闇の中
暗い、暗い、闇の中。私はぽつりと立っていた。
「何も見えない……ここはどこ?」
確か、お母さんとお父さんのことを思い出して、それからーー。
分からない。それからの記憶が全く無かった。この暗い暗い、闇の中に、閉じ込めれてしまったように。
「私、どうなっちゃったんだろう……」
「暗いでしょう。怖いでしょう」
「誰!?」
遠くから……いや、近くから? どこからか私の声がした。私の声だけど、私じゃない。一体、誰なのか。
「私? そうね……もう一人の貴方、と言うべきかしら?」
「もう一人の私……?」
確かに、知らない誰かの声は私の声に聞こえる。もう一人の自分だと言われても、そうだと思える。
「……貴方は消えるの。私のために」
消える? 私が消える? どうして? もう一人の私のため? それが本当だったら……どうしよう。私は絶望した。
「……そんな……!」
「いいじゃない。別に消えたって。貴方を必要としている人なんて、いないじゃない。なんたって、私達はあの破壊者なんだから」
「それは……」
そうかもしれない。破壊者である私を、必要としてくれる人なんて、いないかもしれない。ナギサちゃんだって……。
「貴方を拾った両親も、貴方が殺したようなもの。その貴女に、生きる価値なんてあるの?」
もう一人の私の言葉に、私は何も返すことができなかった。あの火事をおこしたのは私じゃないけど、私なんだ。その事実に、私は愕然とする。
「……」
「それに……私が目障りなあの男を消してあげる。ふふ、いい提案でしょう?」
ヴェンが消える。ヴェンが消えたら、私は嬉しいの? 分からない。なにも考えることができない。私の思考までもが、辺りに広がる闇のように、真っ黒だ。
「……さようなら、私」
もう一人の私の冷たい声が響く。その瞬間、私の身体が、ずぶずぶと、沼に沈むように。闇の中に溶けてしまう。私の身体はこの闇と一緒になってしまうのだろう。そう思った瞬間、天から一つの光が差した。その光の中から、「リース」と私を呼ぶ声がする。
「何!?」
『リース、戻ってきて! お願い! 貴方には、私の隣にいてほしいの』
「ナギサちゃん……」
『リース、戻って来い。お前には、私が付いている。私がお前を……守ってみせる』
「翡翠さん……」
『……リース。俺はお前にとって、嫌な存在なのかもしれない。……けどな、お前が居ないと、調子が狂うんだよ。ナギサの傍に居てやってくれ。……頼む』
「……ヴェン。あんたまで……」
『リースさん。彼女を封印するのです。大丈夫、貴方ならできます』
「出雲さん……封印……?」
「……なに、この声は。忌々しい! すぐに消してあげる……!」
「! させない!」
ナギサちゃん達には、手出しはさせない。例えそれが、もう一人の私であっても。破壊者であっても。
私は無我夢中で、両手を天にかざした。私の手から、眩いほどの光が溢れ出す。
大事な人達を守れる私でありたい。私が、忌み嫌われる破壊者だったとしても。
「なに!? この光は!?」
「ナギサちゃん達には、手出しはさせない! 絶対に!」




