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(更)技術革命編 1

 革命という言葉がある。


 あたしも詳しくは知らないけど、辞書で調べると『権力体制が組織構造の抜本的な社会変革あるいは技術革新などが、比較的に短期間に行われること』と書かれている。


 旧日本だと革命と言えば、フランス革命とか、クーデターとかの暴力を伴う行為を意味することが多いかもしれない。


 でも国を豊かにする革命ももちろん存在する。


 有名なのがイギリスの産業革命。


 これによりイギリスの織物産業が生産性が飛躍的に向上して国家が発展するきっかけになったらしい。


 ……まあそのおかげでイギリスの食文化が衰退していったらしいけど。



 魔法を使うために必要な杖の原材料は魔杖の森という特殊な森に生えている木でないといけないらしい。


 あたしが使っている杖もそこの森の木から作られているはずだ。


 そしてそこは国有地であり、フェンスと有刺鉄線が巻かれていて入り口には自衛官による警衛がいた。


 あたしが乗った車が前まで来ると、師匠が窓を開ける。


「お疲れ様……え?え!?」


 警衛の自衛官が驚愕した。


 そりゃそうだ、師匠の顔の右側が青く腫れてるんだから。


「落ち着け、俺に関しては問題ない。通してくれ」

「は、はあ」


 顔を引きつらせながら警衛は入り口の門を開けた。


 それを確認した師匠は車を走らせた。


「なあ……見ただろ?奴らの顔、学校からここに来るまで何人の人間が俺を見て驚いたよ?」

「そんなの数えるわけないじゃん」


 さあ!ここでクイズだ!


 師匠を殴ったのは誰でしょう!


 ……はい、あたしでーす。


 まあ、この国に居る人で師匠に殴れと言われて殴れる人は居ないだろうさ……あたしなら躊躇なく殴るけど。


「そもそも師匠が悪いから殴ったんだけど?いくらあたしでも何もされてないのに殴るとお思いで?」


 あたしが殴った理由は前日にある。


 昨日授業が終わり教室を出ると、なんと師匠がいて開口一番『明日、弟子として俺の仕事に付いて来い。柏木には伝えてある』と言ってさっさと行ってしまったからだ。


「弟子の仕事として師匠について行くのは分かるし理解できるよ?でもさあ、前日に言う?一週間前……は無理でも、数日前には行って欲しいんだけど!今日だって学校休んだんだからさ!」

「友里にも怒られたよ『いくら仕事が忙しくても一言でも良いからもう少し前に伝えるのが常識です!』ってな」

「思うんだけど……なんで会いに来るのさ。電話でも良くない?」

「基本無線機しか使わん」

「……ちょっと待てや!一般人からすれば無線機より電話の方が使いやすいだろ!」

「いちいち電話番号覚えるのめんどい」


 話す相手ごとに周波数変える方がめんどくさいだろうが!


「それに電話は持ち運べない」

「え?……あ」


 そういえばこの世界、スマホはおろか、携帯すらないのか。


 しかも、唯一確認できた電話が黒電話ですぜ?


 使い方知らんから小林先輩に教わったレベルだわ。


 そうか、無線機は魔法で軽量化すれば持ち運べる、でも電話機は電話線があるから無理なのか。


「……そういえば、今回の仕事は何?聞かされてない」

「お前は今日が何日かすら知らんのか?」

「もう一発殴る?」

「おいおい……ここに来る識人は結構気にするんだが」

「なんで?」

「次の転生者が来る日だからだよ」

「……あー」


 あたしは初めて今日が五月一日であると分かった。


 授業と部活で忙しすぎて完全に忘れてた。


「そんなに気するもん?」

「そりゃ、そうだろ。どんなユニークを持っているのかとか。男性か女性かとか。友里も言っていたが、毎月転校生を待っている気分だって言ってたな。他にも無料のガチャをやってる気分だそうだ」

「あー」


 確かにどんな人が来るか分からないドキドキ感があるし、全員最低限何かしらのユニークは持ってるからガチャか……例えた人頭いいな。


「でも……毎月来るほど旧日本では人が死んでる……悲しいよね」

「何言ってるんだ?この日本でも事故事件、関係なく年数千人は死んでるんだ、そしてそれだけ生まれてる……悲しいことじゃないだろ。輪廻……世代交代……当然の事だ」

「……まあ確かに」


 へえ……そんなに死んでるん?


