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05-33 激震!! 三河一向一揆⑮

「ん……うぅ……。痛……い……」


 白く染まった世界の中で、私はぼんやりとしていた意識が少しづつ、良く冷えた水を浴びせられた様にズキズキとする頭の痛みに起こされる様に目覚めて行くのを感じました。


「暖かい……?」


 うたた寝に近いぼんやりとした意識の中、私は自分の身体を包む動物の毛皮の様な暖かい布、そして緑色の布が敷かれた地面から自分が寝ている布団を膝程の高さまで四本の足が持ち上げている事もわかりました。


「あ!! よかった、目を覚まされたのですね!! ご自分のお名前を言えますか?」


「え……」


 天井に提灯の様に吊り下げられている灯りの強すぎない眩しさに目を細める。

 私は自分から見て、布団の右側に寄り添う形で元気良く声を掛けてくれている、自分よりも年下に見える、幼くも活発な女の子が居る事に気がつきます。


 その服装は私が今までに見たことも無い物でした。

 鮮やかに輝く小麦色をした短めの髪の毛の上に、彼女は頭に浅く平らな壺に似た白く、一本の青い鳥の羽根があしらわれた青い横線の入った帽子を被り。


 上着には白を一番多い色とし、両肩から胸の真ん中までを覆う様に黒色に近い濃い青色が占めていて、その青色の部分の真ん中に添える様に彼女の首に掛けられている赤色の“(さや)”に似た物がヘソ辺りまで垂れ下がっています。


 そして、その上着の上から彼女の身体を包み混む様に……南蛮の人が身に着けている白いマント(?)の様な物を羽織っています。


 下半身には上様達が身に付けて居られる(はかま)に似た、彼女の膝元までを隠す赤色の袴を履いている様で、その袴から可愛らしい靴下までを白く長い袖の様な物が彼女の足を包んでいる様です。


「私の名は渡辺……。渡辺守綱(わたなべもりつな)と言います……。ここは……貴方は誰……?」


「私は朝露国の看護魔導師の【リルス】と申します!! ここは皆さんが暮らされている【額田郡浦部村】に建てられた、朝露国の医療用天幕の中です!」


 翡翠色のくりくりっとした目をきらめかせ、私が無事に目覚めた事を心を喜んでくれているらしきそう名乗ってくれた彼女に右手を両手で握られながら、私は自分が気を失う様な出来事が有ったかどうかを朦朧とした意識の中思い出します。


(確か……岡崎城に一向衆の人達が押し寄せて来て……。大蛇の化け物が出て来て……。村の皆が襲われて……)


 そこまで記憶がハッキリした所で、私は慌てて上半身を起こしたせいで驚いた様子のリルスちゃんに、慌てて今ある状況を聞きます。


「あの、皆は?! 村の皆は無事なのですか?!」


「お、おおおお!! 落ち着いてくださいいい渡辺さぁぁぁん!?」


「姉ちゃん落ち着いて!!」


 気がつけば彼女の両肩を両手で掴んで、彼女の上半身を前後に振り回していたらしき私は。正面から聴こえてきた、慌てた様子の弟・政綱(まさつな)の声を聴き我に帰ります。


「政綱……? 政綱なの?」


「そうだよ姉ちゃん! 色々と聴きたい事が有るとは思うけど、先ずは落ち着いて!! リルスちゃんが倒れちゃうよ!!」


「はわわー。世界が~ぐるぐる回っています~」


 気がつけば身体を前後に振られ過ぎて、どうやってかはわからないけど両目にぐるぐると渦巻きを描いている、弟と背丈が似たリルスちゃんに慌てて謝りつつ。

 今までに何が有り、今何が起きているかを弟とリルスちゃんに教えて貰いました。


「えーと……。つまり、一向衆の皆さんが一揆を起こして岡崎城を乗っ取り。それに合わせて、同じ一向衆の片達が三河全体を乗っ取り、朝露国とその協力しようとする人達に抵抗しようとしている……。と言う事で良いの?」


