やはり姉の様子がおかしい 2
姉に昼ご飯買ってきてと頼まれ、注文が終わり、テーブルに戻る途中で姉を見つけた。
何をしていたのかと思ったら、姉が誰かと話している。
眼鏡をかけた女性なのは分かったが、横顔では誰なのかが判断出来ない。
姉はやけに楽しそうに話をしているが、二人の温度差は激しく、眼鏡の女性は淡々と話を進めているようだった。
そして、眼鏡の女性が鞄に手を入れたと思ったら、封筒の様な物を取り出し、姉に渡した。
それを受け取った姉は、更に喜びが増したようで、姉の顔はニヤケが止まらなくなっていた。
これ以上見ていたらバレそうだな。
あの人が誰なのか聞きたいけど、あの姉だ。
どうせ変な事を頼んでたんだろ。
自分の中でそう解決し、姉から目を離した。
「買ってきてくれてありがと」
「呼ばれたら自分で取ってきて」
いざ姉を目の前にすると、さっきの事を聞きたくなるが、どうにかそれを抑える。
聞きたいのを抑えるのに必死で、食事をしている時はあまり会話をせず、食べ終わってからやっと普通に会話ができた。
「次の予定は?」
「うーん、次は今日の夜ご飯とかの買い物かな。それが終わったら、帰ってご飯の準備をする」
そういう予定らしいので、ショッピングモール内のスーパーに来た。
「今日の夕飯は何?」
「和食」
「具体的に」
「白米、煮物、漬物、汁物」
「もっと具体的に」
「これ以上は考えてないから一緒に考えて。お肉のコーナーとかにでも行って、食べたいの取ってきていいよ」
「分かった」
とりあえず野菜のコーナーにいるけど、一緒に考えてと言われても、特にこれと言って食べたいものがない。
よくテレビ等で、『なんでもいい』が一番困るとかなんとか言っていたけれど、これがいいと言うものが、いつでもぱっと出てくるわけではない。
ただ、煮物ならこれ、というものなら簡単に出てくる。
例えば、角煮だとか。
「あ、角煮食べたい」
肉のコーナーに向かう途中、さっき姉が話していた人とすれ違った気がした。
足を止め、振り返るも、既にいなくなっていた。
気のせいだった可能性も否定できない為、気にせずお肉のコーナーに向かった。
「あ、隼!今日は角煮にする事にしたよ」
目的地に到着すると、既に姉がいた。
二人で別れて行動していたから何もおかしな事はない。
だが、俺を見つけた瞬間、発した言葉が『今日は角煮にする』である。
今日の朝もそうだ。
まるで俺をずっと見ていたような、そんな感じがする。
「ちょうど角煮が食べたくなったんだ。偶然だね」
「ふふふ、私達の心はやっぱり繋がっているのね!」
ここはいつもの姉だ。
だが、本当にそうなのか?
さっきの姉と話していた人が気になる。
明希が隼と考えが一致した事に浮かれ、隼は姉と話していた人の事を考えている中、二人の様子を伺っている人がいた。
「明希さんがあんな人だなんて知らなかったな。私の憧れでもあったけど、学校の明希さんとは別人みたいだ。それに隼君は気付いてくれたかな?わざとすれ違ってみたりしたんだけど」
ちょっと前に明希と話していた、女性である。
隼がこの子が裏にいた事に気付くのは、また数日後のお話。
一つメニューが決まると、他が決まるのは早かった。
今晩の献立に必要な食材を買い物カゴに入れ、レジで会計を済ませ、家へ帰った。
「「ただいま」」
家に誰もいなくても、何故か言ってしまう。
「すぐご飯作るからね」
「うん」
すぐには作らなくてもいいと思うんだが。
なんせ今の時間は14時10分なのだ。
結構メニューを決めるのに時間がかかったが、まだこんな時間だ。
それとも角煮に時間がかかるのかな?
料理をしないから分からない。
終わるまで自分の部屋にでも行ってるか。
「ご飯出来たよー」
姉の声が聞こえ、部屋からリビングへ向う。
14時頃だったのがもう18時になっていた。
料理って大変なんだな、と思う時間のかかり方だった。
「早く食べましょ」
「うん。いただきます」
「召し上がれ。じゃあ私も、いただきます」
久々に角煮食べたが、めちゃくちゃ美味かった。
そして、一つ気になることがあった。
それは、姉の食事をするスピードが早かったのだ。
いつもはゆっくり食べており、俺が食べ終わった後に食べ終わっていたのが、今日は何故か俺より早く食べ終わっていた。
「どうしたの?そんなに早く食べ終わるなんて」
「ん?何でもないよ♪」
語尾に音符が付いていた気がするのは俺だけだろうか?
今日一日姉と一緒に行動したが、様子がおかしい気がする。
「ごちそうさま」
「はい。お風呂もうお湯入ってるから入っちゃいなさい」
まただ。
いつもは姉がご飯を食べ終わってから風呂にお湯を入れるが、今日はやけに準備が早い。
ここまで露骨に行動が変わると、何が原因なのかが気になるものだ。
と、言いつつも姉の言葉に従ってしまう隼であった。
風呂を上がり、姉の様子がおかしい事にまた気が付いた。
姉の顔が赤く火照っていたのだ。
熱でもあるのかと思ったが、風呂に入る前まではこんな事はなかったので、それは無い。
「お姉ちゃんもお風呂入ってこようかしら」
そんな事言わずに入ってくればいいのに。
姉が風呂に入ってからちょっと時間が経った。
風呂に入っている姉の声が、何を言っているのかは分からないが聞こえてくる。
すると。
「きゃぁぁぁ!」
姉の叫び声が聞こえた。
「どうしたの!?」
風呂場へ向かうと、姉が顔を手で隠していた。
指の隙間から風呂場に入ってきた俺を見ていたようで。
「隼のえっち」
「は?」
「お姉ちゃんの裸でも見たかったの?」
「いや、姉さんが叫んだから来たんだけど」
「あ、大丈夫よ。隼は優しいのね、お姉ちゃん嬉しい!」
結果、というより元から姉の喜ぶようなシチュエーションになるようになっていたようだ。
「はぁ…もう俺寝るから。明日学校だし」
「はーい♡」
語尾に今度はハートが付いた。
そんなに嬉しいことだったのだろうか?
まぁいいや、もう寝る。
隼が寝た後。
姉の明希はというと。
「隼寝たかな?お邪魔しまーす、うふふ」
明希はスマートフォンで隼の部屋を覗く。
これは歴とした盗撮である。
「ぐふふ、隼の寝顔可愛いっ♡」
いつまでもブラコンな明希であった。
作者はお肉の脂身が苦手です。




