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異世界転移したら俺は巫子の出自だった。  作者: K.ユフィン
第2章
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アーデンエリス王国に派遣されます。①

 


 アーデンエリス王国に行く日がやって来た。俺は長くなった髪を切った。正直、鬱陶しいかったので短く出来て色々と楽になった。何故、髪を伸ばしていたかと言うと髪には魔力が宿っているので術にも使う事が出来るのだ。

 この世界の人間が持っている髪の色が色とりどりなのも得意な属性に寄る所が多く俺の髪もこの世界に来る前は黒かったのに今は青みがかっているのはそれが原因だ。



「晃、準備は出来ましたか?」

「あぁ、今行くよ。」


 アーデンエリス王国に行くにはカグラハラ国にあるポータルを使って近くの町まで飛んでそこからアーデンエリス王国への入国審査を通って入る事になる。ポータルは各国のギルドが管理しており、使用をするには手続きが必要なのだが、巫女達は任務によって使用する事が多いので手続きは迅速に行われる為、こうして直ぐに移動する事が出来る。


「では晃、私は何回か様子を見に来ますがくれぐれも本来の力を抑えて行動をするのですよ。我々の力は強大であるが故に利用しようとしてくる者も居ますので。」

「はい。」

「アキハ、キリハ、四人の事を頼みますよ。」

「はい、お任せください。」

「母さんも身体には気を付けて下さいね。くれぐれも甘い物を食べ過ぎないように。」


 キクナ様は羊羹とか饅頭とか好きだからな。よく呼び出された時に俺と話をする名目でお茶と一緒に出されるが、本当はキクナ様が食べたいという理由で呼び出されている事を俺は知っている。

 その時は、祖母と孫の関係なので、色々思い出話やら愚痴やらを聞かされたものだ。


「分かっていますよ。本当は晃を行かすのは忍び無いのですが・・・・」


 その言葉の裏にある心情は色々な思いがあるだろうが、キクナ様が来た時はお菓子を作って振舞う必要がありそうだ。


「晃、様子を見に来た時はお願いしますね。」

「分かりました。」


 俺達はポータルを使ってアーデンエリス王国の近くにある町へと移動した。そこからの移動は馬車での移動となる。

 馬車に揺られながら俺は本を読んでいると左肩に重みを感じ横目で確認すると宵華が小さく寝息を立てていた。


「宵華寝ちゃってる。」

「晃も慣れている感じね。」

「まぁな、任務疲れた時とかこんな感じだぞ?」

「宵華は晃に心を許しているのね。」


 馬車に揺られること数時間、昼過ぎ頃にアーデンエリス王国が見えて来た。任務で何度か来ているがこうして見てみると大きな街であるアーデンエリス王国の街並みは王城を中心にして広がっている。


 真ん中の王城、ギルド『エリス』、王立魔法学院、王立騎士学院という主要施設がある場所が王城エリア、そして、王城エリアを囲むように七つのエリアがあり、それぞれに七大クランの施設が存在しており、ここの住人は東西南北で判別している。


「宵華、着いたよ。」

「うぅん・・・あっ、すみません。」

「気にするな。」


 アキハさん達が入国審査の手続きをしている間に宵華を起し衛兵に顔を見せると問題なく通してくれた。


「それで、俺達がこれから暮らすのは何処になるですか?」

「聞いた話によるとウエストエリアにあると聞いているわ。」



 東側と言ったら、聖光の女神、緑風の祝福、豊水の癒し手があるエリアだな。

 逆に西側は常闇の影舞、迅雷の豪傑があるエリアで、北側には大地の息吹、南は劫火の灰塵がある。


 東側についてだが比較的女性が多いエリアである。何故なら女性を対象とした店並びである他に魔法系の道具や武器が手に入るのもこのエリアの特徴である。

 俺が得意な刀や剣は主に北エリアに店を構えているドワーフの店がおすすめだ。


 そう考えながら街並みを見渡していると俺はある事に気が付いた。


「そういえばウェストエリアって、上流階級の貴族が暮らしている邸宅が並んでいる一等地があったような・・・・」


 俺の言葉を聞いて、その場に居た全員が表情を強張らせた。数分して到着した場所は巨大な豪邸だった。


「とりあえず、中に入ろうか・・・」

「そうね。」


 中に入ると予想通り使用人達が出迎えた為、アキハさんとキリハさんが額に手を当てていた。恐らくキクナ様が手配したのだろうが、手配を依頼した相手がアーデンエリス王国の国王である可能性が高い。この国の国王とキクナ様は古くからの仲らしい。というかアーデンエリス王国の国王はキクナ様に心底惚れ込んでいたらしく、その結果がこの豪邸だ。


