攻める星の話しを聞きます。Part2
「ひひっ。それでは再開していきましょうか。ひひっ。まさかここまで時間が掛かるとは思いませんでしたよ。ひひっ。まあ、落ち着いて下さい。ひひっ。その大量の攻撃手段は置いておきましょう? ひひっ。頼むから落ち着いて下さい」
研究員がさっきのことを話そうとして攻撃されそうになっている。
どうやら今回のことはなかったことになりそうだ。
「ひひっ。改めて行きましょう。次はたくさんの狂暴な生物がいる狂乱の星でしたね。ひひっ。この星は単純明快です。ひひっ。戦うしか能のない生物しかいない星です。ひひっ。炎を纏った生物がいたり、水の中でしかいない生物がいたり。ひひっ。それら全ての生物が戦いしか求めていません。ひひっ。なのに何故か絶滅しません。ひひっ。どんなに調べてもどこからか急に生物が生まれ、そして戦うのです。ひひっ。しかも普通とは異なる生物がいます。ひひっ。影の中から攻撃したり、一定範囲に近づくと死ぬ場面も目撃しました。ひひっ。そのせいで情報が上手く集まりませんでした。ひひっ。この星に明確な主は存在しません。ひひっ。全てが争いを求めるため、勝ってもすぐに戦い続けます。ひひっ。寝ていたらすぐに殺されるので寝ることが許されません。ひひっ。つまり戦うことが出来て、初見で相手の特性を理解し、なおかつ全ての生物を倒すことが出来る天才が必要だったのです。ひひっ。ですので第四位に決まりました。ひひっ。一番危険なところになりますが、第四位なら大丈夫です。ひひっ」
一番休むことが出来ない星か。危険すぎてその星をどうしたいかが分からない。
「分かりやすい星だな! 勝てばいい! そんな簡単なことを失敗するはずがない!」
「あらあら、紅ちゃんはやる気十分ね~」
「ハッハ! 適応能力が一番高いのが紅のだから安心だ!」
「危険なところに行って欲しくないんだけどな」
僕のこの発言はメガロさんの声にかき消された。
「ひひっ。なんたるやる気。ひひっ。このやる気さえあれば問題なさそうですね。ひひっ」
この研究員じゃなければもっと話しは早くなったのかな?
「ひひっ。次は浮遊島しかない大空の星ですね。ひひっ。話しても大丈夫ですかな?」
「ちょっと待ってね~。グラムちゃん、起きて」
「み~」
起きてないか起きてるのか分からない声だな。
「ほら、顔を洗ってきなさい」
「や~」
「……ギルちゃん」
「目が覚めるからやだ、と言っています」
一人になったとき大丈夫なんだろうか?
この前迷子になったときに何て言っているのか分からなくてメイドさんがオロオロしてたっけ。
「……お姉さんが作る一週間は眠れなくなる香りを嗅ぐか顔を洗って目を覚ますかどっちかにして。グラムちゃんの星の話が終わったら寝てていいから」
「あ」
「顔を洗っていると言っています」
これくらいならまあ、分かりやすい。
最初から話してくれればいいのだけれども。
グラムさんが顔を洗いに行っている間、誰もしゃべることがなかった。
「ひひっ。それでは第五位が戻ってきたところですし浮遊島しかない大空の星について話していきますがよろしいですか?」
「だ」
「ひひっ。了解しました。この星はかなり特殊です。ひひっ。この星はかなり特殊でして、空を飛べる種族しかいません。ひひっ。おそらく浮遊島から移動するための進化したのでしょう。ひひっ。ちなみに太陽は下にあります。ひひっ。どうやら下から熱が上がってくるみたいです。ひひっ。そして基本的には生物は太陽と反対側、つまり太陽がない方に住んでいます。ひひっ。ですがたまに太陽があるほうに飛んできて何もせず去って行きます。ひひっ。恐らく寒いのでしょう。ひひっ。暖かいところにいたいのはどこも同じですな。ひひっ。浮遊島どうしで交流があり、そこで食料などの交換を行っています。ひひっ。ちなみに空を飛べない者は浮遊島から落とされるみたいです。ひひっ。空を飛んで行動する以上、休める土地がどうも少ないみたいで、空を飛び回っている生物もいました。ひひっ。そこで第5位の出番です。ひひっ。飛んでいる生物を落とし続けて下さい。ひひっ。そして今度は浮遊島を落とすと言って下さい。ひひっ。浮遊島を落とされると言うことは、住める土地を失うと言うことなので。ひひっ。よほどの生物でなければ話を聞いてくれますよ。ひひっ。第五位は浮いている存在を落とす。これだけで星主の願いが叶うのですから。ひひっ。なんて簡単なことでしょうか。ひひっ。ぜひとも浮遊島が浮く理由を解き明かしたい。ひひっ」
