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Fantapia ~転移チートが異世界を行く~  作者: アズマ
グインタビューの街
36/92

加勢する

※9/24 7:31【重大報告】

活動報告をご覧下さい。

 

 

 

「もう、ついてないわね」

「本当だよ~」



 私たちは背中合わせになりながら愚痴る。

 目的の街までもう少しなのに、こんなところで時間を取られるとは・・・。



「お前らっ、よくも二人を!」



 私たちを取り囲む盗賊の一人が怒鳴り声を上げる。

 


「襲われたから撃退したまでよ。とやかく言われる筋合いはないわね」

「そうだそうだ~」



 盗賊が怒っている理由は、地面に倒れている二人の男だ。

 こいつらは私たちの手によって絶命している。



 街道を歩いていたらこの二人とすれ違った。

 軽く会釈して普通歩いていたら、後ろからいきなり羽交い締めにされ、短刀を突きつけられた。

 だからそれを振り払い、剣を抜いた。

 ただそれだけのことだ。



「生かして帰さねぇぞ。おい野郎共!」



 その声を合図に盗賊は全員が武器を構える。



「お~、やる気か~? 相手になるぞ~」

「はぁ、面倒くさいわね」



 私たちも目の前の敵に集中する。



「ほらほら~、掛かって来なよ~」

「このっ、むかつく喋り方してんじゃねぇ!」

「なにお~」



 一人の男が斬り掛かってくる。

 


「フィーネ」

「ほ~い」



 気の抜けた返事をしながらフィーネは剣を向ける。

 


