襲撃犯はやっぱりあいつ
一度書いた文章が全削除><。
こまめな上書き保存が大切だと実感しました・・・。
眠たい中急いで書き上げました(汗)
俺とドアートさん、リンディの三人は廊下を駆け抜けた。
魔法による攻撃は止んでいる。
道すがらバタバタと忙しそうに駆け回っている男女を何人か見かけたが、今は気に掛けることなく攻撃されたという場所に向かう。
「あそこか」
俺達の前に建物が崩れて起きた煙が広がっている。
天井を突き破るように魔法が放たれたようで、外からの光が差し込んでいた。
「! 誰かいるぞっ、注意しろ!」
その言葉を聞いた瞬間、リンディが前に出て剣を抜刀する。
俺は生憎武器を持っていないので、魔法を準備する。
使うのは風魔法で空気砲のように固めた空気を発射しようと思う。
ドアートさんは獣耳と尻尾をピンッと上に伸ばし、両手の平を前に突き出した構えを取っていた。
「―――煙を飛ばすぞ」
俺はなかなか消えない煙に業を煮やし、極小さな空気砲を発射して煙を吹き飛ばすことにした。
バフッ!バフッ!という音を鳴らしながら空気砲が煙に吸い込まれていく。
何発か撃つと煙は徐々に消えていき、そこに立っていた人物の姿を晒し出す。
「・・・え?」
「何?」
「ど、どういうこと?」
順に、俺、ドアートさん、リンディだ。
目の前の状況が理解出来ない。
なぜ彼女がここに居るのだ?
「いったいどうしたんだ? マヤ?」
「お兄、ちゃん。見つけ、た」
トットットと軽い足音を鳴らしながら小走りに俺に向かって来るマヤ。
だが、その行く手はリンディとドアートさんによってガードされてしまう。
「マヤちゃん? ユーキさんを探しに来たのは分かったけど、どうやってここまで来たの?」
「それにこの惨状・・・これは君が?」
身構えつつ問いかける二人の顔をマヤはキョトンとした顔で見ていた。
そしておもむろに右手の人差し指を立てて言う。
「来たの、も、やったの、も、あっち」
「「「?」」」
立てた指さす先には大きく穴が空いた天井。
そして、
「突然主の魔力が感じられなくなり心配しました」
最近よく聞く女性の声が聞こえる。
「お待たせしました、我が主」
最初に出会った時のドレス姿のイリーナが、穴の向こうでホバーリングしていた。
いつの間にいたのだろう。
確かに最初見た時はいなかったはずだが・・・・・・てか、ドレス姿で飛ぶのは危険だ。
下から見えてしまうぞ。
『何が』とは言わないけどな――――――白・・・。
「主が望むのでしたら、いつでもご覧頂いて構いません」
「えっ!? もしかして口に出てた!?」
「いえ。視線が露骨でしたので」
「・・・・・・ユーキさん」
男のチラ見は女のガン見、とはこのことなのだろうか?
イリーナは平然としているが、リンディがまるで汚物でも見るような目で俺を見てくる。
「すみませんでしたっ!」
この世界にやって来て二度目の『DO☆GE☆ZA!』をした。
ちなみに一度目はグインタビューの森でフェルと全裸で出会った時。
「我が主、そんなことなさる必要ありません。私は主の物なのですから」
「師匠! 師匠も見ちゃったんでしょ! 謝って下さいよ!」
「いや、私は見てないが」
「当然です。主以外に見られないよう調整済みです」
出来たら俺にもその調整をして欲しかった。
屋根の残骸が散乱している廊下は膝に悪い。
俺はイリーナの言葉に甘えて立ち上がった。
「さて、もうそろそろいいでしょう。―――では、覚悟は良いですね?」
唐突にイリーナが俺とドアートさん、リンディの間に降り立ち両手に半透明な刃を出現させる。
俺はイリーナの背中越しに刃を向けられたドアートさんとリンディを見た。
いつの間にか俺の横に来たマヤが服の袖を握ってくるので、条件反射で頭を撫でてしまった。
可愛いな~。
ナデナデ。
「ま、待ってくれ! なぜ刃を向ける!?」
「我が主を誘拐しておいてそれを問うのですか」
「ち、違うのイリーナさん! これには深いわけがあって」
「問答無用です。主に仇成す者は―――死あるのみです」
うおぉ・・・俺に向けられた訳じゃないのに、イリーナから感じる威圧感で鳥肌が立った。
