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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「メアド、変更しました」(短編)

作者: 雪月なお汰

高校時代の出来事

(本作には少々過激な表現を使用しています)






皆さんは「いじめ」についてどういうイメージをお持ちだろうか。

いじめの加害者を罰する法や少年法の改正等で徐々に改善にむかっていると世間では思われがちだが実際の処は全くの逆であり、インターネットやSNSの普及につれて「匿名」という従来にはなかった手段であの手この手を用いり、従来のものに加えて「いじめ」はそのやり口も数も増えている。

逆に昨今インターネット犯罪にも適応された法律も出来、法的手段・開示請求なども案外簡単に申請出来る様になり、その点に関しては改善されているのではと思う。


前書きが長くなってしまったが、これは僕が経験した「いじめ」の体験談。



僕は学生時代、笑ったという記憶がほとんどない。

自分自身の人生の一文字を書くとして皆さんは何を書きますか?

僕は恐らく【苦】という文字が1番あってると思っています。

悪口・陰口・無視・暴力・隠しもの・笑いもの・事実無根の濡れ衣、それらを余すことなく学生時代に味わってきた。


小学生から始まったいじめ。

中学生の頃、精神的に辛くなり自宅の押し入れでずっと泣いてた。

ただ「死にたい」という気持ちではなく、「生きていたくなかった」。

皆勤賞で学校には行ってはいたけれど、すぐにお腹が痛くなり登校直後にトイレに駆け込み1限目直前に教室に戻る、そんな学校生活。

運動会で「クラス全員で行う大縄跳び」では僕は休み時間の練習中、縄を飛びはしたけれど高さが足りず右足をすくわれ捻り、その状態のまま地面に着地したため2重に捻った。


地面に蹲り、患部を押えながら痛みに耐えている僕に対し他のクラスメイトの男子はその光景が面白かったのか肩を蹴る・お腹を蹴る・捻った患部を蹴り笑う。

女子は「やめなよ」と声はするも一緒に笑っている。

校舎1階にある保健室に1人で片足を引きずりながら向かう僕の後ろからは、クスクスと笑い声が聞こえていた。


そんないじめられっ子が高校に進学したとてあまり変わらない、同じ中学からの卒業生も当然いるため中学程ではないが大なり小なり事はあった。



1つ、まだ話せるレベルの話をしようか。


僕は中学時代の部活の先輩の勧めもあって、高校は弓道部に所属した。

弓道というのは入部したからといって即日弓を引き矢を射る事は出来ず、少なくても3カ月はしっかりした「型」を覚えなければ大怪我をする可能性がある武道。

同級生全員で毎日練習の日々、そして半年も経てば皆ちゃんとした弓を持ち的の前に立ち、矢を射る処まで達していた。


時は少し飛び学年は2年から3年になった頃。

その間も殴られる·悪口·陰口、色々な事をされ続けた。

先輩方も全員卒業をし僕らの代が部長や副部長と言われる様になった年、今回の本題の事が起きた。


あれは4月も終わりに近づいた頃、僕の携帯に1本のメールが届いた。

送り主は英語と数字の羅列。

僕は「誰だ?」

と思いつつも本文を開くとそこには日本では馴染み深い苗字と女性の名前と一緒に

「中学の時の同級生の〇〇です。メアド変更しました、再登録おねがいします」

とあった。

分かりやすく本作では『〇〇一美』と表そうと思う。


(そんな同級生いたか?)

そんな疑問もあったが僕のアドレスを知っているんだったら思い、その名前を登録した。

その翌日から〇〇一美は1日に数件メールを送ってくる様になった。

「今何してる?」「今日何食べたよ・どこどこ行ってきた」など他愛のない文章に僕は簡略的な文章で返す。

それが大体1カ月か1カ月半続いた頃・・・。

「そういえば〇〇一美からメールきてないな」

あんなに毎日メールを送ってきていた彼女から1週間メールが来なくなっていた。

ただいつもあった恒例の事がなくなった時、人は何か物足りなさを感じる様になる様で僕は携帯を手に取り

「最近メールしてこないけど、何かあった?」

と気付けばメールを送信していた。

数時間後〇〇一美からメールが届いた、僕はそこに書かれていた文章がしばらく理解出来なかった。


メールには

『はじめまして、〇〇一美の父です。

突然この様な事をお伝えするのは心苦しいのですが、一美は先日亡くなりました。

あなたの事は娘から聞かされていました、娘の話し相手になってくれてありがとう』


(え?死んだ?)

