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Fantapia ~転移チートが異世界を行く~  作者: アズマ
グインタビューの街
19/92

奴等をまとめて排除する

今回から文字数を減らしてお送り致します。

前までは3000~4000字程を目安にしていましたが、2000~3000字くらいになります。

 

 

 

「フェル、マギー」

「あ、ユーキ!」

「ユーキさん」



 俺が声を掛けると、その場にいた全員の視線が集まる。

 だが好意的なのはフェルとマギー、二人だけで残りの男六人の視線は言わずもがなだ。

 


「君は誰かな? 僕達は今ちょっと立て込んでるんだ。用事なら後にしてくれ」

 


 フェルの手を掴んでいた男が言った。

 男は冒険者ギルドでは珍しい、機能度外視の見た目だけ煌びやかな服を着ていた。

『宝塚』や『ベルバラ』っぽいと言えば分かる人もいるんじゃないかな?

 鎧を来ている五人はゴッツイ体をしていて、この男の優男っぷりが際立っていた。



「いや、二人とも俺の仲間でね。困っていたみたいだから」

「そうよ! いいかげんに離しなさいよっ」



 フェルは振り解こうとするが、男の掴む力が強いのか腕をブンブン振り回しているだけだった。



「嫌がっているのがわからないの? だったら―――」



 マギーの指輪が光る。



「ダメよマギー! ギルド内での戦闘は御法度よっ」

「でも、」

「嫌がっていても関係ない。フェル嬢には一緒に付いてきて貰う」

「おい、お前―――っ!?」



 俺が優男に手を伸ばす(・・・・・)と、周りの男達がすかさず間に割って入り、腰に差した剣を抜いて切っ先をこちらに向けてきた。



 近くにいたギルド職員の女性(ミラーさんとは違う人)はそれを見て『キャー!』と甲高い悲鳴を上げる。

 様子を見守っていた他の冒険者も、さすがに剣を抜くとは思っていなかったのか、驚きざわめいていた。

 中にはいつでも動けるように、自分の武器へと手を伸ばしている者もいる。



「―――コレは何のつもりだ?」

「先に君が手を出した(・・・・・)のだろう? ちょうどいい、お前達」



 優男がそう言うと周りの男達が動き出す。

 五人の男達は終始無言で剣を構えたまま、俺を中心に円を描くように移動した。



「・・・フェル嬢。もう一度聞きますが、一緒に来てくれませんか?」

「い・や・よっ! 何であんなやつの所なんかに」

「それでは仕方がありませんね。・・・お仲間の彼にはちょっと痛い目にあって貰いましょう(パチン)」



 指を鳴らす音を合図に男達がジリジリと間合いを詰めてくる。



「―――ちょうどいいや。モリア神父に教えてもらった魔法、試させて貰うぞっ」

『!?』



 俺はとある『闇』魔法を使った。

 すると近づいてきた男達はその場で立ち止まってしまう。



「おい何をやっている! 早くコイツを―――」

「無理だよ。この人達の動きは、俺が止めてるからね」

「何を言って―――!?」

「そして、君もね」



 優男達六人は視線を動かしたり、声を上げたりすることは出来るが、指先一本たりとも動かない。



「フェル、もうそいつは動けないから落ち着いて手を抜いて」

「う、うん」



 何度か捕まれている腕を動かして、最後は引き抜くことが出来た。

 


「こ、これはいったいなんだ! 何をした!?」

「騒ぐなよ、今説明してやるよ」



 男だけでなく、その場にいた全員が知りたそうにしていたので、俺は種明かしする。



「簡単に言えばお前達の『影を地面に縫い付けた』んだよ」

「な、なに」

「俺がいた世界の―――まぁ空想上の話しだけど。その中で使われていた術の再現だよ」



 モリア神父から魔法についても色々聞いた。

 その中に『闇は影を操れる』という話を聞いた時から、これは使えると思っていたんだ。



「さてと、こいつらどうしようか? 二人とも」

「そうね、ここは」



「ここは儂が仕切らせて貰おう」



 突如見知らぬ声がギルドに響いた。



「ギルド長!? 帰ってきてたんですか?」

「うむ、今し方な」



 ギルドの入口には、一人のおじいさんが立っていた。

 白い口ひげを仙人のように伸ばしていて、かなり高齢に見えるが背筋は伸びていて、きびきびした動きを見せている。



「お主とそこの女性は見かけない顔だな? 儂がいない間に登録した冒険者かの?」

「はい、そうです。ユーキ(・・・)といいます」

「私はマギーと申します。初めましてギルド長殿」



 俺は自己紹介をユーキと統一することにした。

 本郷が付いてると貴族かどうかでややこしくなりそうだったからな。

 幸い今までは『ホンゴーユーキ』と一括りで名前だと思われていたようだ。



「そうか、改めて儂はこの支店の長をしておるガーフィと言う。歓迎するぞ若人達よ」



 一通り挨拶が済むとギルド長――ガーフィさんは固まったままの男達に視線を切り替えた。



「お主達は儂と来て貰おうか。ユーキよ、魔法を解いてはくれんか」

「大丈夫ですか? こいつらは武器を持ってますよ」

「そんなもんは――――ふんっ」



 ガーフィさんが手を突き出して、何かを握りつぶすような仕草をした。

 すると、男達の持つ剣がぐにゃぐにゃに変形した。



 何の魔法か分からないが、一目見ただけで強力な物だと分かる。



「これで安全じゃ。素手で向かってきても、こちらにはまだまだ大勢武器を持った奴等がおるでな」



 恐らく大勢とはここに居る冒険者達のことだろう。

 それなら大丈夫か、と納得し俺は闇魔法を解いた。



「うわぁっ」



 優男は突然体の自由が戻り、バランスを崩して転んでしまった。

 他の男達はなんとか踏ん張ったようだ。



「さぁ! きりきり歩けぃ!」



 五人の男は素直にガーフィさんの言う通りに移動した。

 男達の周りは、男性ギルド職員と何人かの冒険者が随伴している。

 だが優男だけはその場に残り俺のことを睨み続ける。



「お主もじゃっ、ほら!」 

「触るなっ・・・貴様、ユーキと言ったな。僕達をこんな目に遭わせて、後悔するがいいっ」



 その言葉を残して優男もギルド奥へと連れて行かれた。



 この場は収まったみたいだけど、優男の捨て台詞を聞くに、どうやら厄介事はまだ終わっていないようだ。



 今はとにかくフェルとマギーに話を聞こうか。




後書きまで読んで頂きありがとうございます。


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