門が作られてしまった
初投稿です。よろしくお願いします。
「ついに……、ついに完成したっ! 異世界を侵攻する扉がっ!!」
ついに完成してしまったのか……。完成なんてして欲しくなかったのに……。
「これで世界は私の物だっ!」
世界はこの星主の物になるのか。この星主は全てを自分の物にしたいからな。支配欲と所有欲が強いからな。しょうがない。
「10番よっ! 十武秀を全員集合させよっ! 指令を下すっ!」
「かしこまりました。それではバリアを置いていきますね」
十部秀の集合は久しぶりだな。星主配下にして側近にして道具。
星主の命令に喜んで叶えようとする憐れな人形に変えられた存在。
十武秀は星主によって歪められた。あのときのことは今でも思い出せる。
かといって反抗する気もないから十武秀なんてやってるんだけどな。
「ついた。十武秀の部屋。全員いるかな? たまに居ない人がいるから」
全員部屋にいることを期待しながら、扉を開けた。
「十武秀に集合が掛かりました。全員星の間に行ってください。いない人は居ますか?」
「ハッハ。紅のがいないぞ」
「部屋に戻ってるわ~」
「そうですか。では迎えに行ってきます」
いない人がいるとはタイミングが悪い。しかもいないのは幼馴染だし。
部屋に行こう。久しぶりに部屋に戻りたいし。
こんなときにしか部屋に戻れないからな。星主を守るバリアはそう簡単に壊れないのに疑り深いから。
死ぬのが怖いのに妙に行動的なんだよな。星主って。
部屋に着いたから呼ぶか。
「アリカー、いるかー? 十武秀の集合が掛かったぞー!」
部屋の扉を叩きながらアリカを呼ぶ。
「ギルハか! しかも集合か! これでまた星主のお役に立てるな!」
「……そうだね。早く行こう」
「一分だったら部屋に戻っていても良いぞ! 星の間には爆発していくからな!」
「ありがとう」
自分の部屋の扉を開ける。そこにはほとんど物がない。あるのは家から持ってきた写真くらい。
アリカと一緒に楽しく遊んだ思い出。今は楽しくない。
「どうやったら元に戻せるんだろう。アリカの支配を」
アリカは精神支配を受けている。精神支配を掛けたのは星主だ。
十武秀に就任するときにみんなおかしかった。
全員無理やり集められて機嫌が悪かった。控え室に集められて愚痴を言っていたのに星の間で移動していきなり十武秀に就任させられることになった。
それで星主が一人一人名前を呼んで「協力してくれるな?」と語りかけていった。
するとみんな笑顔で「謹んでお受けいたします!」と言って怖かった。
明らかにおかしいと思って自分にバリアを張った。
バリアを張るときに精神攻撃を防ぎたいって思って良かった。そのおかげで防げた。
でも幼馴染も含めてみんな人形みたいになってしまった。
星主の命令に言いなりになってたくさんのことをした。
明らかに変わってしまった。星主に協力をお願いされたその時から。
星主のお願いは他の九人に任されて僕は星主の守護の仕事をしていた。
その時に知ってしまった。星主は他人に暗示をかけて自分の思い通りの行動をさせていることに。
他人に命令し、自分の言うことを聞かせる力らしい。
協力をさせ、信頼をさせ、命令して道具のように扱う。
もちろん僕にも精神支配を掛けようとしている。
そのたびに僕の力で防いでいた。
前までは目に見える攻撃しか防いでいなかったけど、土壇場で成功して良かった。
「ギルハ! 一分経ったぞ! 星の間に行くぞ!」
「分かった!」
アカリに呼び出されて部屋を出る。
「ほら、掴まれ!」
いつものようにアカリに横抱きにされる。
「ギルハ! いつもの!」
「了解」
壁、床、天上、そして僕とアリカにバリアを張る。星の間まで張るとアリカに向かって頷く。
「それじゃ、しゅっぱーつ!!」
アリカが背中で爆発を起こす。その反動で廊下を吹っ飛ぶ。ちなみに爆発は連続。
何度も爆発で飛ぶから衝撃が来るけど子供の頃に防げるようになった。
そこから周りも防ぐようになって、この移動に何も言われなくなった。