「つまり浮いている存在を落とし続ければ良いのね~?」
「……そうですね。ひひっ」
話の途中で遮られたから研究員が渋い顔をしているな。
「ハッハ! 楽で良いじゃねえか!」
「ん」
どうやら楽なのは良いことらしい。少し顔が赤い。
「それじゃあグラムちゃんは休んでいていいわ~」
「ん」
グラムが十武秀の部屋から出て行った。どうやら部屋で寝るらしい。
「部屋で休むのか! お疲れ様!」
「ん」
部屋の扉が閉まる前にそんな言葉が聞こえた。
「ひひっ。次は第六位の全てが統一されている同一の星ですね。ひひっ。準備は良いですかな?」
「問題ないよ。いつでも話して良いわ~」
話し方が途中で変わるのはめんどくさい。少しでも場面が変わるとすぐに変わるから一体いつ着替えているんだろう?
「ひひっ。では説明を始めますね。ひひっ。全てが統一されている同一の星は違うことをしている生物は何も居ません。ひひっ。生まれるときも、ご飯を食べるときも、移動するときも、寝るときも全て同じ動きでした。ひひっ。少しでも違う動きをするとすぐにばれますね。ひひっ。全く同じ動きをしないとすぐにばれますが、どうやら完璧に同じではないみたいです。ひひっ。具体的に言えば一人が気付いたぐらいなら反応しない。ひひっ。だけど複数人が気付いた場合なら反応します。ひひっ。つまり二人以上に気付かれれば終わりです。ひひっ。ですがトップは見つかりませんでした。ひひっ。あそこまで綺麗に動くのは理外の星に似たようなものを感じました。ひひっ。頑張って探して下さい。ひひっ。外見とかは簡単に真似ることが出来るのでしょう? ひひっ。絶対にばれないようにして下さいね。ひひっ」
「私がばれるようなこと今まであったかい? なかったはずだぞ」
「ペンダント外して下さいね」
「……忘れてた(テヘペロ♡)」
「ひひっ。気付かれないようにして下さいね。ひひっ」
不安だな。まあ大丈夫だろうけど。
「説明も長くなっているし、今日はここまでにしましょう~」
「ハッハ! 賛成だぜ! これ以上は長くなるからな!」
「それじゃあ今日はかいさーん! お疲れ様でしたー!」
アリカの声でみんな部屋に戻る準備をし出す。
「今日はとっとと帰るぞ、ギルハ!」
「星の間の謁見の後、バリア置くの忘れてたから置きに行ってくる」
「……そうか! それじゃあまたな!」
「また」
みんなが部屋に戻るなか、星主の部屋に行くのがとても辛い。どうせバリアを置き忘れたことですごくうるさく言われるんだもん。行きたくない。
着いてしまったからにはしょうがない。とっとと終わらせますか。
「すいません、十武秀第十位、ギルハ・ウキショです。今大丈夫ですか?」
「……入れ」
めっちゃ怒っている声を感じながら、部屋に入った。
「今まで何していた?」
「十武秀の部屋で攻める星のことについて話していました」
「そうか」
「……」
「……」
この無言が辛い。話さないのは怒っている証拠。もう少しでうるさくなる。
「お前は十武秀での話し合いを優先したのか! 私の守りを忘れて! そこまで言うならやって見せよ! 誰一人として失敗は許さん! 【いいか、お前の最優先事項は私を守る事だ!】 とっととバリアを置いて出で行け!」
出で行けと言われたのでバリアを置いて出で行く。今回の説教は以上に少なかったな。
少ない分には大丈夫だけどさらっと言うことを通りにしようとしたみたい。
防げるから問題ないけど、不意打ちで使われるとめんどくさいから止めて欲しい。
今日は説教が早く終わったし、とっとと寝ますか。
明日は第七位から第十位までの攻めに行く星の話しを聞くことになるし、早く寝よう。