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Fantapia ~転移チートが異世界を行く~  作者: アズマ
グインタビューの街
4/92

街に到着、そして初めての対人戦

全てその場で考えて書いています。

プロットやら今後の展開などの構想は決めていません。



投稿は12時か0時に固定しようと思います

 

 

 

 デスドッグとの戦闘から数十分後。

 俺とフェルは大きな門の前に立っていた。



「おーでっかいなー」

「そう? この規模の街なら何処もこんなもんよ」



 そんな会話をしつつ門に近づき、フェルは立っていた門番の人に話しかける。

 俺は『ちょっと待ってて』とフェルに言われてので、二人とは離れた場所で待機する。



「おうフェル、見回りご苦労さん。森の様子はどうだ・・・ん? あっちの男は?」

「ただいまオリオさん。・・・あの人はユーキって言って、森の中にいて・・・・・・ちょっと訳ありなの」

「・・・そうか。じゃあ宿舎の方で待ってて貰えるか。俺もすぐ行くからよ」

「わかったわ」



 話が終わったのか、フェルは俺の方に戻ってきた。



「何か問題でもあったか? 特に俺関係で」

「問題という程でもないわ。ただ、オリオさん―――あの門番の人と話があるから、一度自警団の宿舎に行くことになったわ。だから一緒に来てちょうだい」

「ん。了解」



 あの男はオリオというらしい。

 話している時の様子を見る限り、フェルとは親しいようだ。

 ・・・・・・ふむ。



「彼氏か? でも年が違いすぎると思うが」

「バカ言ってないで行くわよ」



『ポカ』っと軽く肩を叩かれ、俺とフェルは門の中へと入っていった。

 門を抜けたところでフェルが言った。



「ようこそユーキ! グインタビューの街へ!」


 




 ~~~~~




「おう、待たせたな」



 オリオさんが片手を上げつつ部屋に入ってきた。

 ここは門の中にある『グインタビュー自警団』の宿舎にある一室だ。



「いえ、こっちこそ忙しい中ごめんなさい」

「気にすんな、仕事は暇そうな若い連中に頼んできたからよ」



『ガハハッ』と笑いつつオリオさんは俺たちの座ってる机の向かい席に腰掛けた。



「さてと、まずは自己紹介だ。おれはオリオ、このグインタビューで自警団の団長をやってる。歳は四十一だ」

「初めまして。俺は本郷悠紀(ほんごうゆうき)、異世界からやって来ました。歳は二十歳です」

「「二十歳!?」」



 突然オリオさんとフェルが大声を上げた。



「たまげたな。てっきり十五、六だと思ってたわ」

「私も・・・年上だったなんて」

「? そんなに幼く見えますかね」



 あれか、日本人は海外の人から見ると実年齢よりも若く見えるとかそんな感じか。



「いやーすまん。話の腰を折っちまったな。さっそくで悪いが『異世界』ってのは?」

「はい」



 俺は最初から全部話した。

 あっちの世界では力が異常だったこと。

 神様に会ったこと。

 提案を受けこの世界に来たことなどなど。



「そしてフェルとこうしてこの街に来たという感じです」

「う~ん」



 全部話し終えたところでオリオさんは悩んでいるようだった。



「オリオさん、ユーキの言ってることは信じられない事かもしれないけど、私は本当だと思うの」

「あぁ、俺もコイツが嘘を言ってるようには見えねぇよ」

「だったら、」

「でも俺はこの街の自警団長という立場なんだ。俺個人の考えで、他から見たら怪しいってヤツを自由にする訳には行かないんだよ」



 オリオさんの言うことももっともだ。

 そう思っていたら、フェルがオリオさんにある提案をした。



「だったらユーキの言ってることが本当だって証明すればいいのね」

「あ、あぁ。言ってること以外は良い奴みたいだからな」

「じゃあ証明しましょう。良いわねユーキ!」

「お、おう」



 いつの間にかフェルがこの場を支配してました。




