攻める星の話しを聞きます。Part1
なんとも話したくない人が入ってきたな。マチ姉さんが少し引いてる。めずらしい。
「そ、それじゃあ一つずつ教えてくれるかしら~?」
「ひひっ。それでは一つずつお教えしましょう。ひひっ。ところで、肝心の十武秀第一位はどこですかな? ひひっ。第一位から話そうと思っていたのですが……。ひひっ」
「気にしなくて良いわ~」
いや、気にするでしょう。
「ひひっ。後でお伝えすれば良いでしょう。ひひっ。それでは、理外の星から……」
「一つ目の戦乱の星からお願~い」
まあ、メガロさん植物で見えないけどここにいるからな……。
「ひひっ。まあ、良いでしょう。ひひっ。では魔王と勇者がいる戦乱の星について。ひひっ。端的にいれば魔王と勇者が争っている。この一言で終わりです。ひひっ。詳しい情報も?」
「お願いするわ~」
「ひひっ。魔王という世界の7割を支配をしている存在とその魔王の支配領域を手に入れようと王が結成した勇者とそのお仲間が争っている世界です。ひひっ。勇者は魔王が悪いことをしているから討伐しようと動いているみたいです。ひひっ。力で言えば魔王が上、勇者とその仲間の連携が僅かに上回ると言ったところでしょうか。ひひっ。主な闘い方は魔王が近接、遠距離の闘い方。ひひっ。勇者とその仲間では、勇者が剣を使い、ローブの女が主に炎を使って攻撃します。ひひっ。やけに布の少ない女は短剣で自由に動き回り、白い服の女はどうやら仲間の傷を治すことが出来るようです。ひひっ。十武秀の中に近接攻撃が得意な者がいませんので参考になりませんが、他の攻撃方法なら比較することが出来ます。ひひっ。魔王の近接攻撃は剣、殴る、蹴るのどれかだと判明しました。ひひっ。遠距離攻撃は十武秀第一位の劣化版だと判明しました。ひひっ。勇者の剣の腕は魔王より少し上、ローブの女の火は十武秀第四位よりも下でした。ひひっ。布の少ない女は不意打ちを好むようでして、単純な一対一なら十武秀第十位と同じくらいでしょうか。ひひっ。白い服の女は後ろの方で十武秀第十位のようなバリアを張って、そこから味方の回復をしているみたいで、戦闘能力はないと思って良いみたいです。ひひっ。ちなみに他の人は戦闘を仕事にしている人以外は十武秀なら勝てるでしょう。ひひっ。これで一つ目の星は良いですか?」
「そうね~、危険視するべきなのはその五人でいいのね?」
「ひひっ。そうですね」
危険視するべきなのは五人で他はメガロさんなら簡単に倒せると。
「う、おぉぉーーい!! やっと出れたぜ!」
びっくりした~。メガロさんがいきなりツタ? 茨? から出てきた。
「全部聞いてたぜ! つまりその五人を倒して後は脅せば良いだけだな⁉」
「ひひっ。それと王様も殺して下さい。ひひっ。生きている価値もないでしょうし」
「ハッハ! 了解したぜ~!」
メガロさんは戦乱の星をどうやって支配するのか決めたみたい。
「それじゃあ二つ目の星の説明をお願いするわ~」
「ひひっ。分かりました。ひひっ。長いので注意して下さいね。ひひっ。まず、物体が動くと言うことですが、全て動くようではないようです。ひひっ。具体的には何らかの手を加えられた物が動くみたいです。ひひっ。動き方はある程度統制されていて、前に進む、後ろを向く、右か左を見るですね。ひひっ。闘い方は武器によって変わるみたいですね。ひひっ。剣で戦ったり、遠距離攻撃もできるみたいですね。ひひっ。戦っているところはあっても剣でしか戦っていないので遠距離攻撃の情報はありません。ひひっ。床、壁、天上も気を付けて下さい。ひひっ。全てが壁であり、全てが侵入経路ですので。ひひっ。どこから敵が出てくるのか分かりませんので。ひひっ。どうやら絶対的な上位存在が居るみたいです。ひひっ。その上位存在は全てに命令を出して動かして居るみたいです。ひひっ。その上位存在をどうにかすれば全て動かなくなるみたいです。ひひっ。ですのでその上位存在のみを狙って下さい。ひひっ。事実をねじ曲げて敵ではないと言うことにすればいいので。ひいっ。二つ目の星はこれでいいですか?」
こいつ説明になると生き生きしてるな。長いから迷惑だけど。
「イトフォは分かったかしら?」
「……(上を倒せば良いだけ)」
「そうね~。分かっていて安心したわ~」
動きがないから分かりづらい。少しだけ首が動いたから分かったけど。
「ひひっ。しゃべっていないのに言葉が分かるとはいいものですね。ひひっ。次は土の中に住んでいる寒暖差の激しい星ですがいいですか?」
「大丈夫よ~」
「早くしてくれ! 早く私が行く星のことを聞きたい!」
アリカは何を言っているんだ。
「紅ちゃんはもう少し待ってね~。順番に進めているだけだから~。話が終わるまでギルちゃんに膝枕で
もしてもらっていて~」
「分かった!」
わかった! じゃないんだが⁉ 膝枕は辛い!
