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虚身の森

学校に通いはじめて2週間程経った。

相変わらず記憶は戻りそうにはないが、楽しく毎日を過ごせてはいる。

皆は優しく接してくれているし、友達も徐々に増えてきている。

私もクラスメイトの名前を、完璧ではないが大体は覚えることが出来た。

これは、そんな矢先の出来事だった。

今日一日の授業も終わり、帰り支度をしていると、美琴ちゃんが含み笑いをしながら近づいて来た。


「な、何…?美琴ちゃん…。」


あからさまに怪しい。

思わず逃げたくなりそうな程の怪しさだった。

そんな私の気持ちを察したのか、ぽん、と肩に手を置く。

…これは逃がしてくれそうにない。


「おー、美琴が遂に動いた。今日は活動日のようだね。怖い怖い。」


「御愁傷様、五木場さん。」


遠くから、隆斗君と椎名さんがいった。

どうやらこれは、究明部活動開始の前触れらしい。

なのに二人の反応はどうだろうか。

まるで良くないことの前兆であるかのような扱いだ。

隆斗君に至っては両手を合わせている。

そんな冗談が出来るくらいに、私たちは仲良くなった。

それはそれで喜ばしい事なのだが、助け船を出すとかそういった事もしてほしい。


「ときに美琴。今日のネタはなんだい。」


「ふふふ、今日はねぇ。ズバリ、“虚身の森”です!」


大袈裟な身振り手振りをしながら、美琴ちゃんは言った。


「うつせみのもり…?」


聞いたことのない地名だった。

この一週間、美琴ちゃん達に連れられて、色々な場所に遊びに行ったが、その中にはそんな所はなかった筈。

つまり、まだ私の知らないところなのだろう。


「ああ、懐かしいな。一昔前に話題になったね。」


椎名さんの言葉に、私は固まる。


(もしかして、洒落のつもりなのかな…。)


突っ込むべきか迷ったが、美琴ちゃんが何も言わなかったので、そっとしておくことにした。

椎名さんも、別段気にしていないみたいだ。


「そ、それで虚身の森って、どんな所なの?」


「うん、見た目は普通の森なんだけどね。」


そこで一呼吸置く美琴ちゃん。


「これは昔の話…明治から大正にかけての頃の話らしいんだけど…。」


日諸市の北東部に、大きな森があった。

その森は地元の者に多くの恵みをもたらし、生活の要、と言えるほどの存在であったと言う。

しかしある日、森に入った一人の男性が帰ってこず、騒ぎになった。

大きな森であるとはいえ、一日もあれば何処かしらに出ることは出来る。

なのに帰ってこないのは、その男性の身に何かあったからだ、と皆一様に思った。

近隣の村の人々は森に入り、男性を探した。

すると、意外にもあっさりと、彼は見つかった。

だが様子がおかしい。誰が何を話しかけても上の空で、心ここに有らず、といった具合だった。

頭でも打ってしまったのかと見ても、別に怪我はしていない。

強いて言うなら膝などに擦り傷があるくらいだが、それは森の中が非常な悪路であるために、転んだだけだろうとされた。

結局原因は解らず仕舞いで、医者も匙を投げ、男性は治ることはなかった──。


「その後も村人が森から帰ってこなくなって、おんなじような状態で見つかる事が続いたもんだから、遂に立ち入り禁止になったんだって。んで、付いた名前が“虚身(うつせみ)の森”って訳。」


美琴ちゃんはそう締めくくった。


「明治、大正の話…って、結構昔の話じゃない。椎名さんが懐かしいとか言うから、精々10年位前の話かと…。」


「いや、それで終わりじゃないんだな。実はその後にも同じことがあったんだ。それでも17,8年前だから、俺らは生まれてないけど。」


今度は隆斗君が話を続ける。


「今はその森は、都市部が広がったせいで大分小さくなってんだけど、その都市開発の際に作業員が二人ほど同じ状態に陥ったんだって。伝承通りだって随分と騒がれたらしくて、そこで開発計画は中止。森も今まで通り立ち入り禁止にされたってオチ。」


「ふうん…。それで、美琴ちゃんはどうするつもりなの?」


「森に入る!」


堂々とそう言ってのける美琴ちゃん。

さっきの話を知っている上でのその言葉を、私は勇敢だと誉めるべきなのだろうか。


「でも立ち入り禁止になってるんでしょ?」


「ちょっと高いフェンスがあるだけだから、上れないこともないと思うよ。」


…どうあっても、無理矢理に入るつもりらしい。

もしその話が本当なら、かなり危険だけれど…。

というか普通に不法侵入なのでは…?