ちなみに移動途中に人はいない。爆発に巻き込まれたくないからね。
十武秀に就任された日に爆発移動したら途中に人が居て爆発を途中で止めて止まったり、怒られたりして夜に異常なほど魔法を空に使ったらみんなバリアを張られた瞬間に逃げるようになった。
「ハッハ! 止まれー!」
その言葉を聞いてとっさに前にとても脆いバリアを張った。
バリアを割りながら勢いを殺して止まった。
「なんで止めたんだ! 星の間に行くのだろう⁉」
「せっかく途中で合流出来たのだから一緒に行かないかしら~?」
「いいぞ! 行こう!」
十武秀全員で向かうことになった。
「マチ姉良い匂いがするな! 香水変えたか⁉」
「イトフォの意見を参考にして作ってみたの~。すごいわよね~。さすがだわ~」
「イトフォもありがとな!」
「……(我が頭脳に偽りなし!)」
「そうなのか? それならなんで星主様が集合を掛けたんだ?」
「……いつも思うんだがなんで喋ってないのに通じるんだ? 通じたことないぞ」
いつもハッハとうるさいあのメガロさんが? あのメガロさんがハッハと言わないなんて!
「顔にでてるぞ。いつか俺の認識についてしっかり話そうじゃないか!」
「女子の頭の中だと聞こえるみたいですよ。一度だけ僕にも会話がきましたが」
あのときはビビった。知らない声が頭の中に響いてキョロキョロしたくらい。
こっちを見てるイトフォがもの凄い目で睨んできたくらいには嫌だったらしい。
「ハッハ、つまり男とは話をしたくないと」
「そうですね」
こっちを見ないだけでいることから正解だろう。
「チュッ。そろそろ星の間に着くわよ。喋らないように」
クレイさんに喋らないように言われた。骨しか持っていないのに。
「ハッハ。それじゃあちゃんと並ぶか。今日こそは整列しろよ?」
そう言われて整列を始めた。順番通りとはいかずに。
「ハッハ~。……もう良いわ。期待しない」
メガロさんが諦めてしまった。諦めないのが有名だったのに。
「皆様おそろいでしょうか?」
「おう、そろっているぜ。順番はあれだが」
「とりあえず星の間に合図を出します」
光の合図を一回、三回、三回と合図をだした。
すると向こうから光の合図を三回受け取った。
すると扉が開いた。もの凄く遅いけれど。
扉が開ききるのに十分掛かるのはどうかと思う。
ちなみに開ききるのを待つのは全員そろっているときだけだ。
僕一人なら開き初めで入っている。複数人でも同じ。
全員そろわないと待つことはない。
ちなみに貴族なら開ききらずに入ると死刑である。
そもそも入ること自体無いけど。
「十武秀のご入場です!」
メガロさんが最初に入り、残りの十武秀が入る。僕は最後だ。
「よくぞ参った、十武秀よ」
十武秀が入り、整列して跪くと星主が声をかけた。
「このたび、招集を掛けたのはかねてから開発に取り組んでいた異世界への門を作ることが出来たの
だ。そして、情報を収集させ、そして発見したのだ! 我が支配から逃れている星があることに! 第一位はどう思う?」
「ハッ! 支配するべきだと思います!」
「そうだろう? だが、問題がある。我が支配から逃れている星が多すぎる。そこで、十武秀に星に
渡ってもらい、一つずつ落とし続けてもらうことにした」
一つずつ落とし続ける? まるで何でも続くような言い方だなあ、知りたくないな。聞きたくないな。
「十武秀が一人ずつ別々の星に行ってもらい、その星の一番偉い人を倒してもらう。そしてその星の全てを手に入れる! そのために十武秀を呼んだのだ」
やっぱり。星主の力がとても辛い。
この話を聞いているとそうしなければいけないとみんな思っているかも知れない。
僕はバリアを張って防いでいるけど、言うことを聞かないと僕が危ないから……。
戦闘能力が無いから星に行かないと思うからいっか。良くないけど。
少なくともアリカにはひどいことしないで欲しいな。
「まず最初に十武秀全員に一つずつ星を攻めてもらう。帰ってきた者から次の星、もしくは攻めあぐねている星の援助だ」
……これ、もしかして僕も攻めに行くことになるのか?
