新学期
ー入学式の翌日
新しい通学路を歩いて、新しい景色を眺めながら、大学へと向かった
指定された教室へと向かうと指定された席に座るよう促されて、座席表が張り出されていた
「どこだった~?」
「お、朱莉おはよう。間に合ったんだね」
「危なかったよ~新学期早々悪目立ちするとこだったよ」
「席ここだ」
「うわぁ、やっぱ離れてるな~終わったらそっち行くね~」
「うん、またあとでね~」
新しい環境で周りも知らない人ばかりで変に見渡してしまう
「ここって85であってるかな?」
「席番?多分あってると思うよ!」
「ありがと~名前なんて言うの?」
「櫻井伊吹!伊吹でいいよ~」
「わかった!私はね___」
新しい環境でもなんとかやっていけそうな気がして少し安堵した
「伊吹!」
「やっと終わったね~」
「めっちゃ話しかけられてたじゃ~んモテモテ~」
「周りみんな優しい女の子ばっかで助かった」
「私なんて男子ばっかだったんだけど?!」
「よかったじゃん、イケメンは見つかった?」
「う~ん…あ!いた!席は慣れてるんだけどねいたよ!」
「どこ?まだいる?」
「いるいるいる!あの一番奥にいる青のカーディガン着てる子!」
「あ~黒髪マッシュの?」
「そうそう、伊吹の好きそうな顔してたけどね」
「話せる機会あったらいいね」
「そっちのエリアは?イケメンいた?」
「かわいい女の子はいっぱいいたよ~」
「もう、少しは男に興味持ってもいいんじゃないの~?」
「そのうちね~」
学校が始まる前にSNSを繋げた子たちもこうなってしまえば誰が誰だかわからない
こういうはじめましての世界では自分から行くだけいいんだなって改めて実感した
高校生の時ならきっとためらっていたことも「大学生だし」という魔法のような言葉でどうにかなる
新学期初日から割と仲良くなれそうな子を見つけられたことは幸いだった
「今日バイトだっけ」
「そうだよ、杉浦さんに急遽ヘルプ頼まれちゃって」
「ほんとよく働くよね~」
「お金はあって損しないからね」
「頑張ってね」
「うんありがとう。また明日ね!」
「また明日~」