邂逅が女性を外界へと連れ出す
街へ帰る内容にしようと思ったのですが、帰らせられませんでした。
今回、お色気?シーンを書いてみました。
この小説を書き始めて一週間。
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読んで下さる皆様に最大限の感謝を!
『私を一緒に連れて行ってくれない?』
人工魔物を倒したあと、とにかく遺跡を出ようと言うことになり出口へ向かった。
俺は別れをゴーストの女性に告げたのだが・・・さっきの言葉だ。
「でも、あなたはここから出られないのでは?」
『それはあの人工魔物がいたからよ。でも・・・もうあの子はいなくなったから』
ちょっと寂しそうに、そして悲しそうな顔をしてそう言う女性。
「そういえば聞きそびれてたけど、どうしてあの魔物のことを熟知していたのよ? それに『あの子』って妙な言い方ね」
『・・・そうね。あなたたちには、話しておかないといけないわね』
女性は神妙な面持ちで空中に座った。
言っちゃ悪いがとってもシュールです。
「―――それにしてもフェル」
「? なに?」
「もう怖くないみたいだね」
「・・・・・・ア、アタリマエヨ」
訂正しよう。
どうやらもう少し慣れが必要なようだった。
~~~~~
『あの人工魔物はある魔術師が作ったと言ったわよね。その魔術師とは私のことなの』
「・・・やはりそうでしたか。薄々気付いていましたがね」
『あらそう? でも、そっちの子は気が付いてなかったみたいよ』
フェルは『え、本当に?』と目を見開いて驚いていた。
「フェル。あんなに鋭い問い詰めしてたのに、気が付いてなかったの?」
「わ、悪いっ!? ちょっと考えつかなかっただけよ」
「それが気付かなかったって事だよ・・・」
フェルは頭が良いのか、悪いのかよく分からないな。
『続けても良いかしら?』
「すみません。どうぞ」
話しを中断してしまったことを詫びて、右手を差し出しどうぞ、と促す。
『当時―――200年前このファンタピアは二つの大国が、覇権をかけて戦争していたわ』
「ファンタピアとは?」
「ファンタピアはこの世界の名前よ。ユーキ知らなかったの?」
・・・・・・そういえばこの世界のこと全く知らないな。
知ってる国はアースト(刀に似たアースト剣を作っている国)だけだし、街もグインタビューしか知らない・・・・・・。
『どうかしたの?』
「いえ、自分の無知さと脳天気さに驚いていました」
「そ、それでっ? 戦争がどうしたの?」
若干苦手意識がまだ残っているが、フェルは女性に話しかける。
『二つの大国―――イデリア王国とガルシュバ帝国の戦争は、それはもう酷い物だったわ。両者の力が拮抗していたから被害はどんどん増えていくし、まさに泥沼にはまっていったの』
なるほどな。
確かに戦争で一番被害が出るのは、お互いの戦力が同じくらいの場合だって言うしな。
『私はイデリア王国に属していたわ。大勢の魔術師の中でも私は抜きん出た才能を持っていて、ある日とある命を王直々に承ったわ』
「もしかしてそれが?」
『・・・王が命じたのは『人工魔物を作り、ガルシュバを蹂躙させよ』だったわ』
ガルシュバ帝国はイデリア王国より魔術関連が脆弱だったらしい。
ただ、ガルシュバは剣術や体術に優れ、数も多く物量ではイデリアは敵わなかったらしい。
フェルに二国について聞いてみたが『歴史はあんまり詳しくない。でも聞いたことはある』と言っていた。
今度詳しい人に聞いてみよう。
ついでに俺はこの世界について色々知らなすぎだから勉強しないと。
力はあるが数が少なく、相手の物量を捌ききれないイデリア。
数では勝るが力が及ばす、決定打に欠けるガルシュバ。
そうした要因が、戦争を泥沼へと導いた。
『さっき倒したあの魔物は完成した最初の一体だったの。だけど・・・魔物は暴走したわ』
「最初の一体という事は、人工魔物は戦争には使われなかったのですね?」
『それはわからないわ。私は暴走したあの子をここに足止めするために、ずっとここに残っていたから。もしかしたら、他の魔術師が作り上げたかもしれないわね』
女性はそう言って首を振った。
