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ガルシュバ上陸

新章が始まりました。


【祝】PV100万越えを達成致しました!

ありがとうございます^^

 

 

 

「っ! ととっ」

「大丈夫ですか、主?」

「あぁ平気だ。ちょっと立ちくらみが」

「それは転移魔具のせいですね。すぐ収まりますから安心して下さい」



 トマスさんが使った転移魔具により、俺達三人はドアートさんの屋敷にあった隠し部屋から、一瞬にしてどこかの河原へと転移した。

 


「ここはもうガルシュバ帝国内なんですか?」

「はい。ただ目的地の首都には転移を妨げる結界が張られているので、今回は首都にほど近い森の中に転移しました」

「そうですか」



 立ちくらみも収まり、心配して俺の背中に手を当てていたイリーナをやんわりと引き離す。



「これから同盟のアジトへと移動します。そこで現地員と合流し、情報を共有してから行動に移ります」

「わかりました」

「我が主、お荷物を」

「いやいいよ、自分で持っていくから。・・・そうだ、何ならイリーナの分も持とうか?」

「主に荷物を持たせるなど」



 俺が私がと荷物を持つ持たせないと言っていたらトマスさんに注意されてしまった。

 結局自分の荷物は自分で持つという形に落ち着き、トマスさん先導の元アジトへと歩く。







 川に沿って下ること三十分ほど、さらに森の中に入り三十分ほど歩いた。

 


「―――あ、もしかしてアレがガルシュバの首都ですか?」



 山の中腹ほどを歩いていたら眼下に壁で覆われた街が一望出来た。

 壁は真っ白でいったい何で出来ているのかは分からないが、見るからに頑丈そうかつ美しい景観だった。



「あそこが首都、といいますか帝都で間違いないのですが・・・・・・おかしい」

「? 何がですか」

「あの防壁は以前まで岩を削り積み上げて作られていた物だったのに、何なんだあの白い壁は?」



 トマスさんが驚いた表情を見せ口が少し開いてしまっていた。



「主、あの壁ですが」

「何か分かるのか?」

「はい。隠蔽されていて今まで気が付きませんでしたが、あれから微弱な魔力の流れを感じます」

「どういうことだ?」

「恐らくアレが結界を作り出しているのではないかと」

「結界って、トマスさんが言ってた『転移妨害』の?」

「それもですが、他にもなにか―――」



 俺が問いかけイリーナが答えるのをトマスさんが聞いていた。

 だがイリーナの話が途中で途切れた。



「―――そこっ」



 イリーナが突然例の『半透明の刃』を右手に出現させると、それをロケットパンチよろしく木の根元に生い茂る草むらへと射出した。

 それって飛ばせたんだ。



『!?』

 


 次の瞬間、草むらから緑色の物体が勢いよく飛び出し、俺達の目の前に姿を現した。

 俺は荷物に突き刺していた刀を片手で抜き、もう片方の手には以前からお世話になっていた『お手製フラッシュグレネード(ただの魔力球)』の極小版を作り出し臨戦態勢を取る。



「ま、待って下さい! 彼女(・・)は敵ではありません!」



 ―――が、トマスさんが慌てて間に入り止められた。



彼女(・・)?」

「はいっ、彼女は同盟の仲間です」



 トマスさんは俺が刀を下ろし魔力球も消滅させたのを確認すると、『彼女』といった緑の物体へと駆け寄った。

 よく見てみると草などが付き放題で、ボロボロになっているが緑のそれはローブのようだった。



「・・・だってさ、イリーナ。敵じゃないらしいから、その物騒な物をしまってくれないか」

「わかりました」



 イリーナが何やら指をクイクイと動かした後、格好良く指を鳴らすとどこからともなく水たまりに張った氷を踏み抜くような、何かが割れる音が聞こえてきた。

 俺はイリーナの(しょうかんぬし)なので彼女が魔法を発動し、何をしようとしたのか分かっていたのだが、それをやめさせた。



 具体的にイリーナが何をしようとしていたのかというと、まずは標的の四方と頭上を囲むように空気を固める。

 そして箱を被せられたようになった標的目掛けて、固めた空気の壁を進ませ、そのままぺちゃんこになるまでプレス・・・・・・って事をしようとしていた。



「何だよ空気を固めるって。原子でも固めたって言うのか? 凄すぎるだろ」

「私に出来ることは主にも可能ですよ」

「・・・」



 やっぱりイリーナを召喚したことによって俺はチートに磨きが掛かっている。



「大丈夫かっ、しっかり!」



 トマスさんはその間にも同盟の仲間に呼びかけていた。

 そういえば飛び出してきてから一向に動く気配がない。



「イリーナ、もしかしてさっきの攻撃当てちゃったか」

「いえ、元々加減していましたので、命中してもあそこまでにはならないはずです。何より攻撃は躱されたようでした」



 ちょっと眉をひそめて悔しそうにするイリーナ。

 よほど外さない自信があったのだろう。



「とにかく、俺達も行ってみよう」

「はい」



 俺とイリーナは駆け足気味にトマスさんと、地面で身動き一つしない同盟員の元へ向かった。





お読み頂きありがとうございます。


短いですが区切りが良かったので新章第一話はここまでで。


【次回】久しぶり、覚えてる?

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