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MESSIA  作者: 硝子
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森の中で

 ナギサ達は、森の中を歩いていた。

 森の中は氷のように空気が澄んでいて、気持ちよかった。覆い茂る木の間から、太陽の光が漏れ、神秘的な雰囲気を醸し出す。


「出雲さん、元気かな?」


 前を歩くリースが、くるりと振り向いた。


「そうね。黎明の里に行くのも久しぶりだものね」


 あら? とナギサは首を傾げる。


「でも、リースは出雲様にケーキを届けに行っているのよね?」


「そう! でも、出雲さんにケーキを届けるのは久しぶりなの」


「で、今回は、これ!」


 じゃーん! とリースが右手に持っていたケーキ箱を開くと、小さなブルーベリーと大粒の苺とホイップクリームでデコレーションされたタルトが飛び出してきた。

 1ホール分あるタルトは、木の隙間から漏れ出た光を浴びて、きらきらと輝いている。


「げ、甘そう」


 タルトを見た瞬間、ヴェンの顔が歪む。


「うるさい! 激辛星人にはケーキの美味しさが分からないのかしら?」


 ヴェンの言葉に反応したリースが、びしりと言葉を投げた。


「ヴェンは甘いものが苦手だものね」


「いいもん。別にヴェンに食べてもらわなくても。出雲さんとナギサちゃんに食べてもらうんだから」


 リースは拗ねた様子で箱を閉じ、くるりと身を翻して前を向いた。


「それに、ケーキが大好きなお弟子さんがいるんだって聞いてるわ」


 そのお弟子さん、あたしのケーキを心待ちにしてくれているそうなの。と、リースは誇らしげだ。

 その時。人1人分の大きさだろうか。大きな狼が、リースの前に飛び出してきた。


「きゃあ!」


「「リース!」」


 ナギサは腰にかけていたレイピアを、ヴェンは腰にかけていた2つの刀を抜き、リースの前に出て狼に立ち向かおうとした。


急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!」


 狼の前に5つの角を持つ星、五芒星ごぼうせいが狼とリースの間の空間にふわりと現れ、五芒星からの光が狼に放たれた。

 光を受けた狼は、キャインと鳴き声を上げ、リースの前から走り去った。


 白い生地に黒い花の模様が入った着物を着た、首から下げた珠々の先を右手に持った青年が立っていた。

 青年の顔は涼しげに整っており、まるで人形のようだ。


「あの、ありが……」


 リースが「ありがとう」と言い終える前に、青年は後ろで1つ結びにした翠の長い髪をなびかせ、くるりと身を翻した。

 そしてそのまま、スタスタと去って行ってしまった。


「何あれ。嫌な感じ!」


「そうは言うが、アイツのお陰で助かったじゃねェか」


「それはそうだけど、お礼ぐらい言わせてよね!」


「今の人。着物を着ていたわ。もしかしたら、黎明の里に居るかもしれない」


 その時にお礼を言ったらどうかしら?とナギサはリースに提案する。


「……そうね。そうする」


 ナギサの提案に、渋々と言った様子でリースは承諾した。


「楽しみね」


 のんびりとした様子で、ナギサはにっこりと微笑んだ。

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