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第1話 幸せな子供時代
私は小さな村で、大切に育てられてきました。
大人の村人達からは「かわいい、かわいい」といって褒められて。
「いい子だね、いい子だね」といって褒められて。
村の中の誰よりも甘やかされて、幸せな子供時代を過ごしてきました。
だから、大きくなったら村の人達の役に立つ事がしたいという夢がありました。
そんな夢を持てたのは、何から何まで幸せだったのです。
そんなふうに幼いころの私は、その事を当然と思っていました。
たけれど、それはよく考えてみるとおかしかったのです。
だって、私は何の変哲もない子供でしたから。
そんな子供を、村で一番可愛がるなんておかしな話でしょう?
可愛がられて、大切にされて育った私は、他の子供達と付き合う事なく過ごしてきました。
それは、いざという時に私に手を貸すものがあらわれないようにするため、だったのです。