「はい! 大まかに言うとその通りです!」


「後、外で叔父さん達と村に押し掛けてきた一向衆の代表者達、そして僕達を助けてくれた朝露国のお兄さんがこれからの事を話しているんだ」


「叔父さん達が朝露国の人と? でも大丈夫なの? 一向衆の片達は皆強く反対していたから、直接の立ち会いは危険なんじゃ……」


 少し程前に見た武装した一向衆の人達の姿を思い出し、思わず背筋に悪寒が走った私にリルスちゃんが自信満々の微笑みを浮かべながら答えます。


「大丈夫ですよ渡辺さん! 私達のマスターはああ見えてお強いんですよ! それに、今は私達が付いていますから無敵です!」


「無敵って……リルスちゃん……」


 まるで先程の惨状を見ていないから言える様な彼女の発言に、思わず気持ちを落ち着けて私が言葉を選んで居る内に、半分に切られた丸太の様な形状をしている天幕の両端に有る、引き戸式の出入り口から複数の人達によるざわざわとした声が聴こえてきました。


「本気で彼等に協力されるおつもりですか、夏目殿?!」

「我々は日ノ本を守る為に空誓殿と共に命を燃やそうと誓いあったではありませんか?! なりませんぞ裏切りなどッ!!!」

「なりませんぞ!! 絶対になりませんぞ!!」


「夏目様…………」


 そこに居られたのは西三河に属する一向衆の門徒の皆さんを纏めつつ、一団を率いて岡崎城を目指していた甲冑姿の夏目様であり。

 今は後ろから後に続く、夏目様御自身が率いて来た筈の一向衆の皆さんに野次られながらも、私の様な怪我人の片がまだ50人近く居る天幕の中心部まで歩を進めて行かれます。


「皆、良く聴いて欲しい。我々一向衆は空誓殿の号令に従い、今日から日ノ本に上陸する事となっている朝露国から日ノ本を守るに辺り、元康様達無き岡崎城を占拠し、兵力を集結させる事で抵抗の意思を形にしようとした……」


 その話を後ろに付き従いながら聴いていた強硬派の皆さんは盛り上がります。


「そうだ!! 得体の知れない南蛮人どもに我々の国を踏みにじられる事だけは許せん!!」

「既に岡崎城に居る我々の仲間達は、悪っしき南蛮人達と戦っているのだ!!」


 その意見に対して、先程から私の様子を見てくれていた右隣のリルスちゃんが真剣な態度で反論します。

 

「待ってください!! 皆さんが危険視されている野蛮な南蛮人とは私達では無く、きっと“ヴァルハァム国”の事ではありませんか? 私達朝露国は本当に皆さんの助けになりたいと思ーー」


「あぁ!!? 何だ小娘?!! お前達がここまで好き勝手暴れてくれたから、皆が怒り狂ってるのがわかんねーのかよ?!!」

「よりにもよって被害者面しやがって!!! 許せねぇなぁ!!!」


「ひゃうぅ! すっ、凄まれたって! リリリ、リルスは引きませんよ!!」

「リ、リルスちゃん駄目だよ!! 気持ちはわかるけど、叔父さん達を怒らせてどうするのさ?!」


 リルスちゃんが活発な子なのは分かっていたけど、自分よりも明らかに力が有るであろう叔父さん達に母国の汚名を解く為とは言え突っ掛かる彼女の後ろ姿に私は驚かされ、弟が慌てて止めに入るのですが既に遅く。


「我々の傷を癒してくれたとは言え、無理に止めようってんなら仕方ねぇ!!」

「例え女子供であっても容赦されると思うなよ!!」


 夏目様の後方から波の様に天幕の中へとぞくぞくと押し掛けて来ている一向衆の片達は武器を手にし、今すぐにでも斬り合いが始まりそうな雰囲気の中。

 私達と一向衆の片達との間に立つ夏目様が声を上げます。


「皆、今は互いに歪み会っている時では無い!!! 先程の話し合いを忘れたか? 我々は空誓殿が多くの人命と資産を犠牲とする可能性が高い【魔石】を岡崎城攻略の為とは言え、岡崎城周辺に居た人々を犠牲にする事すらよしとした事を知ったし、目撃もした!!」


「え……?」


 その“岡崎城周辺に居た人々を犠牲にした”と言う衝撃的な話を聴いた私の頭の中は一瞬真っ白になり、その後も言葉を続けているであろう夏目様の言葉が、水の中に居ると外の音を旨く聞き取れない時と似た様な感覚で聴こえたのです。