何を言っているのか分からなかったが、数件メールをやり取りをこの〇〇一美の父と名乗る人と行い

「お線香だけでもさせていただけないでしょうか」

と送信すると

「葬式は近しいものだけで行いました、お心遣いありがとうございます。」という返事のメール。


特別親しかった訳ではない、ただメールを送り合ってたそんな仲ではあったけど突然の「死」というワードに思考がオーバーヒートを起こし何も考えられなくなり、その日はベッドに入った。


土日をはさみ週明け月曜日、僕はいつもの様に部活に参加していた。

大体2時間の部活時間、内10分の休憩時間の弓道部。

その10分の休憩時間にある人物が僕のところにやってきた、クラスは違うが部活で仲良くなった同級生の「〇西」だった。

「〇西」は僕に言った。


「お前、〇〇一美ってやつとメールのやり取りしてないか?」


僕は鳩が豆鉄砲を食ったかの様に目をかっぴらいていただろう・・・。

何せ僕は誰にも言っていないからだ。

誰にも〇〇一美という名前は勿論、メールをしている事も話していない、だけど〇西はその事を知っていた。

理由を聞こうした瞬間、顧問の先生が休憩時間が明けるため道場にあらわれ、〇西には理由を聞く事が出来ず10分休憩は終わった。


そして部活も終わり当番で行う「的貼り(翌日使う的を作る作業)」を僕・〇西と他2人で行っている時、僕は他2人がいないタイミングで〇西に聞いた。

「〇西、10分休憩の時の話だけど、なんでお前僕がメールしてる事知ってるんだ?」と。

〇西は言った。

「本当は黙っておこうと思っていたんだけど、あまりにもひどいと思ったから言ったほうがいいかなって思った」

話を続けた〇西の口からは耳を疑いたくなる言葉が出てきた。


『まず最初に〇〇一美はいない、なぜかっていうと〇〇一美は部長の「中〇」だからだ。

中〇部長含め、部員合計3人で使わない携帯とアドレスを使っていない人間をつくってお前にメールして、それを見て楽しんでた。

そして飽きたからといって、その〇〇一美は死んだ事にして終わりにしたって」


【僕以外の該当する3人と○西は同じクラス】

「少し前の休み時間に部長がそいつらとその事について話しているのを聞いて関わっていないけど、やってる事がひどいから知らせようって思った』


部長は今僕らが的貼りをしている所から数メートル先の道場で、何食わぬ顔をしながらモップで床を掃除していた。


僕は当人達を問いただそうとした、顧問にも言おうとした、何せ証拠になるメールも持っているから。

だけど〇西に止められた。

「6月に最後の大会がある、それが終わればもう関わる事はなくなるんだから事を大きくしない方がいい」

確かに3年生の僕らは6月に最後の大会があって、そこに向けて練習していたのは事実だった。

元々部員数が少ないうちの学校は、僕が報告して当事者3人が抜ける事になったら他の部員にも迷惑がかかる。

僕は顧問にも報告をする事はやめた。


そして大会が終わり、僕ら3年生は受験のため引退。

その後は部活メンバーと関わる事もなくなり、学校を卒業した。


人は優越感のために自身より下の人間をつくり、貶し・嘲笑う。

それで相手の心にどんなに大きな痕を残そうが構わない。ただ自身が「楽しいから」を理由に。


どんないじめであっても受けた側の心には絶対に消えない傷が残ります、それは1年・3年・5年・10年経っても消える事はありません。

「そんな大袈裟だろ」「お前が弱いからだ」「やられる方が悪い」

そんなのはいじめる側の勝手な言い分で、やられた側からすれば『絶対に許さない・悔しさと惨めさ、哀しさ、人によっては心身に後遺症』がずっと残ります。絶つ人だっている。

それらはそう簡単に克服出来るものでもない。

いじめはいくら時間が経っても絶対に過去にはならない。


もっともっといじめへの法律が改正され、いじめで自ら命を絶つ人・心にいらない傷をつける人が1人でも減る事を強く願います。



そしてぼくは、そういった心に痕を負った人達が見て笑って楽しめる事、あたたかいと感じてもらえる活動を見つけ天職にしていきたい。

概念的な夢であり目標ではあるけど、手をのばせて握れる活動をしたい。

それが人生をかけて、ぼくのやりたい事になった。


ぼくにとって救いだったのは機会はそこまで多くは見れて·やれてないけれどアニメやゲームや舞台だった。

それに触れている時、たのしさやあたたかさを感じれた、楽しいって思えたのかもしれない。


まんまは無理かもしれない、だけどそれらに近しいもので人が笑顔になれる事が出来たらいいな。

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