「―――こっちもか」



 私たちの気が一人に向いていると思ったのか、斬り掛かってきた男と正反対の場所にいた男も向かってきた。



「そっちは任せたわよ、魔法も可」

「りょ~か~い」



 フィーネの剣が光り出す。

 私たちの剣はちょっと特別製(・・・)なのだ。



「なんだ!?」

「そ~れ」



 立ち止まってしまった男にフィーネは土魔法で攻撃する。

 地面や土の中から無数の(つぶて)が飛び出し、男の体を滅多打ちにする。

 ほどなくして男は『ドサッ』と地面に倒れた。



「油断大敵よ」

「うがっ!?」



 私もフィーネに続いてもう一人を切り伏せる。



「さて、次は誰かしら?」

「誰だ~、誰だ~」



 (わざ)と挑発気味に問いかける。

 すると盗賊達のこめかみには青筋が浮かび上がり、今にも破裂しそうだ。



「・・・・・・」

「――――――」



 少しにらみ合っていた次の瞬間、



「――えっ? ぎゃあぁ!」

「何!? どうし、うあっ!?」



 数人の盗賊がどこからか飛来した魔法によって倒れた。



「くらえ!」



 そして、魔法を放ちながらこちらに向かって走ってくる黒髪の男の子が見える。



「どうやら援軍のようよ、フィーネ。じゃあ行くわよ」

「お~」

「あの黒髪の子はやっちゃダメよ」

「わかってるよ~」



 突然の第三者の介入に総崩れとなった盗賊。

 戦意も喪失した彼等を撃退するのは時間の問題だった。



 ~~~~~



「退け! 退け!」



 その言葉を待っていたかのように、蜘蛛の子を散らすように逃げていく盗賊達。

 だが、逃げていくのは少数で、他の男達は地面に倒れたままだった。



「えっと、追わなくても良いのかな?」



 ローブを着た二人に問いかける。



「別に良いわ。だからフィーネ、ここに居なさい」

「は~い」



 どうやらローブの内一人は女性、もう一人は幼い声だがおそらく女の子。

 遠目からも見えていたが、女性は俺と同じくらいの身長だが、もう一人は胸くらいまでの高さしかない。



「さて、一応ありがとうと言っておくわ、旅人さん」

「いや、この様子じゃ俺が助けに入らなくても大丈夫だったみたいだしな。あと、俺はユーキって言うんだ」



 あと言わなかったが、剣を魔法媒体にした戦いってのも間近で見ることが出来たし、こちらも得る物があった。

 今後の参考、ってほどでもないが良い経験になったと思う。



 逃げていった盗賊達も無傷ではないが、俺が魔法で手加減して攻撃した連中ばかりだった。

 この二人が攻撃したやつらは、皆地面に転がっている。

 死んでいる者もいれば、うめき声を上げているのもいるが。



「ユーキね。改めてありがとうユーキ。私はシェスカ。こっちはフィーネよ」

「よろしく~ユーキ」

「あぁ、よろしくな」



 思わずフィーネの頭を撫でてしまう。

 ちょうどいい高さに頭があったものだから、ついな。



「ん? なんだ」



 ローブの上から頭を撫でていたら、手に何か当たる感触があった。

 ・・・・・・もしかして。 



「フィーネは獣人なのかい?」

「うん? そうだよ~」



 やはり手に当たる感触は獣人特有の『獣耳』だったようだ。

 だとしたら悪いことをしてしまった。

 獣人は自分の耳を触られるのはあまり好きではないのだ。

 親しい間柄ならまだしも、俺はついさっき知り合ったばかりだ。



「あぁ、大丈夫よ。フィーネはその辺り無頓着だから」

「そうなのか?」

「い~よ~。もっと撫でて~」


 

 大丈夫そうなので撫でる。

 ついでにローブのフードを頭から外してくれたので、素顔を見ることが出来た。

 グインタビューでも何人か獣人の知り合いがいたが、フィーネはその中でも可愛らしい顔立ちをしていた。



「ところで、あなたは剣を差しているけど、魔法使いなの?」



 シェスカもフードを外して質問してきた。

 シェスカはエルフだった。

 やはりエルフ特有なのか、恐ろしく整った顔立ちだった。



「一応剣も魔法も使えるよ。ただ、今は剣は使わないようにしてるんだ」

「へぇ、何か事情がありそうだから詳しくは聞かないでおくわ」

「別に深い事情って程でもないけどね」



 剣の使い方がへたっぴだから、なんて別に言わなくても良いか。



「それで、二人ともこいつらどうする?」

「このままでいいわよ。殆ど死んでるし、第一連れて行く手段がないわ」



 馬車などあれば連れて行くことも出来るが、生憎俺も二人も徒歩だ。

 置いて行くってのもちょっと抵抗があるが、この世界ではこれも当然の選択なのだ。

 ドライ、と言うわけではないが、常に生死を賭けた世界ならこれも致し方ないと割り切る。



「俺はソプレゼに向かってるんだが、二人は?」

「私たちはグインタビューへ向かってるの」

「あ、そうなのか」



 もしかして拙い事したかな?

 グインタビューで俺の指名手配を知ったらどう思うか・・・・・・まぁ別に良いか。



「悪いけどこっちも急ぐ旅でね、グインタビューまで送れないんだ」

「あら、そこまでしてくれなくて大丈夫よ。見たでしょ、私たちの強さを」

「私たちは強いぞ~」



 そうだよな。

 この二人の強さなら問題無いか。



「じゃあ、俺は行くよ。二人とも、幾ら強いって言っても気をつけてな」

「えぇ、ありがとう。また会えると良いわね」

「じゃ~ね~」



 シェスカとは握手をして、フィーネはまた頭を一撫でして別れる。

 突発的な戦闘だったが、経験と出会いがあったのは良かったかな。



 ~~~~~



「・・・行ったわね」



 ユーキという男の子。

 隠していたのか知らないが、あの子の魔力はかなり強いと思う。

 魔法に長けたエルフの私にはそう感じ取れた。



「でも、あいつら(・・・・)とは関係なさそうね。洗脳されてた様には見えなかったし」

「シェスカ~、行こうよ~」



 フィーネは私の腕を振って催促してくる。



「分かってるわよ。じゃあ気を取り直していきましょうか」

「お~」



 グインタビューまであと少し。

 情報では、どうやらあいつらの一人が領主に取り入っているらしいが、いったい何をしようとしているのか。



「待ってなさい・・・私が殺してあげるから」



 あいつら・・・・・・仮面の連中(・・・・・)がまだいると良いけど。



  


お読み頂きありがとうございます^^



ローブの二人組みは、あの仮面のやつを追いかける人達でした。

しかも『仮面のやつら』ということは、何人もあんな仮面の人がいることに?

イメージとしては悪の組織ですね。



次回、主人公、新しい街に到着!


※9/24 7:31【重大報告】

活動報告をご覧下さい。


※誤字修正9/25

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