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もう一人の幼馴染み

来てしまった。

今日夢で見た場所と全く同じじゃないか。

マンションの二階、隣には摩理先生。

あの夢は正夢になってしまうんだな。


「何ボーッとしてんの?」

「あ、いや大丈夫です」


こんな事、夢の中でも言われた気がする。


「そう。少し汚いけど入って」

「お邪魔します」


玄関で靴を脱ぎ、部屋の奥へと案内される。

夢の中でも来たとはいえ、現実になると緊張して辺りをキョロキョロと見てしまう。


「あんまり部屋でキョロキョロしない。一応女の部屋だぞ?」

「あ、すいません」


先生に案内され、夢の時でもあった気がするテーブルの奥へ。

そして先生はテーブルを挟んで俺の前に座る。


「それで本題なんだけど、私の事…覚えてる?」

「え?」


早速来たかと思ったら、覚えているかどうかを聞かれた。


「覚えてるも何も今年初めて会ったばかりじゃ…」

「覚えてないのか。まぁそれもそうか」


何を言っているのか分からない。


「何を言っているのか分からないって思ったでしょ」

「なっ!?」

「私にはお見通しだよ、隼君」


隼と呼んだ先生の声が、どこか懐かしい優しい声になった。


「それもそうかって言ったけど、昔の私はこんなに活発じゃなかったし見た目も随分変わったからね」

「だとしても、どんな見た目だったかが分からなかったら分かりません」

「そうだよね、じゃあこれならどうかな…」


そう言って先生は洗面所へ向かった。

少しして先生が戻ってきた。


「あ…」


髪色が変わっているが、確かに見覚えのある顔にだった。

髪を下ろし、今は前髪が少し短いが、あの時と同じ優しい顔。


そうだ、奈々弥と公園で遊ぶ時にいつもいたお姉ちゃんだ。


「思い出してくれた?」

「思い出した」


公園に行かなくなってから全く会うこともなく、名前も知らなかった為に完全に忘れていた。


「久しぶりだね。元気にしてた?」

「あ、うん。元気だった」


あのお姉ちゃんだと分かった瞬間、何故か顔を見れなくなり、目のやり場に困ってしまった。


だが、何故あんな見た目になったのだろう。


そう思いながらチラッと先生の方を見る。


「何故あんな見た目になったんだろうって思ったね?」

「またですか」

「見破るのは得意だからね」


腰に手をやりながら自慢げに言う。


「まぁ色々あったんだよ…だからあんな見た目になったんだ。」


何も分かってないんですが。


だが、少し寂しげな顔になった先生を見たら深掘りする気にならなかった。


「深掘りはしないでね。ていうかしなそうだね」


やっぱりこの人には俺の全てを見透かされている気がする。

でも、まさかの再開だった。

ただ、それだけなのか?

この為だけに呼ばれたのか?

いや、『本題』と先生が言ってたからこの為だけなんだろう。


「そうだ、今日家に泊まっていかない?」

「はぁ!?」


突然何を言い出すんだこの教師は!

元幼馴染みとはいえ今は生徒と教師だぞ!?


「いや、久しぶりに会ったし、明日休みだし?大丈夫なんじゃないかなって」

「そう思ったとしても教師と生徒が同じ部屋で一晩過ごすのはいけないんじゃないですか!?」


しかも俺にはあの姉がいる。

どうなるか分かったもんじゃない。


「大丈夫大丈夫」

「だとしても俺には姉が…」

「あぁ、お姉さんか。でもどうせスマホあるんでしょ?連絡しなよ」

「そんなさらっと言わないでくださいよ…」


あぁ怖い。

公園に散歩しに行く事を言ってしまった時以上に緊張する。

あの姉に女の人の家に泊まるなんて言ったらどうなってしまうのだろうか…



姉に怯えながらも連絡をした。

その結果、許してくれた。

連絡しなよと言われ、その後もああだこうだと言い合っていたが、俺が根負けしてしまい、そして姉に怯えながらも連絡したら、なんとあの姉が許してしまった。

ちょっと前から姉の様子がおかしい気がする。

何か企んでいそうだが、とりあえず今日は先生の家に泊まることになった。



姉以外の女性と夜を過ごすした事がない俺が、突然泊まれと言われ、しかもどこで寝るのかと思ったら同じベット。

さすがにハードルが高すぎる。

寝返れば先生の顔が近くにある。

だが、何故か緊張はしなかった。

これは姉のおかげ?なのだろうか。

また寝返り、そのまま寝ていたらいつの間にか眠ってしまっていた…。




陽の光が眩しい。

あまり寝れないだろうと思っていたが、案外寝れるものだな。

それに、何も無かった。

これで一件落着。


手で目元を隠しながらゆっくりと目を開け、手をゆっくりと下げる。


俺はフラグを回収していました。


目を開けると、目の前にはいつも姉が行っているような行為をしようとしていた摩理先生がいた。

時間が止まったかのように目が合ったまま動かなかった。

というより動けなかった。

この後どう話しかければいいかも分からず、何をすればいいのかも分からず、二人で目を合わせたままそこを動かなかった。

先に喋ったのは先生だった。


「ご、ごめんなさい。そういうつもりはなかったの…」


いつも姉にやられているから大丈夫。

とは言えない。


「だ、大丈夫ですよ?」

「そ、そう?よ、よかった。は、ははは」

「は、ははは」


笑うしかなかった。

顔は二人とも引きつっているだろうが、これで何とかなるならそれでいい。


気まずい雰囲気のまま俺は帰る支度をした。


「そ、それじゃあ俺は帰ります」

「え、早くない?」

「休みとはいえ家には姉一人ですから」


別にどうとも思っていない姉を理由にして、なんとか帰る雰囲気にさせることはできた。


「それじゃあさよなら」

「うん、じゃあね」


外へ出た。

なんだか、脱出ゲームをした気分だ。

泊まったせいで、摩理先生とのせっかくの再開を台無しにしてしまった気がする。


「また悩みが増えたなぁ」

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