「お姉ちゃん!?」

「渡辺さん!!」


 自分でも自分が何をしているか解りませんでした。


「な、何だぁぁぁ!!?」

「うおおい!? 何処に行くきだお嬢ちゃん!?」


 気がつけば無我夢中で、裸足のまま彼等が入ってきた出入り口を目指して、先程まで眉間に青筋を立てていた叔父さん達目掛けて駆け出します。


 突然突っ込んで来た私の様子を見て驚く叔父さん達の間を縫うように駆け、その姿を次々と滲む視界の後ろに流し、私は闇夜が広がる外の世界へと飛び出しました。


「やっぱり言葉だけで説得するのは難しーーうおっ!?」

「きゃぁ!!」

「亮太?!」


 するとそこには偶然にも私達をヤマタノオロチから身を呈して助けてくださった、全身を甲冑で固めた朝露国のお兄さんが居て、飛び出して来た私にそのまま地面に押し倒される形で倒れてしまいます……。


「いつつ……。大丈夫? 怪我は無い?」

「ひっぐ……ごめんなさぁい……。私、おどうざぁんが……おとうざぁんが岡崎城近くに居る事を忘れてて……それで……それで……!! ああっ……!」


 その時私は朝露国の片に不敬な態度を飛び越えて、怪我を負わせてしまったかも知れない大失態をしてしまっただけに留まらず。

 自分自身の意思を感情のまま、ただひたすらに吐き出そうとしてか出る声がまるでおばあちゃんの様に弱々しく、身体の震えと涙が止まらない、誰にも見せられない様な状態に有る事を理解しました。


「あ、うっ……!! すいません!! 私、何て事を……!!」

「大丈夫」

「え」


 取り乱していた私は一瞬、自分に何が起きているか分かりませんでした。


「ここへ私達が来る前に、元康様の許可を得て岡崎城の解放とその周囲の探索を許可して頂いているんだ。だから、今日は夜中を通しての救助活動が行われる。君のお父さんも必ず見つけて見せるから……。だから安心して欲しい」


「…………はい」


 彼は醜い私を突き飛ばし、怒りに任せて切り捨てる様な真似をするのではなく。

 彼のおへその上に馬乗りになってしまっている私に合わせて上半身を起こして、まるでお母さんの様に涙でぐしゃぐしゃになっている私を抱き締めて、背中を擦りながら励ましてくれたのです。


 それが何だか堪らなく嬉しくて。まるで遠く離れた国から居ない筈のお兄さんが帰って来てくれた様な……。そんな今まで感じた事が無い暖かさを感じたんだ……。

 

「い、いきなり抱き締めてごごごめんね!! すす少しはおおお落ち着いた!?」


「えっ?」


 突然私を包みこんでくれていた暖かさが離れたと思いきや、目の前には先程の落ち着いた様子の彼では無く、きっと私と同じくらいに顔を真っ赤にさせて気遣ってくださっている彼の姿が有り。

 そんな彼の変わり様に、思わず間抜けな声を出してしまった私の反応を見た彼は更に焦ってしまいます。


「ごめん! 勢いでそうした方が良いかと勘違いしちゃったんだ!! 不快にさせて本当にごめんなさい!!」


「ぷっ……ふふふふ……」


「え?」


 そこまで平謝りさせてしまった所で、本当は彼に対する申し訳無さで一杯だったのですが思わず笑いが漏れてしまい、それを見て目をぱちくりさせている彼の姿が壺に入ってしまったのが最後でした……。


「あははは! ごめんなさい!! そんなにお兄さんが慌てるなんて思っていなくて!! あははは!!」


「えーと……」


「良かったわね亮太。彼女、元気が出たみたいよ?」


「マリナまで……」


 その後、お兄さんのお腹の上で私がお腹を抱えて笑った後。今度は私が平謝りして許して貰ったのは言うまでも有りません……。


「おい! あれを見ろ!!」

「何て数だ……!!」


 そんな現実から目を背けて浮かれていた私を、天幕から出てきたおじさん達の声が現実に引き摺り戻します。


「あれは……。松明(たいまつ)の灯り?」


 星空と月明かり達が照らすだけだった筈の地上の景色にふた山程先では有るものの、地上の星とも言える見渡す限りの大量の赤星達が海の波の様に岡崎城を目指して居るのが見えました。

