表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/186

サティの独白 ††

 ††(メイドのサティ視点)



 相変わらずご主人さまはすごい。


 なにがすごいのか上手く説明はできないのだけど、でもすごいということだけは分かります。


 四輪作(ノーフォーク)農法?


 とかいう聞いたこともない農法を発案して、食べ物の量を何倍にも増やしてしまうのだから。


 ご主人さまの実験農場からは、毎日のように穀物やカブなどの作物が届けられます。


 わたしはがんばってそれらを調理し、ご主人さまやオークのジロンさん、それに他の旅団員の方々に食べて頂いていますが、味はおおむね好評のようです。


 ご主人さまのお仕事の役に立つことはできませんが、こうやってご主人さまにご飯を食べて頂けるだけで、とても幸せな気持ちになります。


 みなさん、「おいしい、おいしい」とこのわたしの作った料理を褒めてくれるから。


 前のご主人さま、アーセナムの御領主さまの館にいたときには考えられないことです。前のご主人さまは専属の調理人を雇っていて、わたしなんかが作った料理なんて、口にさえしてくれませんでした。


 わたしは使用人の人たちのご飯を作る係りを任されていたのですが、だからでしょうか、あまり高級な食材でなくても、それなりのご飯を作ることができます。


 もちろん、今のご主人さま、アイクさまには一番良い食材を使って料理を作っていますが、この不死旅団はそれほど豊かなお金は持っていないようです。


 なるべく節約して料理しないと。


 ――って、よく考えると、魔王軍なのに、お金って変な言葉ですよね。


 わたしも最初、アイクさまからお金を渡されたとき、キョトン、としてしまいました。


 だって、魔王軍が、お金を払って物を買う、って、なんだか変だと思いませんか?


 わたしだけでしょうか?


 でも、このイヴァリースに出入りするようになった商人の皆さんも、最初は変な顔をしていたので、この感想はわたしだけのものではないはず。


 ご主人さまは、商人にちゃんとお金を払うだけではなく、街の人を働かせれば、ちゃんとそれに見合ったお金も渡します。


 ですので、この街の人たちはご主人さまを、いえ、魔王軍のことをそれほど恐れてはいないようです。


 ただ、ちょっと怖そうな人たちだな、と遠巻きに見ている感じでしょうか。

 ……ほんとは全然怖くないのに。


 見た目は骸骨がローブを纏っているようなので、怖いですが、その心の優しさは誰よりもわたしが知っています。


 ご主人さまほど慈悲深い方なんて居るわけがないのに――。


 ことあるごとに街の皆さんにそう宣伝してるのですが、いまだにご主人さまの姿を見るとすくみあがる人もいます。


 うーん、なんとかこの状況を変えないと。

 どうすればいいでしょうか?


 あ、そうだ。今度、街の皆さんを館に招いてお茶会を開くのもいいかもしれません。


 みんなでお茶を飲みながら、親睦を深めれば、自然と仲良くできるかも。

 さっそく、アイクさまに相談しないと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