『私の魔力はこの遺跡に全て捧げたわ。その代償として肉体を失って、ゴーストになったのだけど・・・都合が良かったわ。ゴーストならあの子の攻撃も効かないし、何よりどれだけ長い年月でもあの子を監視していられるから』
と言うことは、200年もの間ずっと一人であの魔物を抑えていたのか。
「それが、ここから出られない理由だったんですね」
『そうよ。あの子を作ってしまったのは私だから・・・責任を取らないと、ね』
女性は儚げな笑いを見せる。
不謹慎だが、その姿はとても綺麗だと思ってしまった。
「それで、あの魔物が死んだ今、ここに居る理由はないから『一緒に連れて行って』ってこと?」
『そうよ。あなたは私が苦手みたいだから申し訳ないと思うけど、外に出てみたいの』
「べ、別に苦手とかっ、こ、怖いとかじゃないんだからね!」
フェル、どんどんツンデレに磨きが掛かって行くな。
しかし、どうしたものだろう。
「ゴーストって外に出ても大丈夫なんですか? イメージ的に日の光に弱い気がするんですが」
『そうだけど、手がない訳じゃないのよ』
女性は『ちょっと待ってて』と言うと、フワフワ飛んでいって壁をすり抜けていった。
やっぱり壁とかすり抜けられるんだ。
『待たせたわね』
「ひぅっ」
女性が壁の向こうから戻ってきた。
その際首だけ壁から出るのを見たフェルの喉が鳴ったのが聞こえた。
『あなた、これに魔力を込めてくれない?』
女性が手を出して何かを渡してきた。
手に取ってみてみると、それは銀色の指輪だった。
・・・・・・というか。
「物、持てるんですね」
『集中と、あと魔力を使えばなんとか持てるわ』
光石もこうやって設置したらしい。
だが、ゴーストが魔力を消費するのは命を削るような物なので、頻繁には出来ないそうだ。
「この指輪に魔力を込めるんでしたね。どうやるんです?」
『あの閃光魔法と同じ要領よ。指輪を握って、手の中の指輪に意識を集中すればいいわ』
あれは閃光魔法とかじゃなくて、ただの魔力球なんだが・・・・・・まぁいいか。
俺は言われた通りに指輪を握って集中する。
すると、指輪に一瞬模様が浮かんで金色の指輪に変化した。
「銀から金に変わったんですが?」
『えぇ、それでいいのよ』
「うわぁ~きれ~」
指輪を返すと、女性はその指輪を左手の薬指にはめた。
フェルは指輪に施された素晴らしい細工に見とれている。
『これはっ、想像以上ね。もしかしたら』
「あのー?」
『・・・見ていてちょうだい。―――(ブツブツ)』
「?」
女性が小さく何かを言っているが聞き取れない。
見ていろと言うから黙ってみているが。
すると、女性の体がどんどん透けなくなってきた。
「なんだ!?」
「え、どうなってるのよ、これ」
「ふう。200年ぶりの肉体だわ」
俺とフェルの目の前には『肉体を持ったゴーストの女性』が立っていた。
しかも――――――『全裸』で!
「(ポタ、ポタ、ポタ)ん? (ペチャ)うわ! 鼻血がっ」
「ユーキ! 見るんじゃないわよ! あっち向いてなさい」
「うふふ、可愛い反応ね。別に私は見られても構わないわよ」
ちょっと性格変わってません?
それと、やたらと胸を強調するポーズは控えて頂きたい。
・・・俺が貧血になってしまうので(ぱたり)。
「アンタも、見せびらかすんじゃないわよ! ほら、これ!」
「自慢の体よ。見られて困るような物じゃないわ。とくに胸とか―――」
「黙れデカ女!」
「あなただってそれなりじゃない。私ほどじゃないけど、ね」
「~~~~~ッ!」
どうやらフェルが自分の羽織っていたマント―――いや、ローブだって教えてもらったな。
とにかくそれを女性にの肩に掛けているようだ。
ようだ、と言っているのは俺がその様子を見ていないからだ。
俺?
俺は今、地面とキッスしてますよ。
さてと、女性も何だか肉体を持ったらしいけど・・・・・・。
これからどうなるのかな。
――――――とりあえず、早く鼻血止らないかな?
最後までお読み下さってありがとうございます。
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初めてこの世界の名前が出てきました。
世界の名前は「ファンタピア」です。
ファンタジーとユートピアを掛け合わせてみました。
次回こそ、遺跡から街へ帰らせたい。