「因みに俺たちは例によって部活があるんで行けないから。」


「行くなら、気を付けて行ってきてねー。」


手を振りながら、二人は教室を出ていった。

な、なんと言う薄情者…。

いや、部活があるから仕方ないのだけれど、もう少し言い方と言うものが…。


「じゃ、行こうか。」


焦る私に、嬉々としながら美琴ちゃんが言った。

その何とも言えない雰囲気に、私は断る事が出来なかった。




美琴ちゃんに件の森へ行くと言われてから、どうも嫌な予感がして仕方ない。

こういうとき、得てして予感とは的中するものだ。

それに従い、私は一つ美琴ちゃんに提案をした。

あまり期待はしてはいなかったのだが、美琴ちゃんは快諾をしてくれた。

こう言うところがあるから、彼女は憎めない。

その提案とは、一先ず私の家に寄らせてもらうこと。

そして、宮比さんに話を聞いてもらうことだ。

いつか宮比さんの仕事を聞いたとき、彼女は霊能力者である、と答えた。

それなら、聞けばなにか分かるかも、と思ったのだ。

学校帰り、美琴ちゃんをつれ、私は一時帰宅する。

恐らく夕飯の支度をしていたであろう宮比さんは、私の声を聞いて台所から出てきた。

そして美琴ちゃんを見るなり


「ん?夕、その子は誰だ?」


と、言った。


「あ、ごめんなさい、突然お邪魔してしまって。私、堀野美琴と言って、夕子ちゃんの友達です。」


慇懃にお辞儀をしながら、そう挨拶をする美琴ちゃん。

…もしかして、猫被ってんのかな。

堀野美琴、と聞いた宮比さんは、合点のいったかのような表情をした。


「ああ、堀野サン。夕から聞いてるよ。変わってて、面白い子だってね。随分と夕が世話になってるみたいで。」


「い、いえいえ、そんなことないです。此方こそ夕子ちゃんにはお世話になってまして。」


美琴ちゃんが笑顔をこちらに向ける。


(夕子ちゃん、一体どんな話をしたの?)


…そう、言っているような気がする。

ごめんなさい美琴ちゃん。

けれど、私は何も間違ったことは言ってません。


「と、ところで宮比さん、話したいことがあるんですけど…。」


「…ふうん。話、ねえ。ま、立ち話もなんだ、二人とも家に入りな。」


私が究明部の部長(自称)である美琴ちゃんをつれてきた。

それだけで、宮比さんは大方の内容を理解したのだろう。

居間に通され、敷かれた座布団の上に座らされる。


「今、何か飲み物持ってくるから。」


と出ていく宮比さんに、お構い無く、ととりあえず言うと、美琴ちゃんは私に耳打ちする。


「ねえ、あの原江宮比さん、て夕子ちゃんとどういう関係なの?」


「あ、遠縁のお姉さんなんだ。」


「ふうん、綺麗な人だね。見た目は。」


美琴ちゃん、一言多いです。

そうこうしているうちに、宮比さんが盆にお茶を乗せて戻ってきた。


「んで、話の内容は?」


私たちの前にお茶を置くと、ぶっきらぼうに言った。

私が口を開こうとすると、美琴ちゃんが自分から言うから、とそれを制する。


「あの、私“虚身の森”に行きたいって夕子ちゃんを誘ったんです。そしたら、原江さんに話を聞いてもらった方が良いって言われて…。」


「…一応聞くが、何でそれで私の名前が出てくるんだ?」


「え?原江さんが霊能力者だからって聞いて…。そういう話なら、詳しいかもって。」


美琴ちゃんのその言葉を聞くと、宮比さんは大きな溜め息を吐いた。

そして私の方をじろ、と睨む。


「…夕、言っちまったのか。」


どうやら、私が宮比さんの職業?を喋ったのがいけなかったらしい。

手を額に当て、何事かをぶつぶつと言っている。


「いやまあ、口外するなって言ってなかったしな…。私の責任もあるか。」


そんな独り言を漏らした後、改めて私たちに言った。


「それで、“虚身の森”の何が知りたいんだ?その怪異は多少知ってるから、教えることは出来るが…。」


「全部です!」


聞かれるなりきっぱりと答える美琴ちゃん。

その余りの勢いに、流石の宮比さんも黙り込む。


「出来れば森の中に入って、その怪現象の謎を解き明かしたいんです。それが、究明部の活動ですから。」


宮比さんは腕を組み、何事かを考え始める。そして数分たってから、私を見て言った。


「…夕、これは想像してた以上に、変わった子だわ。」


…私もそう思います。

美琴ちゃんが怪異の究明にかける思いは、並々ならぬものがある。

一体何が彼女にそこまでさせるのだろう。

それを尋ねると、一言


「好奇心だよ。」


とのこと。それ以上でもそれ以下でもないよ、とも付け加えた。

そんな出所不明の熱意に押されたのか、宮比さんは立ち上がる。


「…ちょっとまってろ。電話して聞くから。」


何を?と言うより早く受話器を手に取り、、何処かへと繋げる。


「…もしもし。あ、尾白サン。ちょっと面倒な事になりまして、相談が…。」


オジロサン?