 ~~~~~




 所変わってここは自警団の訓練場。

 学校のグラウンドを想像して貰えれば良い。

 違うのは、トラックが書かれていないことと、訓練用の木人や武器が置かれていることだ。



「フェルの嬢ちゃん、本当にいいのかい? 一対三だぞ」

「えぇ・・・僕もあまり気乗りしないのですが」

「二人とも良いから構えろ。これは団長命令だぞ」

「・・・・・・なぜこうなった」



 訓練場の一角で俺とオリオさん、副団長のニックさん、さらに団内で上位の剣術の使い手であるトール(年下なので呼び捨て)が向かい合っていた。

 全員の手には訓練用に刃引きされた剣が握られ、おそろいの軽鎧を身につけている。



「ユーキが言ってることが本当だって証明するためでしょ。心配しなくてもユーキなら負けないわよ」

「いや、そういう事ではなくてだなフェル」

「いいからチャッチャと片付けちゃいなさい! 死ななければ後で治癒魔法が使える人が治してくれるから!」



 もう台詞が悪役っぽいですフェルさん。



「おう坊主。お前キングボアとデスドッグの群れを一人で片付けたんだってな? それが本当かどうか確かめてやるよ」

「副団長。あまりやり過ぎないで下さいよ」

「トールお前はやられないようにしろよ」

「ちょっ、団長まで」



 この三人は以前キングボアとデスドッグの群れと戦ったことがあるそうだ。

 三人がかりで勝った相手に俺は一人で勝ったと言った。

 だったら三人相手にして勝てたのならそれは本当なのだろう、とう寸法。

 フェルのそんな提案により、俺は三人と戦うことになった。



「はぁ、じゃあ行きますよ」

「おう! どっからでも掛かってこんかいっ!」



 ニックさんが答えて他の二人も構える。



「では・・・・・・っ!」

「え?」



 俺はまずトールに向かってダッシュした。

 距離は約10m位離れていたが、俺からしたら一瞬で詰められる距離だ。



「しっ!」

「くっそ!?」

「トール!」



 トールの胸当て目掛けて袈裟懸けに剣を振ったが、オリオさんの剣がその軌道上に現れ俺の剣は止められてしまった。



「オリオさん!?」

「油断するな、コイツは・・・ただ者じゃねぇようだな」

 


 いったん俺は距離を開ける、だが俺はこの時見落としていた。

 もう一人の存在を。



「隙有りだぞ坊主!」

「うわ!?」



 いつの間にかニックさんが俺の左側面へと回り込んでいて斬り掛かってきた。

 オリオさんよりも年上に見えるのに、その動きは先ほどトールを助けたオリオさんよりも速く、力強く見える。



「くっ」

「そらそらそら!」

 


 連続で斬り掛かってくるニックさん。

 だが、最初こそ慣れない対人戦だったので苦戦したが――――――。



「せぇい!」

「ぬっぐぅぅ」



 あっという間に連撃に慣れた俺は、僅かな隙間を縫って剣を片手で横薙ぎに放った。

 ニックさんは攻撃のために剣を上げていたので、防御することも出来ず俺の攻撃は胴へと吸い込まれる。



「はぁっ!」



 剣を振り切った状態の俺に、今度はトールがチャンスとばかりに斬り掛かってくる。

 振り切った剣とは反対側から斬り掛かってくるその攻撃は、普通なら避けることもカウンターを当てることも不可能だろう。



 そう、普通なら。



「っんのぉぉ!」



 ブォンッ! バキィィン!



「ばっ馬鹿な!?」



 俺は剣が間に合わないならと、空いていた手でトールの剣を迎撃した。



 


 ボクシングのフックのように剣を殴り、上手いこと剣の腹?部分に当たってその場所から真っ二つに折れた。



「うらぁ!」

「ぐはっ」



 剣が折られ立ちすくんでいたトールにトドメとばかりに胸当ての上から殴る。

 トールは勢いよく後ろへ倒れた。



「ふんっ」



 その隙をオリオさんが見逃すわけもなく、背後から襲ってきた。

 しかも斬り掛かるよりも最短で早く敵に到達する突きでだ。

 いくら刃引きしていても突きは危ないだろう、と慌てて真上にジャンプする。



「!? な、なに!」



 オリオさんは俺が突然目の前から消えて無くなり動揺した。

 俺からしたらジャンプしただけなのだが、大体5mくらいジャンプしたな・・・。



「―――っと、勝負あり・・・かな」

「!? そ、そうだ、な」



 キョロキョロしているオリオさんの背後に降り立ち、後ろから首に剣を当てる。

 ―――これ人質を取った悪人みたいな構図だな。



 

 こうして俺の初めての対人戦は僅か数分の内に幕を閉じた。

 魔物としか戦ったことがなかったが、対人戦は良い経験になったと思う。




 ・・・・・・あれ?




 当初の目的って何だったっけ?




 

最後までお読み頂きありがとうございます。


評価、お気に入り登録の程よろしくお願いします!

数字が増えると作者のやる気に繋がります!


※誤字修正8/29

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