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Fantapia ~転移チートが異世界を行く~  作者: アズマ
グインタビューの街
24/92

幕間劇 ~囚われのフェル~

幕間劇です。

ちょっとあっさり目かな?

 

 

 

 マギーと買い物に行こうと家を出て、突然複数の男達に囲まれた。

 全員頭から足まですっぽり隠れる長いローブを着ていた。



「なに、あんた達」

「・・・・・・」



 私の問いに答えるつもりが無いのか、無言で私たちを囲み出す。

 だが、今の時期に襲ってくる連中の心当たりなんて一つしかない。



「(1、2、3・・・全部で7人か)」



 マギーと二人ならやってやれない人数ではない。

 どうやらローブの盛り上がりを見るに、下は武装しているようだが魔法が使える私たちなら問題無い。



「おい、三人ほど周囲を監視しろ」

『はっ』



 一人がそう言うと、他の三人が道の向こうへと走っていく。

 恐らく、邪魔者が入らないように見張るのだろう。



「舐められたものね、私たちをたった四人で相手しようだなんて」

「・・・フェル、油断は禁物よ」



 マギーは既に臨戦態勢といった具合に、魔力が込められた指輪を構える。

 男達はやはり武器を持っていた。

 ローブの中から揃いの剣を取り出す。



「・・・(スッ)」

「いつでも来なさいよ」



 先ほど命令した男が片手をゆっくりと上げる。

 あれ下ろされたら襲いかかる合図だろう。

 その場の全員が身構えた――――――その時。



「うおぉぉぉぉ! フェルーーー!」

『!?』

「ガンス!?」



 突然ガンスが私たちと男達の間に割って入った。

 手に持った斧を手近な男に振り下ろすが、悠々と躱されてしまう。



「ちっ、外したか」 

「ガンス! どうしてアンタがいるのよ」

「ギルドの護衛連中と一緒に見張ってたんだよ。護衛のやつらは走っていった三人の方へ行ったぜ」

「フェル、この人は?」



 ギルドから護衛が出されていたのは知っていたけど、ガンスもいたのは初めて知った。

 ガンスはグインタビューでは上位の冒険者だから、納得と言えば納得だけど。



「俺はガンスってんだ。そっちは兄貴の仲間になったエルフさんだろ」

「兄貴?」

「こいつユーキのことを兄貴って言ってるのよ」

「そう、私はマギーよ。私のことは・・・そうね、姐御とでも呼んでもらおうかしら」

「「姐御?」」

「だって私はユーキのパートナーだもの」



 マギーは左手薬指の指輪を見せながら言う。

 ガンスは『そうなんですかい!? 分かりました姐御っ』なんて言って疑いもしない。



「ちょっとマギー! そういう冗談は―――」

「っ、来るぞ!」



 突然の乱入者に驚いていた男達だが、体勢を立て直して襲いかかってきた。



「うおらっ、らぁ!」

「(スッ)・・・(スッ)・・・」



 ガンスは斧を振るって迎撃する。

 だがその全てを避けられる。



「マギーっやるわよ」

「えぇ」



 私とマギーは魔法を放つ用意をする。

 私は隠し持っていた小さな杖を、マギーは指輪を構える。



「おい。例の物を」

「はっ」



 魔法で狙われているというのに、男は慌てもせず隣にいた男に何かを取り出させる。

 出された物はネックレスのような物だった。



「? なにあれ」

「まさか!? あれは―――うっ!」

「マギー!?」



 突然マギーが倒れた。

 苦しそうに呻いていたが、やがて気を失ってしまったようだ。



「マギー! マギー! しっかりしてっ」

「ぐあぁっ」

「!? ガンス!」



 マギーが倒れているのに気を取られていると、ガンスが吹き飛ばされてきた。

 その体は傷だらけで、マギーと同じく気を失ってしまった。



「・・・お待たせしました。他の護衛らしき者たちも片付けました」

「わかった。――連れて行け」

 「やめなさいよ! この―――んっ」



 離れていた三人も戻ってきて、私は口に布を押しつけられた。

 布は甘い匂いがして、その匂いを嗅いでいたら意識が遠のいてきた。



 最後に見たのは、私に大きな袋が被せられる光景だった。



 

 ~~~~~




 暫くして私は目を覚ました。

 手足は縛られているが、背中に感じる柔らかさからベッドに寝かされているようだ。

 そこは豪華調度品が置かれた部屋だったが、扉が一つあるだけで、窓が一つもなく圧迫されるような気分になった。



「おや、目が覚めたかい?」

 


 一つしかない扉が開かれ、見たことのある人物が入って来た。

 その男は、以前私を押し倒そうとしてきたジョウンだった。



「やっぱり、あんたが黒幕なのね」

「そんな人聞きの悪い言い方はないだろう。ちょっと君を僕の屋敷に招待しただけだよ」

「ふん、あんな手荒で強引な手を使って、なにが招待よ」



 怖い。

 目の前の男がとても怖かった。

 でも我慢して平気な振りをして言い返す。



「これを外しなさい! こんなことしてギルドや領主が黙っていると思うのっ」

「あぁ、大丈夫だよ。この件にはギルドも叔父の兵も動かないからね。・・・忘れたのかい? 僕は領主の兄の息子、つまり甥なんだよ?」

「な、何言って」



 ニヤァ、と気持ち悪い笑みを浮かべるジョウン。

 そしてゆっくりと私の方へ近づいてきた。



「い、いや!? 来ないで!」

「くくく、良い姿だね」



 ジョウンが側まで来て、手を伸ばしてきた。

 そして、その手が私の顔に触れそうになった時、



 コンコンコン。



「ジョウン様。例の奴(・・・)が渡したアイテムについて話しがあると申してます」

「ちっ、いいところで・・・・・・わかった!」



 扉がノックされ、ジョウンは手を出すことなく退出していく。

『助かった』と私はほっとした。



「あ、そうだ。この部屋には魔封じが施されているから、君の得意な魔法は使えないよ。僕はちょっと用事があるから・・・また後でね」



 扉から出る際に思い出したかのように言ってくる。

 試しに魔法を使ってみようとするが、貯めた魔力はすぐに霧散してしまう。



「(マギー、ユーキ)」



 手足を縛られ、脱出することも出来ない私は、仲間の二人を思い浮かべることしかできなかった。





最後の最後までお読み頂きありがとうございます^^


評価・お気に入り登録のほどよろしくお願いいたします!



次回は、本編に戻ります。

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