「とりあえず、せっかく用意してもらったのだから使わせてもらいましょう。」

「家の事は私達に任せて、貴方達は外を回ってきたら?」

「分かった。」

「私、服みたい!!」

「じゃあ、服屋に行きましょうか。晃はどうしますか?」

「あぁ、付き合うよ。」


 そう言ってしまってから数十分後後悔する事となった。連れて来られてしまった場所が何とランジェリーショップだったのだ。


「・・・・」


 中に入る訳にも行かず近くの喫茶店で待っている訳なのだが、いつまでもこの場所に居るのも退屈なので代金を払ってから宵華に念話で一報入れてからそこら辺を歩き回る事にした。

 アーデンエリス王国は中立を保つ国だが、流通も豊富であり非常に珍しい物も見つかり易い、現に少し歩いて、緑風の祝福のクランハウスが近くにある場所まで来ると珍しいタリスマンが売っていた。


「守護のタリスマンか・・・」


 小さい石の欠片を組み合わせて防御魔法の効力を上げるタリスマンを発見したのだ。値段はそこそこだが、買えない額でもない。しかも、組み替えれば切れ味を上げる効力も持つようだ。

 うん、これは買いだな。

 俺はタリスマンに手を伸ばした時だった。


「ちょっと離しなさいよ!!」


 路地裏から女性の声が聞こえて来た。なんともテンプレな流れだ。とりあえず、タリスマンを購入っと。

 そして、タリスマンを睡華に吸わせてから、路地を除くと―――。


「アンタこそ離しなさいよ彼は私と一緒に居たのよ!!」

「二人共喧嘩はよしてくれ・・・」


 修羅場だった。触らぬ神に祟りなしって言う言葉もあるし関わらないでおこう。この治安の良い地域で暴挙に出た所であっという間に鎮圧されるのが関の山だしな。そんな度胸ある奴が居たら見てみたいもんだ。そう思いながら路地裏に入り、中央にある王城エリアにある王立魔法学院の下見に向かおうと歩を進め十字路に出た所だった。


「ちょっと何するのよ!!退いて!!」

「なぁなぁ、姉ちゃん達ちょっと俺達と良い所行こうぜ」

「俺達、さっき大物狩ってきて金有るんだわ」

「ついでに夜まで楽しもうぜ」

「そうそう、俺達のテクは気持ちいぜ。」


 度胸がある連中が居ました。なんとも・・・でも。俺は眼に魔力を集めて巫女の瞳を開眼し少し先の未来を視る。

 ポーチに薬・・・洒落にならないやつだな。

 抵抗している女性に焦れた男が腰に付けたポーチに手を入れた時、俺は動いた。


「おじさん達、そこまでにしときな。」


 ポーチに突っ込んでいた男の手を掴む、隙だらけなもんだから背中に苦無の一本でも突き刺せば良かったかもしれないが来たばかりで流血沙汰になるのも面倒だから掴むだけにしておく。


「あぁ!!なんだ餓鬼!!」

「女性二人に男四人って、恥ずかしくないのかよ?それとも、そのポーチに入っている物を使わないと自信が無いの?」


 これぐらいで十分だな。


「テメェ!!」


 うん、予想通り殴り掛かってきた。俺は男から手を離して、回避しようと思ったのだが。遅い・・・三回は避けて戻ってを繰り返せるレベルだな。

 俺は拳を打ち上げて一人を合気道の要領で投げると受け身を取らず頭から落ちて意識を刈り取れてしまった。


「野郎!!」

「よくもやりやがったな」

「何処見てるんだ?」


 突っ込んできた二人の間をすり抜けて二人の首に回し蹴りを叩き込むとそのまま吹っ飛び気絶した。後一人、薬を使おうとした男が剣を抜いて突っ込んできた。


 白夜真抜流 格闘式 肆ノ型 崩月


 俺は手刀で剣を折ってから掌打を顎に入れて顔を打ち上げると、その隙に後ろに回り込み蹴りを背中に叩き込むと気絶した男達の山が完成した。



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