夢みがちな深海魚
夢の中での約束
涙の味に霧雨香る
二人の唇がかさなったら
隔たりのないひとつの海になる
癒えない川が大海原たどり着いて
交わって流れていく
さざなみに濡らされ
陸にあがってもなお
身体が震えて上手く泳げない
濡れた衣服は脱ぎ捨てて
何も身につけずに
産まれたままの姿で自由に泳ぐの
口づけの中で魚のように尾びれが
しなって跳ねてただ泳ぐ
ただ生きてあなたとなら
過去の足跡さえ溶けて見えない
ただ今をあなたと紡いでいくメモリー
忘れないの 触れた日を永遠に
花も枯れはててしまう世で
魂が触れあった感覚を
一枚の花びらに込めて
水面に浮かべるよ
やがて君だけなって
沈んでも苦しくない
数々の想い出を積み重ね
架けられる虹の橋が水の底から
見えたなら
橋を正々堂々渡る為に
海に繋がる河川敷まで戻って
虹の橋に手と足をかけて
一歩一歩透明になっていく
最後には君のもとへと泳いだ
そんな夢をみがちな深海魚の
忘れられない夢