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異世界転移したら俺は巫子の出自だった。  作者: K.ユフィン
第2章
18/82

外道共には制裁を与えなければ

 


 レラシオンへ到着した俺は直ぐに宵華と合流して目的の奴隷商へと向かった。奴隷商と言っても種類はあるオークションで生計を立ている所と実際に目で確認して購入する場所とがある。商品も人間から亜人まで、没落した貴族の娘から戦争で家族を失った孤児も流れてくると聞く。


 今回の場所は後者である。クビス家がパトロンにされていたのは選んで購入する奴隷商だ。


「何と言うか、貴族と言うのは蹴落とす為にこんな事までするのね・・・呆れるわ。」

「アーデンエリス王国じゃあ、禁じている事でも別の国では禁じてないもの」

「二人共、無駄話は此処までにしますよ。」

「それで、どうするのコウ」

「その奴隷商を破壊する訳ではないんでしょ?」

「あぁ、レラシオンでは許可している事だからな、破壊してしまったら問題になるからな。俺達がやるのはアーデンエリス王国が交渉出来る材料を手に入れる事だ。」


 奴隷商に対してアーデンエリス王国が査察に入れるようにすれば良いのだ。ここは商人の国だ。ここは命すらも金で買える国、情報等も金で買えるのだ。守秘義務を行使されており交渉中なのは求められる金銭が膨大だからだ。


 奴隷商は言わずもがな商人が運営している。マーカス家と手を組んでいるのは双方に利益があるからだ。マーカス家は出世の邪魔になる貴族を蹴落とし成り上がる事が出来る。商人はパトロンを得る事で貴族から膨大な資金または商品を得る事が出来る。つまりどちらにしても儲かるって寸法だ。


「でも、お兄ちゃん。マーカス家は貴族を蹴落とす事だけが目的じゃないよね。売られた貴族の娘とかはどうやって手に入れているの?だって、マーカス家は出世する為だけじゃなくて貴族の娘を手に入れているんだよね?」

「あぁ、それならもう調べは付いている娼館だ。しかも裏でマーカス家が手を結んでいる所があるんだよ。娼館と奴隷商が契約を結んでいてな没落した貴族の娘は娼館に流れるようになっているんだよ。」

「なるほど・・・VIPルームですね。マーカス家や裕福な人間だけが利用できるように」

「アーデンエリス王国の本邸だと足が付くしな。まぁ~ここにも別邸があるみたいだけどね。」

「聞いているだけで胸糞悪い話ね。」

「さて、到着だ。」


 到着した場所は奴隷商と娼館が隣接している場所だった。


「宵華達は奴隷商の方を調査しろ。俺はフリーシアと娼館に潜入する。」

「分かりました。」

「じゃあ、散」


 宵華達と別れ、俺は直ぐに娼館への隠し通路から中へと潜入した。


「流石はマスター様ですね。こんなにあっさり隠し通路を見つけるなんて」

「地下に空間があるのは気配で分かったしな、それに隣接している事から地下を通って娼館に流しているのは直ぐに考え付いたからな。」

「宵華さん達を娼館の方に行かせなかったのは、この先に何かあるからですよね。」

「あぁ、人が数人集まっている気配があったからな・・・その光景はあんまり見せたくない。」


 気配の集まる場所に到着して睡華から記録のタリスマンを出して中の様子を記録するVIPルームの中では案の定と言った様子だった。


「はっははは、本当にロベルト侯爵には恐れ入るよ。こんな素晴らしい事を思いつくのだから」

「えぇ、格下貴族の家を崩壊させて貴族の娘だけをこうして私達に慰み物にするとは」


 そこにはアーデンエリス王国に属する伯爵クラスと劫火の灰塵に属するクランサブマスターの姿も在った。

 世も末だな、ソフィーが知ったらどうなるか・・・絶対に思い詰めるなこれ・・・。だが、これは完全に動かぬ証拠だな、それに罰せられてしまった貴族の娘達も絶望で目が虚ろだ。

