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(更)ズトューパ編 9

「……うっそーん!」


 上空に投げられたあたしは何とか体勢を立て直す。


 何が起きたのか……山神先輩を怪物なのかと思ってしまう。


 ……あの、結構なスピードで突っ込んだんですけども!?


 結構ちゃんとぶつかったはずなのに上半身の力だけで弾き返した?!?


 化け物か何かですか!?


「……さすがだ!」

「……はい?」

「ただの新入部員……女子生徒だと思っていたが……訂正し謝罪する」

「いえいえ」

「ここからは……ステアの……いや、一人の識人として敬意と尊敬の念を持って本気で戦わせてもらおう」

「……」


 山神先輩の……目線が変わった。


 やばい……あたし、とんでもない獅子を起こしてしまったもしれない。


 ……でも作戦通り!


 倒せたら最高だったけど、峰先輩だけに伝えた作戦的には順調!


 ビュン!


「ぬおっ!」

「本気の勝負ごとによそ見をするな!さあ!かかってこい!」

「……」


 ……失礼!


 そうだよね!ここまで楽しいんだ!よそ見は……失礼だ!


 あたしは作戦の第三段階……最終段階に移行した。


 これが上手くハマれば……勝てる!


 あたしはまずゆっくりとゴールボールを中心に山神先輩の魔法を避けつつ旋回を始めた。


 あたしの後ろを追いかける形になっている山神先輩だけど少しずつ旋回軌道が内側に入ってきている。


 ……次かな?……いや、二回目!


 二回目の旋回の途中、ちょうど山神先輩とあたしの位置関係がゴールボールと一直線になる。


 ……ビュン!ビュン!ビュン!……ピュン!


 あたしは先輩に向かって四発の水魔法を撃った。


 最初の三発は普通の大きさ、そして……四発目は、ギリギリ生成できる大きさの水魔法だ。……四発目は少しだけ軌道を変えて。


 山神先輩は先程とは違い、ちゃんと杖で防いだ……ありがたい!


 スピードを上げて旋回半径を縮小!


 即座に杖を先輩に構えて……撃つふりをした、魔法が出ないという表情をして。


「ラストおおお!……ありっ」

「そこだあああ!」


 先輩はあたしに向かって水球を放った。


 ……多分誰もがあたしの負けを悟っただろうね。


 でもここであたしが負けたら……試合負け確定なのよ。


 あれが着弾確定するまで負けるわけにはいかん!


「りゃあああ……ぎゃあああ!」


 箒の先端を魔法にぶつける。


 当たると衝撃でグルングルンと回るけど、何とか体勢を立て直す。


 ……けど、目の前にはすでに追加の魔法が来てる!


「まだまだあああ!」


 あたしは箒に掴まるような形で体を投げ出した。


 あたしの体が合った場所を魔法を通過する。


 ……また来たああ!


「あ、諦めるかあああ!上昇!」


 箒がその形で上昇する、そしてその勢いであたしは上空にジャンプした。


 そして魔法が通過、少ない体力で箒にしがみついた。


 同時にあたしは両手を上げて降伏した……時間稼ぎには十分だ。


「どうした?」

「……すんません、降参です。もう……体力が」

「負けを認めると?」

「はは……ははは。やってみましたけど……いくら何でも条件がきつすぎますって。……まあ勝負には負けましたけど……試合には勝ったので」

「……ちょっと待て、どういう……」

「あと数秒で分かるんじゃないすか?」


 ビン!パーン!


 数秒の沈黙後……ゴールボールが割れる音と……ゴールボールを打ち抜いたチームの名前が浮かんだ……花組と。


「なーんと!山神選手とアリス選手の激闘直後!ゴールボールが割れたあ!ゴールボールを打ち抜いたのは!花組!12対11で花組の勝利だあ!」

「……な……何故……何が!」

「いやあ、峰先輩に聞いたんですけど、ゴールボールを打ち抜くのに必要な魔法の大きさに制限がないじゃないですか?下手したらBB弾レベルの魔法でも大丈夫だって」


 あたしは杖の先端にBB弾レベルの魔素球を作る。


「だがいつ撃ったと!」

「先輩ついさっき三発ほど魔法を防いだでしょ?あたし撃ったの……四発っすよ?この極小の魔法を四発目に誰も気づかないようにゴールボールに向けて撃ったんすよ。皆あたしとの戦いに夢中してる……多分気づかれないんじゃね?って。まあ当たったのは……奇跡っすけど」

「まさか……今の今まで……このために!?」

「まあ最初は……先輩倒せれば……それはそれでよかったんすけど。まあ無理なのは最初から分かってたんで!まあ皆には嘘をついちゃったけど。それに先輩も言ってたでしょ?本気で戦うって。ならあたしもあたしなりの本気の戦い方で戦っただけですよ肉を切らせて骨を断つ!……みたいな?」


 渾身のVサインを山神先輩に見せる。


「君の生きた世界……旧日本とやらはそうでもしないと生きていけないのか?騙しあいをしなければ生きていけない世界なのか?」

「さあ?でもこの世界でも旧日本でも完全平等な世界何て存在しないっすよね?いつだって競争社会……それを勝ち抜くその手段の一つが……策略っすよ。先輩もいつか分かるんでは?」

「そうか……それはそれとして……君は勝ったんだ。ほれ仲間たちから祝福が来るぞ?」

「……それってどういう……」

「「「アリスううう!」」」

「……ちょっ、まっ……あっ」


 あたしは花組皆に抱き着かれた。


 そしてその衝撃で残っていた体力が消し飛び……気絶した。


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