 

「やはり彼等は、休まずこのまま三河全域を占拠する気何だな……」


 何が起きているか良く分かっていない私に替わって、今ある状況を直立した状態でそう案じた後ろに立つ彼の言葉に私は動揺します。


「そ、それはつまりあの赤色の灯り全てが一向衆の片達であると言う事ですか……?」


 振り返りながら問い質す私の質問に対して、彼は真剣な表情でこくりと頷きます。


「ええ。彼等は元康様が織田家の救援に出て、大名とその家臣達が空白となっていて難題に対処する事が難しい今ある状況の内に攻め混み。半ば織田家との同盟関係を強硬的に重視した元康様の評価を一気に下げさせる事で支配権を勝ち取り、自分達のやり方を押し通そうとしている……」


「それは……」


 “貴方達も同じ考えでははいのですか?”と私が疑問を投げ掛けかけた所で、突然海がある方角から板を連続で叩いている様な音と、松明(たいまつ)を持って道路に長蛇の列を作って行進していた一向衆の片達の大きな叫び声が聴こえてきました。


「な、何ですかあれは!?」


 その空を翔ぶ鳥の様に浮かびながらも、何か翼の様な物を回転させながらも此方に飛んでくる、巨大な四つの物体の登場に度肝を抜かれた私も思わず声をあげてしまいます。


「あれはヘリコプターと言って、翼を回転させる事で人を乗せて空を飛ぶ事が出来る乗り物なんです。そして、あれは私達の仲間です」


「そ……そうだったんですね……」


 衝撃の余り、言葉が上手く思い付かず、ただ相槌しか打てない私と違い彼は落ち着いた口調で話続けます。


「私達は突然日ノ本に来訪し、皆さんに多くの混乱を招いてしまいました。その事に関しては深く申し訳無く思っています。しかし、それに乗じて自らの権力を手に入れたいが為に多くの人達の命を利用し、奪うだけでなく、美化すらしようとしている彼等を私達は止めねばなりません……。渡辺さんの様な犠牲者をこれ以上増やさない為にも……」


「お兄さん……」


 その言葉には彼の秘めたる熱い想いを感じました。


 でもそれと共に、彼からは何処か一向衆の片達と同じ様な何かに魅せられた人特有のあゆうさも感じたのです。


「豊口殿。彼等に対する対応は……」


 気がつけば他にも幾つか建てられていた緑色をした大きな天幕の中から騒ぎを聞き付けた村の人達と、村に集まるも大蛇に襲われたであろう一向衆の片達、合計122人もの人達が集まりつつありました。


「先程話会いました通り。我々は皆さんの安全を確保しつつ、未だ岡崎城に捕らわれているであろう片達の救出活動を行おうと考えております。既にこの村の周囲を囲うようにして、外部からの危害が加えられない様にする為、先行していた私の仲間達が目を光らせておりますので、皆さんは安全が確保されるまで天幕の中に避難していてください」


 その説明に私は皆から反論が巻き起こるかと思ったのですが、大蛇や、岡崎城での悲劇を知っているからか意外にも皆は素直に従う様で、皆は頷き会いながら言われた通り天幕の中へと入って行ってしまいました。


「少し強引だったと思うけど、命には代えられないからね……」


「ああ。出来るだけ早く終わらせよう……」


 彼の隣にずっと連れ添っているらしき可愛いらしい女の子の意味深な呟きに、後ろめたさを感じながらも冷静に相槌を打つ彼等二人の様子から何処か言い知れぬ恐怖を感じた私は、思わず足下の砂利を踏んで足音をたててしまいます。


「ひやっ」


 思わず気の抜けた声を出してしまい、冷や汗が出る感覚を感じながら焦る私。


 そして嫌な予感を感じながらも上げた視線の先には、何処か申し訳無さそうに私の様子を見ている二人がいて。


「ごめん。一揆が収まるまで、少しだけ渡辺ちゃん達にはあの天幕の中に避難していて欲しいんだ」


「それだと御二人はどうされるのですか? まさかあれだけの人々と戦われるなんて事は考えておられるですか!?」


 その質問に対して、二人は一度見詰めあってから私に視線を戻して頷かれました。


「はい。我々は元康様との約束として、この身に代えても皆さんを必ず御守りします。だからここは私達を信じて任せてください」


「そんな……!! 幾らなんでも無謀です!!」


 気がつけば強く握った両腕を胸元に寄せながら叫んでいた私に、彼は少しひきつった様な微笑みを浮かべながら「大丈夫。今度こそ……守り抜いて見せますから」と自分に言い聞かせる様に答えました。