一体誰と話しているのだろう。

宮比さんが敬語を使っているのがとても新鮮に感じる。


「ええ、はい…。あれは気を付ければ危険度は少ないですし、私も責任を持って付き添いますんで…。はい、スイマセン。では…。」


がちゃり、と音を立てて電話を切った。

どうやら話がついたらしい。


「じゃあ行くか。今からなら、森につく頃には良い頃合いだろうからな。」


何処から取り出したのか、その手には鍵束が握られていた。

余りの鍵の多さに、とても重そうだ。


「森に入れるんですか!?」


「ああ、許可はとったからな。面倒だが…今回は多目に見てやる。」


やったあ、と大声で叫ぶ美琴ちゃん。

心底嬉しそうなその姿を見て、私もなんだか嬉しさが込み上げてくる。


「ところで宮比さん、さっきのは…?」


「…仕事の、まあ...上司だ。」


とても言いづらそうな表情をしてそう答える。

上司がいるような仕事だったんだ…。

私が第一に思ったのは、その事だった。




私たちが森に着いたとき、辺りはすっかり暗くなっていた。

これなら森の中は、更に真っ暗闇であるだろう。

…まさかとは思うが、迷ったりはしないだろうか。


「一応、道はある。今回はそれに沿って歩くだけだから、心配するな。」


宮比さんは慣れたもので、何の感情も見せていない。

私はというと、未だにあの嫌な予感を拭いきれずにいた。

その話の通りの状態になってしまったら、と想像すると、寒気がする。


「ほら、二人とも。これを持っていろ。」


渡されたのは、懐中電灯だった。

大分古いものらしく、点けても余り明るくはない。


「いいか、これで足元を照らすんだ。それでゆっくりでも良いから、転ばないことを第一に、気を付けて歩けよ。」


何でですか?という美琴ちゃんの問いには答えず、宮比さんは鍵使って扉を開けた。

錆び付いているのか、悲鳴のような音を立てて森への入り口は開かれる。


「ほら、入れ。」


私と美琴ちゃんは顔を見合わせる。


「え?私たちが先頭ですか?」


てっきり宮比さんが先導するものかと思っていたので、戸惑った。

道があるとは言え、こんな暗さでは外れてしまうかもしれないのに。


「私が最後尾になる理由はある。まっすぐいけば良いだけだし、間違えてたら教えてやるから。」


だからさっさといけ、と言わんばかりに宮比さんは言った。

ぐずぐずしていると怒られそうだったので、渋々従う。

美琴ちゃん、私、宮比さんの順で、縦になって森の中へ入る。

そこは、予想以上の闇の世界だった。

すぐ前を行く美琴ちゃんの姿さえ見ることができない。

命綱である懐中電灯の光も、ひどく頼りないものに感じた。


「…。」


誰も何も喋らない。

いや、喋る暇がないのだ。

足元に集中しないと、窪みや突き出た木の根に足をとられそうになる。

宮比さんに転ばないようにしろ、と釘を刺されているから、より神経質になってしまう。

ただ三人の足音や呼吸の音が森の中に響く。

…まるで他には生き物がいないかのようで、それが逆に不気味さを醸し出す。

しかしそう感じたのも束の間で、頭上の何処からか、鳴き声のようなものが聞こえた。

チチチ…といった具合のもので、とても微かではあるが、鳥の囀りのようにも聞こえる。


「…おいでなすった。」


その宮比さんの呟きと同時に、辺りの空気が変わったような気がした。

重くなった、といえば良いのだろうか。

ここにいてはいけない、と思える程に居心地が悪い。

美琴ちゃんもそれを感じているのだろう、辺りをきょろきょろと不安気に見回している。


「おい、注意を逸らすな。足元だけを見てろ。」


宮比さんの叱責に私たち二人は再び歩を進める。

何だか足が重く、さっきよりも歩きづらい。

こんなときに…いや、こんなときだからこそ、か。

恐怖に足が硬直してきているのかもしれない。

私の焦りは次第に高まる。


「…?」


ふと、あることに気が付く。

さっきまで聞こえていた、三人の呼吸の音。

それがどう考えても多くなっていたのだ。

しかもそれは、人のそれとは思えないようなもので、舌を出してするような、荒々しい音だった。


(犬…?)


