行動には責任が伴う
FFXIVにハマッてます。
いつもは弓とか魔法とかを使いますが、今回は剣で頑張ってます。
今日も今日とてギルドに依頼を受けにきた。
討伐系は、畑を荒らす獣や魔物。
採取は以前のアオノソウや森の中の茸。
現在ある依頼はどれもやったことがある物ばかりだった。
見慣れた依頼が過半数を占めていて、目新しさに欠ける。
「ん~、今日はこれにしようかな」
俺は別にお金に困っている訳ではないので、報酬には興味ない。
ぶっちゃけると、転移した際に神様から貰った支度金?だけでも遊んで暮らせる。
具体的に言うと、この世界のお金が各種十枚あったからだ。
(お金の価値は『第七話 お約束の後は宿探し』に記載してあります)
既に日本の一般生涯平均収入(約一億円)を越えるだけ持っている。
しかもこの世界は大体物価が元の世界の半分なので、俺は二度ほど人生を送ることが出来る。
そんな訳でお金よりも『興味』を優先して依頼を受けている。
だから今日はこれを――――――と、依頼書に手を伸ばした時だった。
「あ、兄貴! 兄貴いるかっ!?」
ギルドの扉を壊さんばかりに勢いよくガンスが駆け込んできた。
「おう、ここに居るぞ。どうした、そんなに急―――」
「フェルが攫われちまった!」
「!?」
ガンスは俺の元まで走ってやって来て、俺の言葉を遮るように言った。
しかも体中傷だらけだ。
「兄貴どうしたらいい! 俺はどうしたら!?」
「落ち着け。いったん落ち着いてから、何があったのか教えてくれ」
「はぁ、はぁ、んくっ・・・は~」
深呼吸して息を整えるガンス。
俺は息が整ったのを頃合いに、『フェルが攫われた』ことについて聞いた。
「ガンス。フェルが攫われたのは間違いないのか? 場所は? 人数は?」
「あぁ、間違いねぇ。俺はその場に居合わせたんだ。場所はフェルの家の目と鼻の先だ。人数は見えてた範囲では四人だった」
「攫った奴はやはり領主の甥か」
「ジョウン――領主の甥のことですが、あいつはその場にいなかった。だが、まず間違いなくあいつの仕業だ」
ジョウンという名前だったのか。
気にしてなかったから初めて聞いた。
「なぜそこまで言い切れる?」
「見たんだ。連中頭から足まですっぽり隠れるローブ着てやがったが、俺と戦ってる時に翻ったローブの下に見慣れた鎧が見えた」
「鎧というと」
「ギルドで剣を抜いたあの馬鹿共のと同じデザインだった」
あの鎧はジョウンの私兵しか着てない特注品らしい。
領主に仕えてる兵達とは『デザイン』『性能』が違い、金と親の力で良い装備をしているそうだ。
―――そういえば。
「マギーはどうしたんだ? あいつもフェルと一緒に居たと思うんだが」
「あ、姐さんでしたら」
「何の騒ぎじゃ」
「ギルド長」
俺たちと、俺たちの周りで話を聞いていた冒険者や職員の騒ぎが、ギルド長室まで届いたのだろう。
受付の奥にある扉からガーフィさんが出てきた。
「騒ぎの元凶は・・・ガンスとユーキか。いったい何があったのじゃ?」
「ギルド長! 実は」
「待てガンス。俺が説明するから」
「ふむ。訳ありのようじゃな。申してみぃ」
~~~~~
「こちらでも確認した。・・・フェルはジョウン一派に拉致されておる」
ガーフィさんはギルド職員を通じて状況を確認させた。
ギルドの方で出していた、護衛がガンスと同じく『鎧の上にローブを着た集団』に襲われ、今収容されたらしい。
ガーフィさんは報告と一緒に持ってこられた紙を握りつぶす。
さらに悪いニュースがあった。
フェルと一緒に居たはずのマギーだが、護衛と一緒に収容されているそうだ。
ただ、護衛の人達はケガが酷いのだがマギーは無傷だった。
無傷だったのだが、何かの魔法で動きを封じられ、気を失わされて倒れたそうだ。
「姐さんは襲われた時に応戦しようとしてたんです。けど、連中が妙な物を取り出したら突然倒れたんでさぁ」
「妙な物?」
「多分ネックレスとかそんなんで、鎖の先に宝石っぽいのが付いてました」
さらにそのネックレス?を『五円玉催眠』みたいにぶら下げて揺らしたそうだ。
恐らくだが、それによって『動きを封じる』魔法が発動したのではないかと思う。
「ギルド長! 早いとこフェルを助けに行こうぜ! 兄貴も行きますよねっ」
「もちろんだ。俺の仲間に手を出したことを思い知らせないとな」
『俺も連れてってくれ!』『おう、みんなで行こうぜ』『フェルに手を出すたぁふてぇ野郎だ』『ジョウンの所への案内は任せて!』『私も!』『僕も』
俺とガンスの熱が移ったのか、その場にいた冒険者の多くが『一緒に行く』と言い出す。
彼等、彼女らの目には怒りの炎が浮かび上がっていた。
「ギルド長! ほらっ、行こうぜ」
「・・・・・・・・・」
「・・・ギルド長?」
ガンスが呼びかけてもガーフィさんは答えなかった。
様子がおかしいのが冒険者達にも感じ取れ、みな黙ってギルド長に注目した。
「・・・・・・すまん」
「?」
「儂は・・・いや、ギルドはこの件には今後一切関わらん」
「な、なに、言ってんだよ」
ガーフィさんの言葉が信じられず、声が震えるガンス。
他の冒険者もギルド長の言葉に動揺が走っている。
「すまん」
「ま、まてよ!」
ガーフィさんが一言だけ言って奥の部屋に戻ろうとするのを、ガンスが肩を掴んで強引に止める。
その拍子にガーフィさんの手から、握りつぶされた紙が転げ落ちた。
「――――――これは」
「・・・・・・そういうことじゃ」
俺は落ちて転がってきた紙を拾う。
紙はどうやら手紙のようで『ギルド長へ』と書かれていた。
悪いと思いつつも内容を読むと・・・・・・なるほど、これではガーフィさんが身を引くのも仕方がない。
「ガーフィさん。これの送り主は『領主』ですか」
「・・・・・・」
無言の肯定をするガーフィさん。
「ギルド職員、住民、そして、俺たち冒険者のためにですか」
「・・・・・・」
無言のガーフィさん。
俺は歯を食いしばり、握りつぶされクシャクシャになった手紙を、更に握りつぶした。
クシャクシャの手紙にはこう書かれていた。
―――甥のすることに手出し無用。もしこれを破れば『グインタビュー支店』に未来はない―――
最後までお読み頂き誠にありがとうございます^^
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※誤字修正9/10




