第3話 罪を犯した者の村
すくすくと成長した私は、成人の儀を向かえて大人になりました。
すると今まで親切にしていた者達が手のひらを返して、その手に凶器をもちながら私に詰め寄ってきます。
「どうして」という私に、「いままでさんざん可愛がられてきただろう」と返す者達。
彼等の口から聞かされたのはこの村に瘴気の犠牲者がでなかった真実。
彼等は人の命を使って、数十年に一度この村に結界をはっていました。
そうする事で、世界中が困っている瘴気の影響をふせぐ事ができたのです。
犠牲が出る力ですが、見方をかえると便利な力です。
その力が世に広まっていれば、多くの人が助かった事でしょう。
私はそれについて再び「どうして」と尋ねます。
すると彼らは、「我等に濡れ衣を着せてこのような辺境の村においやった者達への罰だ」と言いました。
彼等はかつて、罪を着せられた無実の者達でした。
何の言い訳もできずに追いやられてしまった層です。
言われてみれば、その村には、外からやってきた者達が定期的に現れました。
でも村から出ていく人はいません。
それは、世界が許さなかったからです。
罪びとの自由を。
ある意味彼等も被害者だったのでしょう。
でも、私は許せませんでした。
今まで私を騙し、利用してきた者達の事を。