森に住み着いた野良犬でも付いてきたのか。

そう思い、何気なく後ろを振り替える。


「え…。 」


私は見てしまった。

私たち三人の後ろに広がる、幾つもの目を。道の奥から、木の影から、茂みの中から。

数えきれない程の目が、私たちを睨み付けている。


「…っ!うわっ!」


それに気をとられていた私は足元の木の根に気付かず、躓いてしまう。

重心を崩した身体はいとも容易く倒れ込む。ああ、あれほど宮比さんに気を付けるよう言われていたのに。

私はなんてドジなんだろう。


「ぐえっ!」


突然首が締まる。

そのせいで私はみっともない声を洩らしてしまった。

宮比さんが私を支えようと、服の襟首部分を引っ張ったのだ。


「馬鹿っ!足元だけ見てろって言っただろ!」


転びそうになり、首を締められ、怒られる。

…散々だ。


「ど、どうしたの夕子ちゃん?」


「なんでもない。回りに気をとられて転びそうになっただけだ。それよりそろそろ出口だぞ。最後まで気を抜くなよ。」


確かに木々の隙間から、街の灯りと思える光が見える。

一つ一つは小さいが、それが集まっているため、とても頼もしい光だ。

結局、森の中にいたのは二十分程度だった。

転ばないようにゆっくり歩いていたから、普通ならもっと早く抜けられると言うことだ。

森を出てから、私と美琴ちゃんは暫く何も喋れなかった。

大して歩いたわけでもないのに、息が切れる。

気が付かなかったが、服も汗でびっしょりと濡れていた。

全てはあの、異様な空気によるものだろうことは、容易に想像できる


「宮比さん…、あの、さっきのは一体…?」

暫く森の方を宮比さんは眺めていたが、やがて口を開く。


「あれは…日本狼だ。」


美琴ちゃんと私は呆気にとられる。

日本狼。ずっと昔に、絶滅したとされる動物。

生き残りがこの森にいる、と言うことだろうか。


「いや、正確には日本狼の霊だ。…送り狼、或いは送り犬の話は知ってるか?」


私は知らなかったが、美琴ちゃんは知っていたようだった。

そこは流石の究明部部長だ。


「山道とかを歩いてると後ろを狼が付いてきて、転ぶと襲われるって話ですよね?」


「まあ、そうだ。その話は日本各地に伝わる怪異だが…ただの狼の習性に過ぎない、という説もある。」


宮比さんは話に入れない私を尻目に続ける。


「この森には、多くの狼の霊が彷徨っているのさ。それが生前の習性に従い、私たちの後ろを付いてきた。隙あらば喰ってやろう、とな。」


「…でも、それが虚身の森の怪と、何の関係が?」


「まあ、待て。順を追って説明してやるから。…この森で見つかった人は皆おかしくなってしまう、ってのは知ってるだろう?」


それは、美琴ちゃんの話にあった。

常に虚ろな風になってしまうのだと。


「でも、狼に襲われたなら大怪我をするんじゃ…?擦り傷程度しか無かったって聞きましたけれど。」


「…言ったろう、ここの狼は霊体だって。霊は人に、いやこの世の物質に触れたり傷をつけたりすることは出来ないんだ。」


なら、襲われたって何ともないのではないか。

話が全く見えてこず、私は混乱してくる。

そんな私を見て、宮比さんは呆れた顔をする。


「察しが悪いな。確かに霊は私たちの体に触れることは出来ない。だが、私たちは彼等と等しい存在のものを持っているじゃないか。」


霊と等しい存在のもの…?

そこまで言われて、私はやっと気付く。

美琴ちゃんも、合点がいったような顔をした。


「そう、襲われた人は皆喰われたのさ。その精神…、魂をな。」


宮比さんは自分の胸の辺りをぽん、と叩く。

「追われることは、かなりの恐怖だ。ましてやあの悪路。転ばない方が難しい。狼に追われ、転び、襲われ、魂を食らいつくされ…その結果が虚ろの身体、というわけだ。」


日本狼が絶滅したとされるのは、たしか明治の終わり頃。

丁度その辺りからこの怪異が始まったのは、偶然では無かったのだ。


「原因も分かり、森を立ち入り禁止にすることで被害者が出ることも無くなった。この怪異も、今は解決したと見られている。…けどな。」


徐に煙管を取りだし、慣れた手つきで火をつける。

森の前でも構わず喫煙する辺り、流石と言うべきか。


「何故狼達が霊となって森を彷徨っているのかは解っていないんだ。大体霊になる理由は怨恨や未練だが…。」


一息、宮比さんが吐く。

辺りに刻み煙草の匂いが漂う。


「もしかしたら、己を滅ぼした人間共に復讐でもしようとしているのかもな。」


その時、森の中から狼の鳴き声が聞こえた気がした。

聞いたことのある筈はないのに、何故それを狼のものだと思ったのか。

勿論どこかの野良犬のものである可能性も、あるだろう。

…でも私には、その遠吠えが宮比さんの呟きに答えたもののように思えて、仕方なかった。




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