 本当ならば介入せずに取った情報を基にアーデンエリス王国に強硬手段を取らせて解決へと導かせる予定だったが介入しなければいけない理由が出来てしまった。

 シアには念話で連絡する事を命じて俺はVIPルームの扉を蹴破った。


「な、なんだ!?」


 高速で移動し、一瞬でその場に居たアーデンエリス王国の貴族を全員縛り上げて衝撃波で壁まで吹き飛ばし長い苦無で急所を撃ち抜く・・・もとい、壁に打ち付ける。

 激痛で声を上げる貴族達を尻目に俺の初撃を回避した男に向き直る。


「何者だ!!」


 名乗るのも虫唾が走る為、俺は無言で苦無を生成して投擲すると全裸で武器を構えて苦無を切り払い俺を叩き切る為に武器を振り被る。

 だが、既に手遅れだ。俺は既に彼の背後に立ち細い針を背中から心臓の近くに刺し込んだ。すると、操り人形のように力泣く崩れ落ち床で痙攣する姿が俺の目に移った。


「シア、この建物から誰一人外に出すな!!」

「はい」


 シアが娼館と奴隷商を結界で囲むのを感じた。


「大変、お待たせしてしまいまして申し訳ありません。トク姫様」

「あ、貴方様は・・・カグラハラ国の人間ですか?」

「はい、トク姫様、まさかこのような場所で生きていたとは・・・」


 この人はアーデンエリス王国とカグラハラ国の貴族間で生まれた娘だ。名はトク・キキョウイン・グローデンだ。

 カグラハラ国でも1ヶ月前に消息不明になっていた報を受けており、存命している事を願い捜索していた。トク姫様の母親であるヒイラギ様が嫁いだグローデン家の当主は既に遺体で見つかっていた。


「恐れながら操は?」

「・・・」

「そうですか・・・」


 それ以上、聞く事は酷だ。俺は収納魔法で毛布を取り出しトク姫様の肩へと掛ける他の女性達も同じように毛布で包むとVIPルームの外で関係者全員コールドスリープ状態なっているのを確認した。

 壁に打ち付けた貴族達には苦無に仕込んだ睡眠剤と止血剤で、夢の中だ。まぁ、彼らの黄金の至宝は、もう使い物にならないだろうがな。


 暫くして常闇の影舞のクランマスターを筆頭にした面々とアーデンエリス王国の兵士達が到着した。


「・・・まさか、劫火の灰塵のサブマスターがこんなところに居るなんて。」

「本当ならアーデンエリス王国の問題はアーデンエリス王国に解決させる予定だったんだがな・・・こちらも手を出さないといけない理由があった。」

「・・・それは仕方ない。お蔭でこうしてこの場所で行われている事を暴く事が出来たから。」


 ルイーナが俺の横に来て嘆く声を漏らした。顔は隠していても感情を表に出すのは得意では無い性格の彼女も声は酷く失望している様子だ。

 常闇の影舞と俺と宵華が所属しているカグラハラ国が保有する諜報部隊『暗月』は同業者であり協力関係にある。その関係で彼女とも顔を合わせる機会が多かったのだ。


「私達でも調べあぐねていた事案をたった二日ちょっとで此処まで進展させるとはね。」

「きっかけがあっただけだ。それがまさか国を跨いで此処までの話になっているとは思わなかったよ。」

「そうだね・・・とりあえず、娼婦にさせられていた子達は私達の方で保護するで良い?」

「・・・あぁ、とりあえず頼む。ここに居るトク姫様と奴隷商の方に居るある娘は手続きが終わり次第此方に引き渡して欲しい。」

「了解、ソフィリア姫も許可を出すと思うから後日連絡が良くと思う。」

「すまないが頼む。」


 話を終えると後処理の手伝いを行い。アーデンエリス王国の屋敷に戻ったのは日が出始めた頃だった。


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