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その11 ジロンの持論 new

 オークの魔物であるジロンには持論があった。それはオークは豚の魔物ではないという持論だ。


 小説などではオークは豚の味がするなどと揶揄されるが、オークと豚は似て非なるものだ。


「あっしら誇り高いオークを豚と一緒にする風潮が気に入らないんでさ」

 

 とジロンはアイクに直訴する。


「しかし、おまえは豚鼻じゃないか」とアイクは思っているのだが、その辺は黙っておく。


「ちなみに豚じゃないのならば豚食は禁忌じゃないのだな」


「もちろんでさ。あっしは豚大好きです。カツカレーがこの世で一番好きなんですよ」


「ほう、カツカレーか」


 ちなみにカツカレーはこの世界でも有数の高カロリー食として知られる。

 

 豚に肉を衣に包んで揚げたものを、小麦粉と油脂たっぷりのカレールーとご飯の上に乗せた食べ物だ。


 タンパク質、糖質、脂質、炭水化物のオンパレードである。


 ちなみにアイクもカツカレーが大好きであったが、こだわりがあった。付け合わせは絶対にらっきょうがいいのだ。


 あの油ギッシュな食べ物には酸っぱい口休めが必須だと思っていた。


 一方、ジロンは彼はどのような場合でも福神漬け、という持論があるようだ。


「旦那は分かっていませんね。カレーには福神漬けと決まっているんです」


 弱気なジロンには珍しい強硬な口調だ。カツカレーに思い入れがあるのだろう。しかし、上司として、いや、人間として黙っていられない。


「カレーにはらっきょうと相場が決まっている。この魔王軍ではらっきょうが副菜と法で決まっているのだ」


「あ、汚い。立法できる立場だからって」


 その後、ふたりはギャースカと楽しい議論をするが、こんな話をしているとカツカレーが食べたくなってくる。そんな都合のいい話をしていると、メイドのサティが「ふふふ」と銀のワゴンを引いてくる。ご奉仕ステータスマックスの彼女はアイクたちが議論している間にカツカレーを作ってくれたのだ。


 さすがメイドの鑑、と言ったところだ。俺は彼女に賛辞を送るが、付け合わせを見て沈黙した。付け合わせが「ピクルス」だったのである。


「いや、これも酸っぱいけどさ」


 たぶん、ここでらっきょうを出せばジロンの立つ瀬がないと思ったのだろう。彼女の聡明さを表す配慮であるが、俺の口は完全にらっきょうになっていたのでいささか物足りなかった。


 しかし、サティの作ったカツカレーは絶品であった。

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