戦闘能力無いんだけど?
「十武秀第一位、メガロ・オーバンよ。お前には一番危険な魔王と勇者がいる戦乱の星を任せたい」
「ハッハ! お任せ下さい! 見事全ての敵対者を倒して見せましょう!」
一番危険なところなのか。負けないと良いけど。
「十武秀第三位、マチミ・プラミストンよ。お前には土の中に住んでいる寒暖差が激しい星を任せたい」
「分かりましたわ~。全てを植物で埋め尽くして見せましょう」
寒いと暑いが同居する星なのか。確かにその場にあった植物を生み出せるマチ姉さんがいいな。
「十武秀第五位、グラム・フィールドよ。お前には浮遊島しかない大空の星を任せたい」
「りょ」
大地が少ないのか。移動にすらめんどくさそうだな。
「十武秀第六位、カレラ・ラングよ。お前には全てが同じにされている同一の星を任せたい」
「任された。全てを捻じ曲げてごらんに見せましょう」
同一ってベットとかも同じなのかな? 寝るのが辛そう。
「十武秀第七位、クレイ・クスカよ。お前には自然が少ない砂漠の星を任せたい」
「チュ。砂漠の星など、私の力とかみ合っていますわ。最高の結果をお待ちください」
自然が少ないか。ここでは創造できないな。
「十武秀第二位、イトフォ・コリミトンよ。お前には物体が動いている理外の星を任せたい」
「……(全ての情報を入れ替え、この星主に従うようにしてやる!)」
物体が動いている? どんなところだ。そして喋って。聞こえない。
「十武秀第八位、アアルメ・ネビアよ。お前には全てがそろっている楽園の星を任せたい」
「楽園なんて存在しない。全ての欲望を刺激して奪い合いにして見せるのが欲望なり」
全てがそろっているなんて、やることが無いんじゃないか。
「十武秀第九位、ムイレ・クロウズよ。お前には数多の植物が生えている自然の星を任せたい」
「私は美しい。自然など、私の美しさに負けを悟って自然と枯れ果てるに決まってるわ」
枯れて毒を生み出す植物がないと良いけど。それで負けていたし。
「十武秀第四位、アリカ・バーニングよ。お前にはたくさんの凶暴な生物が居る狂乱の星を任せたい」
「任された! 全て私の炎で燃やしてやるぜ!」
危険な所だな。戦闘能力が無いから倒せないから行くことはないな。
「最後に十武秀第十位、ギルハ・ウキショよ。お前には今も同じ種族で争い、数を減らしている最も危険の少ない戦乱の星を任せたい」
「お任せ下さい。全ての争いを鎮めて星主のお役に立てるようにしましょう」
僕も行くことになるのか。危険の少ないと言っているのに戦乱の星なんだね。
「お前達にはその世界の言語を一つだけ翻訳する力を与える。だが、別の言語は翻訳できないことを
覚えておくように。最も敵の少ないところに下ろし、そこで陣地を作るのだ。お前達ならすぐに出来ると信じているぞ。では準備ができ次第、それぞれの星を攻めてこい!!」
「ハッハ!」「……(ハハー!)」「ハハ~」「ハハッ!」「ハ」「は~い」「チュ。ハハ」「ハ
~」「は~」「ハハ!」
この瞬間、十個の星が星主によって大きく動くことになった。一つを除いて。
誤字脱字がありましたらコメントで教えて下さい。