何故かって? 抱きついて離れないから!
「それじゃあギルハ、よろしくな!」
アリカがすっと眠りの体勢に入って、すぐに出た。
「すー、すー」
すぐに寝た。ちなみに顔は僕の体の方を向いている。寝顔が見れないとイトフォがすごい形相でこちらを見ている。
「それじゃあ紅ちゃんも落ち着いたことだし、話を聞きましょうか~。イトフォはちゃんと話しを聞いておいてね?」
「……(……分かった)」
イトフォが忌々しげにこちらを見ながら話を聞く体勢になった。
「ひひっ。話しをするまでのこの間! ひひっ。少しばかり貴方達の関係が気になってしまいましたよ! ひひっ」
周りから睨まれるような目で見られた研究員は少したじろいたあと、何事もなかったかのように話し始めた。
「ひひっ。それでは説明しましょう。ひひっ。寒暖差が激しいというのはそのままです。ひひっ。昼は暑く、夜は寒い。ひひっ。ですので深く、深く土の中に潜り暑さと寒さから逃れているのです。ひひっ。ちなみに食料に関しては食べられる土を食べたり、地上に畑を作って居るみたいです。ひひっ。寒さに強い植物があって良かったですね。ひひっ。それとも日光がなくとも育つ植物でしょうか。ひひっ。気になりますねぇ。ひひっ。そして土の中で暮らしているので崩落にビクビクしていますね。ひひっ。ちなみに敵が居ないので戦闘能力はほとんどありません。ひひっ。土を掘りながら暮らしているので当たると死ぬ可能性が高いですが。ひひっ。暮らしている場所は掘って作った洞窟なので崩落させたり一発ですよ。ひひっ。崩落しないようにそこまで大きく作っていなくて、たくさんの通路を作っているみたいですよ。ひひっ。そのせいで細かなところまで調べることが出来なかったんですよ。ひひっ。その分からないことを危惧して第三位に決まったんですね。ひひっ。とまあ、この星はこれくらいでしょうか?」
「そうね~。だいだい分かったわ~」
範囲が分からないなら、確かに植物を生み出すマチ姉さんが効果的だね。
自分で生み出した植物くらい、何処に生えているか感じ取れるだろうし。
「ハッハ! 崩落させるのか?」
「チュ。崩落はやめて。死体が潰れる」
「そんなことしないわよ~。最高に美味しい植物を生み出して、軍門に降らせるわ~」
一番安全なやり方だな。そして誰も不幸になっていない。
「ひひっ。なんとも面白いやり方でしょう。ひひっ。力押し以外の方法を選ぶ人がいるとは。ひひっ」
研究員が笑っている。マチ姉さんが研究員に対して落ち着く香りを嗅がせる。
「これで落ち着いたかしら? ギルちゃんは紅ちゃんを起こしてくれる?」
「分かりました。起きて。ねえ起きて」
起こしてと言われたのでアリカを起こすために叩く。
ちなみにこれくらいじゃ起きない。前に起こすために一時間くらいくすぐってようやく起きたくらいに寝た後は起きない。
「ハッハ! 起きないか?」
「起きませんね。寝たらそう簡単に起きません。前に起こそうとしたら3時間くらい起こせませんでした」
「それなら覚醒作用のなる植物の香りを生み出しましょうか~」
みんなイトフォの方は見ない。決して鼻息を荒くして近づいてくるイトフォが気持ち悪かったわけではない。
ちなみに小さいときにアリカが寝ている間に悪戯しようとした男はアリカが無意識に放った炎で服や髪の毛だけが燃える事態になった。あの後は大変だった。
マチ姉さんがすぐに植物を生み出してアリカに嗅がせた。
するとアリカが目を開けて、すぐに目を閉じた。
「ギルハのキスで目覚めるぞー」
とても寝言とは思えない声が出てきた。
マチ姉さんが笑顔で止まった。メガロさんは驚いた表情をしている。イトフォは……研究員さんは笑い転げている。いーひっひっひってうるさい。
イトフォはどうしたかって? 知りたいのか? 絶望した表情になったあと、自分の姿を僕に変えてキスしようとしたが、その姿を見た途端、カレラさんとアアルメさんが速攻で捕まえてカレラさんが自らの姿をヘビに変えてイトフォを拘束し、アアルメさんが机の上にあった菓子をイトフォに食べさせている。
どうやら食べたいという思いを増加させているみたい。
「マチ姉さん、どうします?」
「ちょっと待ってね」
マチ姉さんがアリカの耳元に口を近づけて何か話した。するとアリカが飛び上がった。
「起きた! 起きたから! それは止めてくれ!」
急に起きたアリカに僕もメガロさんもびっくりしている。何を言ったんだろう?
「ギルハもおはよう! 膝貸してくれてありがとう!」
「お、おう」
勢いに押されて頷いた。
「よし、それじゃあ次は私が攻める星だな! 話を聞こうじゃないか!」
「でもその前に笑い転げているこの駄員をどうにかしないとね~」
その後、マチ姉さんに植物のツタで逆さづりにされたあと、心が落ち着く植物の香りを嗅がされて落ち着くまでに十分かかった。