(8)お似合いカップル
綺麗な湖のほとり。
そこは、安らぎを感じる美しい景色が広がっていた。
「はぁ、はぁ、ここまで来れば、もう大丈夫だ」
「そうね」
二人は、立ち止まって木陰に入った。
ユンは、改めてマリアの手を握り締めて言った。
「マリア! 俺がお前を一生守る! だから大丈夫だ!!」
「う、うん……よろしく、お願い……」
いつになく弱々しいマリア。
マリアは、ユンの兄達の姿を思い出しては、体をぶるっと震わせた。
「……ったく、怖い思いをさせちまったな……悪かったよ、マリア……」
ユンは、マリアを自分の胸に抱き、マリアの頭を優しく撫でてやった。
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しばらくして、落着きを取り戻した二人。
突然、クスクスと笑い始める。
「ねぇ、ユン。あたし達って、戦場だけでなく、私生活でも互いに守り合わないとダメみたいね」
「くくく、確かにそうだな……ってかさぁ、マリア。お前って、ぐいぐい来られると意外とダメなのな」
「いったわね!……でも、確かにその通りかも……本当に怖かったんだから……ああ、思い出しただけでも、ほら、鳥肌」
「ぷっ、あははは。意外な弱点見つけたぜ」
二人、大笑い。
そして、再び、静けさが戻った。
水鳥たちの鳴き声だけが響く。
見つめ合う二人。
マリアが、口を開いた。
「ユン……あたし、誓うよ。ユンを一生守り、幸せにする。ユン以外には見向きもしない」
「ふっ、俺も誓うぜ、マリア。お前を守り通す。絶対に誰にも渡さない」
ゆっくりと顔が近づいていく。
そして、唇が重なる。
愛の誓い。
と、その時、水鳥たちが空高く飛び立った。
まるで、二人を祝福するかのよう。
二人は、手を取り合い、湖畔を走り出した。
「好きよ、ユン!! いい! ちゃんとあたしについてくるのよ!」
「好きだぜ、マリア!! お前こそ、もたもたするなよ! おいていくからな!」
ついに結ばれた二人。
こうして、互いを守りあっていくと誓った人族と猫耳族のカップルは、いつまでも、愛を語り、愛を紡ぎ合っていくのであった。
*** おしまい