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異世界転移したら俺は巫子の出自だった。  作者: K.ユフィン
第1章
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無事に辿り着きました

 


 浮遊感で意識が覚醒した。


 あっ、これ夢だ。小さい時からだけど俺は夢を見てもそれを夢だと分かるし夢の内容も殆ど覚えているんだよな。


 すると、目の前にあの蒼銀色の光沢を持つ鱗を持った巨大なドラゴンが姿を現した。


 だが、不思議と戦っていた時のように敵意は無かった。何処か俺を認めたような友好的な雰囲気が漂っていた。

 俺は徐に手を差し出すとドラゴンも顔を近づけ俺の手に触れた時だった。ドラゴンの身体が青白く光り輝き一振りの蒼い刀が姿を現した。

 刀をゆっくり鞘から抜くと蒼銀色の刀身に氷を連想させるような薄青い波紋を持っていた。


 綺麗だ・・・でもこの刀、俺の得意な抜刀術に適した長さだ。


 刀の美しさに見惚れていると刀身が輝き、蒼い水の鱗を持った蛟が姿を現した。


「ようやく見える事が出来たな主よ。」


 反響するように頭に声が聞こえて来る。でも俺は目の前に居る蛟が俺にとってどういう存在なのか理解が出来た。

 否、生まれた時からこいつはずっと俺の傍に居て、俺を護ってくれていた存在だ。


「そうだな、蒼霞。姿を見せれるようになったのは、俺があのドラゴンを倒したからか?」

「そうだ。主が倒した竜の結晶と主に宿る力によって弱々しい存在だった我にも力が宿り、こうして主の前に姿を現す事が出来た。これからの我は主を支える刃となろう。」


 元々、蒼霞は俺の心に宿る存在、それが刀からも感じられるという事は俺と蒼霞とこの刀が密接に繋がっているという事だ。

 どうやら、あの巨大なドラゴンは俺に大きな報酬をくれたようだ。


 刀を鞘に納めると辺りが綻び始めた。どうやら目覚めるようだ。


「主よ。我の力が必要な時は名を呼べ、いつでも主の前に姿を現す。」

「あぁ、頼む。」


 そうして、俺は目を覚ました。


「ここは・・・・」


 目を覚ますと全身の感覚が少しずつ覚醒する。視界が霞む中、嗅覚が最初に戻り薬品の臭いが鼻を刺激する。

 そして次に襲ってきたのは全身の痛みだった。


「うぅ・・・」


 こりゃ、骨とか折れてるな。全身に痛みが・・・。


 全身に響く鈍い痛みを堪えながら首を動かすと今の俺と同じ年齢ぐらいの少女が椅子に座って船を漕いでいた。

 その少女は黒真珠のような艶やかな漆黒の髪に人を魅了するような色気を持った色白な肌を持っており、思わず俺も見惚れてしまった。まだ幼いが成長すれば化けるレベルだ。

 もしかして、看病してくれていたのかな・・・。


 そんな事を思いながら、左手を見ると夢で見た一振りの刀が握られていた。刀からは蒼霞の気配を感じ取る事が出来た。


「居るんだな・・・」


 俺は鞘から刀を僅かに抜くと刀身に自分の瞳を映す。これは白夜真抜流に伝わる主従の契約だ。これにより、この刀の主は俺である事を覚えさせるのだ。勿論、刀に意思があるかは分からないがこの刀には俺をずっと護ってきた蒼霞が宿っているんだ。そう言う意味なら刀に意思がある事になるだろう。


「後は刀の名前か無名じゃ、武器に力が宿らないとも言うしな。そうだな、お前の名は『凍華』にしようか」


 刀に名を付けると呼応するように蒼い光と冷気を放った。鞘に納めると凍華はブレスレットとなり左手首に装着された。


 ふぅ、とりあえず安全な場所に辿り着いたという事で良いのかな?


 すると、隣で「うぅん」という声が聞こえて来たので視線を向けると薄っすらと紫色の幻想的な瞳が髪の間から見え、俺と目が合った。


「あぁ、気が付いたのですわね。身体に違和感はありませんか?」

「まぁ、鈍痛がある以外は問題ないかな?」

「発見した時は全身酷い状態でしたのですよ?アキハ様達が発見した時に応急処置をしてここに運び込んで治療しましたから最低でも1ヶ月は安静にするのですよ?」

「1ヶ月?全治半年の怪我だと思っていたが・・・」

「魔法で自己治癒能力を高めていますからね。その包帯に術式が組み込まれていますから今は外しちゃダメですからね?」


 魔法というのは便利だな、包帯にも魔法を組み込んで発動し続けて俺の怪我をこうして今も直してくれているのだから。


「ずっと看病してくれたのか?」

「ずっとではありませんけれど、傍に居るようにと大巫女様から仰せつかっていましたので」

「そっか・・・あっ、自己紹介がまだだったな。俺は天谷晃。えっと、こっちじゃコウ・アマヤって名乗った方が良いかな?」

「そうですね。コウ・アマヤの方が皆分かると思います。私はヨイカ・ホシキリと言います。」

「ヨイカ・ホシキリ・・・もしかして、文字はこう書くのか?」


 俺は指先に魔力を集めて宙に星切宵華と書いて見せると彼女はコクリと頷いた。


「・・・うん、宵華。看病してくれてありがとう助かったよ。」

「はい。無事に目覚めてよかったです。でも、まだ完全回復では無いのですから今はゆっくり休んでください」


 宵華に身体を押されて俺はそのまま布団を掛け直される。正直、今は言う事を聞いた方が良いだろうと思い従い再び眠りについた。

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