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9 黒幕と話してみた

「お前が黒幕だと?」


 俺は鎧の人物にその真意を問う。


「ああ。久しいな勇者ルシファー。それと勇者ラスト」


 仮面をつけている俺たちの正体を暴くか。どこから漏れた? 考えられるのは。


「私じゃありませんよ?」


 ティアからの圧。別に疑ってる訳じゃねえよ。ただ可能性の一つとして過っただけだ。


「そこの姫、怪力ゴリラと我は無関係だ。気にしないでくれ」


「私がかいりき……なるほどぉ。あなた様は死にたいのですねぇ」


「ティアさん!? 今は抑えて!」


 ティアが腕を振り回す。そんな彼女をラストが必死に押し込む。


「離してください。この方を殴らなければ気が」


「この人は敵か味方かわからないんだよ!? だから、今は堪えて!」


 あいつらがいると話が進まなそうだな。やれやれ。ここは俺が代わりに聞いといてやるか。


「お前、名前は?」


「名は明かせない。勇者パーティーの一人。お前と面識のある存在。まだ交戦はしていない。とだけ」


 こいつが勇者パーティーの一人ねえ。見覚えがない。姿が隠れてるのもあるが、気配を全く感じられないから。


 魔術で気配を隠蔽しているのだろうか。これでは誰なのかわからない。


「名を言わないのは、ばれたら困るからか?」


「いやいや。お楽しみという奴だ。時が来れば明かす」


「あっそ」


「はあ……はあ……はあ……。それより、黒幕ってどういうことなの?」


「ぜひ、お聞きしたいです」


 息を切らしたラストたちが割り込んでくる。


「ん? 奴隷売買、アモンの暗殺、ティアに呼び出された勇者たちの足止め。その先回りだな」


「えぇ……随分とペラペラ話すね」


「気まぐれというやつだ。ご容赦願いたい」


「その一連の行動。私たちの行動を予見して、行ったんですか?」


「闇の流れを見れば、お前たちの行動はある程度予測がつく」


 随分とかっこいいことを言ってくれるじゃないか。なるほど。この謎の人物は、俺たちの依頼に便乗していると。


「グヘヘ。お前たちは我の掌で踊らされていたのだよ。今も。そして、この先」


「うぜえ」


「ふぐあへっ!?」


「「ゑ?」」


 俺は鎧を殴り飛ばす。


「ちょっと! ルシファーさん! なにしてんの!?」


「何って、ターゲットの一人? だし。しかもこんなにべらべらと話すくらい、俺たちを舐めてるし。攻撃の理由としては充分だろ」


「そうだけど! なんか今はタイミングが違うって言うか」


「戦いに違うも糞もない。俺はただ奴の掌から降りたいから殴った。それだけだ」


「うわー……なんともシンプルな発言だな」


「グヘヘ」


 鎧がよろけながら立ち上がる。


「生きてたか」


「残念だが、この体に攻撃しても無駄だ。我はこの体の持ち主を操り、外から会話してい」


「嘘つけ」


「ぶほっ!?」


 俺は更に一撃を命中。その隙に鎧の冑を取る。


「あー」


 そこには意識のないおっさん。こいつは勇者パーティーの一人じゃない。赤の他人だ。どうやら、攻撃しても無駄なのは本当みたいだな。


「勇者本人じゃないと。どうやら、お前は意気地無しみたいだな」


「意気地無しで結構」


「あー、もう! 話が進まないから後々!」


 ラストは地団駄を踏む。


「それよりも、君の目的はなんなの?」


「目的か」


 鎧は俺たちのいない方角に首を向ける。なんでカッコつけるんだよ。こっち向いて話せよ。


「満たされたい。それだけだな」


「満たす?」


「ああ。ある日、我は知った。使命を果たし成功しても、先に待つのは破滅だと」

「我は絶望した。人生とはなんと無価値で脆いものかと。だが、同時にこうも思った」

「これは面白いと」

「我は抱いた思いを確かめるべく、成功者を破滅に追い込んでみた。すると、どうだろう?」

「私の心は高ぶった。ああ! 他者の人生を転落させるとはなんと残酷で! なんと罪深く! なんと面白いものかと!」

「今回の我が一連の暗躍! これはその延長線! 我が心を満たすための作業だ!」


「「「え? なんて?」」」


 なっげ。一人でよくそこまで語れるな。なんだっけ? 忘れた。まとめると異常快楽者?


「ラスト、今の話しを理解できたか?」


「あ、えー、だいたい」


「じゃあ要約してくれ」


「あの、あれだよ。なんか、ね? あはは」


 こいつも理解できてねえな。


「ティア、お前はわかったか?」


「何も。この方の戯れ言を聞く筋合いはございませんので」


 めちゃくちゃ怒ってる。さっきの怪力どうこうが響いてやがるな。


「我の言葉などどうでもよい。それよりお前たち。これから我を含めた残り三人の勇者を殺すのだろう?」


「ああ。まさか、残りの二人に報告して俺たちを止めるのか?」


「いや? お前たちの進行は止めない。寧ろ、応援する。我は破滅で心を満たしたいからな」


「仲間の破滅を喜ぶとか。趣味悪いな」


「人殺しを生業にしている奴に言われたくはない」


「はいはい。じゃあ、俺たちとお前は敵対しないってことでいいんだな?」


「いや? 勇者を滅ぼしたその時。我が直々にお前たちの相手をしよう」


「なぜ」


「お前たちの破滅。それをこの目に焼き付けたいからな。グヘヘへへへ!」


 鎧はこの場から姿を消す。


「転移だね。あれでどこかに逃げたみたい」


「追跡は?」


「無理かな。遠くまで逃げられたらどうしようもないよ」


 厳しいか。


「それで? ティアさんよ。この後の予定は? 明日もまた一人、勇者を殺すのか?」


「いえ。明日で一気に決めます」


 ティアが地面を強く踏む。夜中にあまり大騒ぎするのはやめとけ。目立つから。


「勇者パーティーのリーダー、ベリアル様の屋敷。そこに残る三人を集めましたので」


 ◇


 翌日。俺たちは残るターゲットを殺すため、ベリアルの屋敷に出向いていた。


「ベリアル様」


「ようこそティア様! 歓迎します!」

「っす」

「……」


 勇者パーティーの三人がティアに頭を下げる。この中に、昨日の黒幕がいるんだよな?


「ところで、そちらの仮面を着けた二人は?」


 ベリアルは俺とラストに訝しそうな視線。


「私のボディーガードです。お気になさらず」


 俺とラストは仮面を装着している。顔見知りの奴らに、正体を見られるわけにはいかないから。


「そこの二人がボディーガード? 失礼ですが、ティア様には必要」


「なにか?」


「あ、いえ……」


 ベリアルが恐る恐る口を閉じる。要らないよなあ。こいつにボディーガードなんて。俺たちの設定は友人とかで良かっただろ。


「それよりも中でお茶に致しましょう。私、とーっても疲れておりますので」


 こうして俺たちは屋敷への潜入に成功。今、最終決戦の序幕が上がろうとしていた。

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