そんな中でもマヤどこ吹く風で、今度は俺の脇腹に額をグリグリしてくる。
めちゃくちゃ可愛いな~。
ナデナデナデナデ。
「待て、いや! 待って下しゃい! お願いしましゅ!」
「師匠噛んでます! って、イリーナさああああっ!?」
「おや、少し見ない間に獣人になったのですか。まあいいでしょう。その耳と尻尾から落としてあげましょう」
「ひぃいいいいいっ!」
「―――っは!? ちょ、イリーナ! ストップストップ!?」
マヤの可愛さに蕩けていた脳みそが再起動し、俺は慌ててイリーナを止めるべく動き出した。
~~~~~
「それで、イリーナ。どうやってここまで来たんだ? なんでもここは認識障害の結界があるらしいぞ」
あの後何とかイリーナを止め、二人を粉微塵にし灰も残らぬほど焼き尽くすという計画(イリーナ談)は阻止された。
イリーナは『主がそう言うのでしたら・・・』と不承不承という感じで引き下がってくれたが、未だに二人を見る時の視線には鳥肌が立つ。
俺はまだ傍観者だからこの程度で済んでいるが、視線を向けられている二人の顔は『青』を通り過ぎて『白』くなっている。
「あ、足が」
「痛いです~」
そんな二人は正座中。
リンディはただ正座しているだけだが、ドアートさんにはイリーナ特製氷の塊が太ももに乗せられている。
・・・・・・こんな拷問あった気がする。
「はい。確かにこの辺りは結界によって主の魔力はおろか、他の魔力も一切感じ取れませんでした。ですが、逆にそれが決め手となりました」
「どういうこと?」
「魔力の反応がなさ過ぎたのです。この辺りだけ魔力探知しますとぽっかりと穴が空いていて目立っていました。ですのできっと主はここだろう、と」
う~ん。
例えるなら、文章の中から単語をひとつ探そうとしたら、文中ある部分だけ修正液で消されていた。
修正液の部分以外を探しても単語は見つからなかったので、きっと消された部分が探してる単語に違いない。
みたいな感じかな。
「でも何でマヤも連れてきたんだ? 言っちゃ悪いが、戦力にはならないと思うんだが」
「お忘れですか。マヤは竜人ですので技や経験はともかく、既に力については大の大人と渡り合うほどの物を持っています」
「んっ」
そういえばそうだった。
最初に出会った時も成人男性を吹き飛ばしてたんだったっけ。
「それに、本人が『一緒に行きたい』と言ったので」
「心配、だった」
「一応マヤは回復魔法が使えるようになったという事もあり、様々な状況を想定して連れてくることにしました」
「回復魔法? いったいいつの間に」
「お姉、ちゃん、に、教わった」
どうやら俺の知らない所で魔法練習をしていたそうで、マヤは回復魔法が使えるようになったのだとか。
「凄いなマヤ」
「んっ」
褒められて嬉しそうに頬を染めるマヤをみて、またも条件反射で頭を撫でてしまう。
今度はイリーナも一緒に、だ。
まるで親子みたいだな、と今の様子を客観的に見た感想が思い浮かんだが、恥ずかしいので言わないことにしよう。
しばらくの間、俺とイリーナはマヤの頭を撫で続けた。
「・・・いつまでこうしていればいいんだ」
「知りませんよ。声を掛けてみたら良いんじゃないですか? あの空気を壊す勇気があるなら、ですけど」
「・・・・・・待つか」
「それがいいでにょわああああ! あ、足がっ、痺れっ!」
完全に忘れ去られていた二人だった。
お読み頂きありがとうございます^^
襲ってきたのはイリーナ!と思わせてマヤ、かと思ったらやっぱりイリーナでした。
多くの方は予想済みでしたね(汗)
『これ(犯人)イリーナだよね』という感想が沢山届きました^^;
主人公の魔力が感じられなくなったのは馬車に乗せられたところから。
馬車にも内部の様子が分からなくなるよう結界が張られていました。
そしてマヤ、回復魔法を覚えました。
回復魔法は無属性。
マヤの場合『歌声』で癒す方法にするつもりです(仮)
いつ回復魔法が使われるか分からないので、先に少しだけ触れておきました。
【次回】新章突入直前回! 主人公の決断。
※加筆11/01




