用な南雲さんの良い所が伝われば良いなと思って登場して頂きました。

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