七つの扉
木霊する。
全て自分の物にすればいい。邪魔な者は消せばいい。全て自分の思い通りだろう。
という、声が聞こえる。
どうして彼は名声も、女も、金も手に入れているのか。不公平だとは思わないか。
という、声が聞こえる。
自分の境遇に嘆いたことはないか。それに不満はないか。あるんだろう。
という、声が聞こえる。
なにもしたくないときだってあるさ。そういうときは、自分に従えばいい。
という、声が聞こえる。
あれも、これも、どれも、それも欲しい。なら手に入れればいいんじゃない。
という、声が聞こえる。
牛豚鳥鹿猪、肉、肉だ、肉が欲しい、肉、肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉。
という、声が聞こえる。
それよりも何よりも、一番欲しいのは女でしょう。埋もれて、溺れたいのでしょう。
という、声が聞こえる。
心の奥で、頭の裏で、その声は響く。朗々と、滔々と、彼らは語る。
その言葉は、楽しそうで、悲しそうで、怒っているようで、嘆いているようで、気持ち良いようで、はしゃいでいるようで、喜んでいるようで、嬉しいようで、憎んでいるようで、
全ての感情を一つの鍋で煮込んでいるようだ。
混沌として、それでいて真っ白。
何もないのか、ありすぎて純白に染まったのか。
心の奥には空間。
上も下も、右も左も、前も奥もない。広くて狭い。
目の前は壁かもしれない。自分がそう思えばここは畳一畳の空間なのだろうし、宇宙だと思えばそうなのだろう。
七人が僕を囲んでいた。
七つの扉が音も立てず佇んでいた。
それは何の前触れもなく開く。気付けば閉じている。
僕はそれを開けたり、閉めたりする。故意のときもあれば、無意識のときもある。
賑やかな彼らを、僕は扉を閉めて黙らせた。
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