 ある意味運が良いのか?一年に限定すると、数千分の12……運が良いのかも。


「もう着くぞ」

「ういっす」


 車は看板も何もない、木でできた階段の傍に到着した。


「簡単な階段しかない」

「当然だ、観光地じゃないんだ。俺しか来ないからな整備する理由がない」

「今更だけど、なんで軍用車?」

「お前が居るから……と言うのもあるが後部座席に転生者乗せられるからな。それに山道走るならこれにしとけと」

「……今までどうしてきた!?あたしはその場で目覚めたけど!」

「お前が異常なんだよ、普通は眠ったままだ。だからそのまま俺が担いで桜木の家まで連れてく」

「マジかよ」


 転生者は例外なく裸でやって来る。


 一応師匠が布を被せてくれるけど、そのまま皆師匠に担がれて運ばれていたと。


 可哀そう。


 階段を上がっていくと、そこにはあたしも転生した時に見た光景があった。


 何一つ無い殺風景な石で出来た……広場だった。


 唯一一般的な広場と違うのは……かすれて読めないし機能してるのか分からない魔法陣が書かれている点かな。


 あたしや友里さん……師匠を含めて全ての転生者が現れる場所。


「てかさ、いつ来るの?決まった時間とかあるの?」

「んー?」


 師匠は時計を取り出す。


 あたしも真似するように師匠からもらった懐中時計を確認する。


 これは師匠の弟子になった記念に師匠からもらった時計だ、同じものを所望したけど、帝……つまり天皇陛下からもらったため同じものがなく、師匠が必死に同じものを探してきた一品だ。


 時計は現在午後五時。


 ……もうこんな時間か、疲れるわけだ。


「恐らく……くる」

「時間ピッタリってわけじゃないのねどんな風にくるの?」

「……説明するより見た方が早いだろ……ほら」

「は?」


 その時だった。


 魔法陣を中心に突然、渦を巻くように風が吹き始めた。


「……な、何が起きてるんです?」

「さあ?アリス上を見てみろ」


 上空にはいつの間にか、光り輝く球があった。


 それは少しずつ膨らんでいるように見える。


「……」


 駄目だ。


 何が起きているのか全く分からない!


 そして疲れてるから驚く声も出す気にならない!


 でも師匠はちゃっちゃとカバンから大きめの布を取り出していた。


 人が入る大きさまで膨らんだ球体は形状を変えて花の蕾になると地面に降りてくる。


 蕾が開きだすと、一輪の菊の花が咲いた。


 そして……花の中心には、一人の人間が横たわっていた。


「さてと」


 師匠が持っていた布を、転生者に被せようとする。


「ちょっ!ちょっと待てえ!」

「あ?なんだよ」

「この人が女性だったらどうすんの!裸を見ることになるじゃん!」

「……俺が今まで何人の転生者をここで迎えて来たと思ってるんだ?男だろうが女だろうが今更裸見て何とも思わん」


 あれか!医者が女性を見てもなんも思わんと同じってか!


 知った事か!


「今日はあたしが居るんだ!転生者の性別確認と布を掛けるのはあたしがやる」

「あっそ、ならよろしく」


 あたしは布を受け取ると転生者の元へ向かった。


 ……ふふふ、もし相手が美女だったら合法的に裸が見れる!


 まずは……年齢確認……あれ?


 転生者を見て気づいた、年齢はおおよそ中学生?いや……多分小学生高学年くらい……何だけど……髪色がおかしい。


「師匠、もし死んだときに髪染めてた場合ってどうなるの?」

「知らねえよ。誰一人死んだときのこと覚えてねえんだから」

「そりゃそうか……」


 じゃあなんで目の前の人は……金髪……いやブロンドなんだ?


 純日本人でこの髪色はおかしくない?


 濃い目の茶髪ならまだ分かるけど、見事なブロンドヘアですよ?


 もしかして……ハーフだったりする?


 転生者をよく観察している時だった。


 あたしは転生者の下半身に女性なら付いているはずのないものが付いているのを見て声を上げてしまった。


「……うおああああああ!」


 だけど一応布は掛けた!義務は果たした!


「だから言っただろ、女性限定じゃねえって。男だった付いてるだろうし、裸だから見えるわな。将来、神報者になったら毎月見るんだから慣れとけ」

「無理無理無理無理!美少年のアレならまだましとか思ったけど……やっぱ無理!」

「早くいくぞ!お前の時みたいにまた襲われたいか?」

「……うっす」


 師匠は少年を早々と担ぎ、車まで行ってしまった。


 あたしが転生した時、早々にライオンと呼ばれる、ライオンには全く見えない獣に襲われたのだ。


 ……あの時よりは魔法を覚えたし、対処できるけど……暗い中の戦闘はまだ経験がない。


 ここは移動するに限る!


 あたしは師匠について行くと、そのまま桜木さんの家に向かった。


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