 その言葉の意味が理解出来ずに私が戸惑っていると、突然彼の右手の中指にはめられていたらしき指輪が光り出し、


「きゃあ?!」


 合わせて私の身体も輝き始めたと思った次の瞬間。


「お姉ちゃん!?」

「え? 何でここに?!」



 私は大勢の村の人達と弟が居る、最初負傷した私が寝かされていたらしき天幕の中の出入口付近に居たのです。


「誰も居なかった筈の場所に何で突然お姉ちゃんが現れたの!?」


「わ、私も分からない……。そ、それよりもあの二人を止めないと!!」


 そう言って慌てて出入口が有る方へと振り返り、のれんの様な出入口の布に手を掛けるのですが、まるで関貫(かんぬき)が填められている様にびくともしません。


「何で?! さっきまではこんなに固く無かったのに?!」


「その出入口は僕たちが中に入った時点で突然使えなくなってしまったんだよ、お姉ちゃん……」


「そんな……」


 押し寄せる戸惑いや、恐怖感で表情が強張らせながらも教えてくれた政綱(まさつな)から得た話を聴き、私は思わず立ち尽くします。


(彼等は……きっと助からない……)


 私が天幕から出て、田んぼから見た正面の景色の中だけでも、少なくとも数千人の松明を持って近付いてくる人達が居た。


(例え、大蛇から私達を守ってくれた彼等であっても、平地で、囲う土掘りさえ無いこの村を守る事は不可能の筈……)


 考えれば考える程底無し沼の様に沈んでいく絶望の中で、私達に明るく声をかけてくれたのは弟よりも幼そうな、彼女でした。


「大丈夫です皆さん! この天幕は皆さんを襲ったヤマタノオロチのどんな攻撃からも守りきれるだけの頑丈さと、敵の髪の毛1本すら侵入する事が出来無い様に設計されています!! なので皆さんは危機がさるまでもうしばらくここで御休みになられてください!!」


 全身を使って一生懸命に説明するリルスちゃんの言葉を聴き、本来であれば反論をぶつけるべきなのですが、何故か私達は長旅から故郷に帰って来たような心地好い安心感に包まれていました。


「あ、そっかー」

「この天幕の事を知っているお嬢ちゃんが言うんだからそうなんだろうなー」

「よし。じゃあ御言葉に甘えるとするかー」


「テントに付与された魔法が無事に作動してくれて、本当に良かったのです……はぅー」


 そんな良く分からない事を言っているリルスちゃんの独り言すら鳥の(さえず)りにすら聴こえて来た私は、そのまま温かい布団の中に潜り込み、空を騒がしている何かを叩く音を聴きながらまどろむのでした。


(今日は大変な一日だったなー。明日にはお父さんとも帰って来るみたいだし……楽しみだなぁ……)

 

・最緊急事態に陥っているのにほのぼのし過ぎていたのと、話が全然進んでいる描写も無かったので追記させて頂きました。


・作品全体の見直しと、カードの残数を集計確認していた所、05-20話から複数の理由により資金の数が誤っている事が判明してしまいました。現在は修正させて頂きました。(2018.2/2)


◇資金:454,4579,7562SP


◇カード召喚により新に動員されたキャラクター、及び村に設置された物。

【設営物】

・病院天幕《Rank,UR》×4(残り13)

・毛布×50《Rank,R》×3(残り219)

・対魔魔法陣(大)《Rank,UR+》×1(残り24)


【キャラクター】

◇【上級魔道師】《Rank,SR》×30

・半数がクラスチェンジにより、治療魔導師に。残り10名が治療魔導師達の護衛役として周囲に結界を貼る防衛魔導師となり、残った五名はそれぞれ火、水、地、雷、闇に特化した魔導師となる。



◇【使い魔】《Rank,R》×50

・上級魔道師一人につき任意の形で1体ずつ支給され、余った20体は地元の獣に化ける事で半数が周囲の索敵、半数が敵地に侵入する形となる。


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