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Fantapia ~転移チートが異世界を行く~  作者: アズマ
グインタビューの街
22/92

行動には責任が伴う

FFXIVエオルゼアにハマッてます。

いつもは弓とか魔法とかを使いますが、今回はタンクで頑張ってます。

 

 

 

 今日も今日とてギルドに依頼を受けにきた。

 討伐系は、畑を荒らす獣や魔物。

 採取は以前のアオノソウや森の中の茸。



 現在ある依頼はどれもやったことがある物ばかりだった。

 見慣れた依頼が過半数を占めていて、目新しさに欠ける。



「ん~、今日はこれにしようかな」



 俺は別にお金に困っている訳ではないので、報酬には興味ない。

 ぶっちゃけると、転移した際に神様から貰った支度金?だけでも遊んで暮らせる。

 具体的に言うと、この世界のお金が各種十枚あったからだ。

(お金の価値は『第七話 お約束の後は宿探し』に記載してあります)



 既に日本の一般生涯平均収入(約一億円)を越えるだけ持っている。

 しかもこの世界は大体物価が元の世界の半分なので、俺は二度ほど人生を送ることが出来る。



 そんな訳でお金よりも『興味』を優先して依頼を受けている。

 だから今日はこれを――――――と、依頼書に手を伸ばした時だった。




「あ、兄貴! 兄貴いるかっ!?」



 ギルドの扉を壊さんばかりに勢いよくガンスが駆け込んできた。



「おう、ここに居るぞ。どうした、そんなに急―――」

「フェルが攫われちまった!」

「!?」



 ガンスは俺の元まで走ってやって来て、俺の言葉を遮るように言った。

 しかも体中傷だらけだ。



「兄貴どうしたらいい! 俺はどうしたら!?」

「落ち着け。いったん落ち着いてから、何があったのか教えてくれ」

「はぁ、はぁ、んくっ・・・は~」



 深呼吸して息を整えるガンス。

 俺は息が整ったのを頃合いに、『フェルが攫われた』ことについて聞いた。



「ガンス。フェルが攫われたのは間違いないのか? 場所は? 人数は?」

「あぁ、間違いねぇ。俺はその場に居合わせたんだ。場所はフェルの家の目と鼻の先だ。人数は見えてた範囲では四人だった」

 「攫った奴はやはり領主の甥か」

 「ジョウン――領主の甥のことですが、あいつはその場にいなかった。だが、まず間違いなくあいつの仕業だ」



 ジョウンという名前だったのか。

 気にしてなかったから初めて聞いた。



「なぜそこまで言い切れる?」

「見たんだ。連中頭から足まですっぽり隠れるローブ着てやがったが、俺と戦ってる時に翻ったローブの下に見慣れた鎧が見えた」

「鎧というと」

「ギルドで剣を抜いたあの馬鹿共のと同じデザインだった」



 あの鎧はジョウンの私兵(・・・・・・・)しか着てない特注品らしい。

 領主に仕えてる兵達とは『デザイン』『性能』が違い、金と親の力で良い装備をしているそうだ。

 ―――そういえば。



「マギーはどうしたんだ? あいつもフェルと一緒に居たと思うんだが」

「あ、姐さんでしたら」 



「何の騒ぎじゃ」

「ギルド長」



 俺たちと、俺たちの周りで話を聞いていた冒険者や職員の騒ぎが、ギルド長室まで届いたのだろう。

 受付の奥にある扉からガーフィさんが出てきた。



「騒ぎの元凶は・・・ガンスとユーキか。いったい何があったのじゃ?」

「ギルド長! 実は」

「待てガンス。俺が説明するから」

「ふむ。訳ありのようじゃな。申してみぃ」




 ~~~~~




「こちらでも確認した。・・・フェルはジョウン一派に拉致されておる」



 ガーフィさんはギルド職員を通じて状況を確認させた。

 ギルドの方で出していた、護衛がガンスと同じく『鎧の上にローブを着た集団』に襲われ、今収容されたらしい。



 ガーフィさんは報告と一緒に持ってこられた紙を握りつぶす。



 さらに悪いニュースがあった。

 フェルと一緒に居たはずのマギーだが、護衛と一緒に収容されているそうだ。

 ただ、護衛の人達はケガが酷いのだがマギーは無傷だった。

 無傷だったのだが、何かの魔法で動きを封じられ、気を失わされて倒れたそうだ。



「姐さんは襲われた時に応戦しようとしてたんです。けど、連中が妙な物を取り出したら突然倒れたんでさぁ」

「妙な物?」

「多分ネックレスとかそんなんで、鎖の先に宝石っぽいのが付いてました」



 さらにそのネックレス?を『五円玉催眠』みたいにぶら下げて揺らしたそうだ。

 恐らくだが、それによって『動きを封じる』魔法が発動したのではないかと思う。



「ギルド長! 早いとこフェルを助けに行こうぜ! 兄貴も行きますよねっ」

「もちろんだ。俺の仲間に手を出したことを思い知らせないとな」

 


『俺も連れてってくれ!』『おう、みんなで行こうぜ』『フェルに手を出すたぁふてぇ野郎だ』『ジョウンの所への案内は任せて!』『私も!』『僕も』



 俺とガンスの熱が移ったのか、その場にいた冒険者の多くが『一緒に行く』と言い出す。

 彼等、彼女らの目には怒りの炎が浮かび上がっていた。



「ギルド長! ほらっ、行こうぜ」

「・・・・・・・・・」

「・・・ギルド長?」



 ガンスが呼びかけてもガーフィさんは答えなかった。

 様子がおかしいのが冒険者達にも感じ取れ、みな黙ってギルド長に注目した。



「・・・・・・すまん」

「?」

「儂は・・・いや、ギルドはこの件には今後一切関わらん(・・・・・・・・)

「な、なに、言ってんだよ」



 ガーフィさんの言葉が信じられず、声が震えるガンス。

 他の冒険者もギルド長の言葉に動揺が走っている。



「すまん」

「ま、まてよ!」



 ガーフィさんが一言だけ言って奥の部屋に戻ろうとするのを、ガンスが肩を掴んで強引に止める。

 その拍子にガーフィさんの手から、握りつぶされた紙が転げ落ちた。



「――――――これは」

「・・・・・・そういうことじゃ」



 俺は落ちて転がってきた紙を拾う。

 紙はどうやら手紙のようで『ギルド長へ』と書かれていた。

 


 悪いと思いつつも内容を読むと・・・・・・なるほど、これではガーフィさんが身を引くのも仕方がない。



「ガーフィさん。これの送り主は『領主』ですか」

「・・・・・・」



 無言の肯定をするガーフィさん。

 


「ギルド職員、住民、そして、俺たち冒険者のためにですか」

「・・・・・・」



 無言のガーフィさん。

 俺は歯を食いしばり、握りつぶされクシャクシャになった手紙を、更に握りつぶした。



 クシャクシャの手紙にはこう書かれていた。



 ―――甥のすることに手出し無用。もしこれを破れば『グインタビュー支店』に未来はない―――


 



最後までお読み頂き誠にありがとうございます^^


評価・お気に入り登録していただけると作者はうれしいです!


※誤字修正9/10

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