問題発生とβテスター
【アバロン】再登場による感想が多いようなので、解決まで連続投稿だ!
ダンジョンの入り口に行くための階段をギルド【アヴァロン】のメンバーらしきものたちが居座り他のPCたちを追い払おうとしていた。
「わかったらさっさと帰れ!今日はおれたちがこのダンジョンに潜るんだからな!!」
「勝手なことを言うな!!」
「そうだ!!何様だ!!」
「お前らこそ帰れ!!」
無論、そんなことを言われて言うとおりにするPCなど皆無だ。むしろ文句を言い返している。何人かのPCはメニュー画面を開いて運営に連絡しているようだし、すぐにあの白石さんあたりが来るんじゃないかな?
「うるせぇ!こっちは運営のせいでイベント参加できなかったんだ!!なら俺達が優先されるのは当然だ!」
え~本気で言ってんのかそれ?完全に逆恨みだな。そもそも自分たちが悪いことをやった自覚がないらしい。こういう時ってあれか?親の顔が見たいっていうんだっけか?
「何バカなこと言ってんだ!!あれはお前らが悪いんだろうが!」
「そうよそうよ!私の知り合いがあんた達に無理やりギルドに入れられたって言ってたわよ!」
「俺の知り合いなんてお前らに暴言を何度も言われてゲームやめちゃったんだぞ!!」
「それだけじゃね!人の手柄横取りしようとしたくせに反省してねぇのか!!」
先ほどよりも加熱する反論。ていうかゲームやめた人までいたのか?今の時代そこまでになれば訴えられるぞ。VRMMOが出来てからゲーム内での暴言や誹謗中傷はリアルに影響を過大に与えるとして、何度か裁判沙汰になってるんだ。そのせいで法律もいくつか追加され中には未成年でも対象になるものまである。
「何の騒ぎかな?」
と、ここで後ろの方から声が聞こえた。そこに居たのは・・・
「アーロンさん!」
「ギルマス!」
【アヴァロン】のメンバーが叫んだ通り、【アヴァロン】ギルドマスターアーロンがこちらへと向かってきていた。
「すまないが、通してくれないか?今日は運営のミスでゲームができなかった分を取り戻さなきゃいけなくてね。」
・・・・どうやらこいつも自分が悪いという自覚は皆無のようだ。そんな時、一人のPCがアーロンに話しかけた。
「あんたが【アヴァロン】のギルマスか?」
「いかにも。」
「だったらどういうつもりだよ?」
「どうとは?」
「あんたらがやっている行動そのものだよ!このダンジョンを貸切ってどう言うことだよ!!」
この言葉にこの場にいる【アヴァロン】以外のPCたち全員が大きく頷いている。それを見たアーロンは・・・
「言葉通りの意味だが?遅れを取り戻すためにも今日はこのダンジョンでLv上げをするんだよ。」
「だったら普通にやればいいだろう!貸切にしてまでやることではないだろう!!」
「君たちはイベント期間中に十分楽しんだろう?だから君たちにはもうこのダンジョンは必要ないだろう?よって私たちが貸切っても問題ないのだ!」
「「「「「・・・・・・」」」」」
アーロンのセリフを聞いたPCのほとんどが開いて口がふさがらない状態だ。あえて言葉にするなら「こいつは何を言ってるんだ?」だろうな。
「のう?わし耳がおかしくなったのかのう~ありえないセリフが聞こえたんじゃが・・・」
「奇遇だなドル爺さん?俺も今似たようなことを思ったよ。」
「二人とも気持ちはわかるが、これは事実だ。」
俺とドル爺さんが若干現実逃避をしていると、ヴォルフが認めたくない正論を言った。
「うわさは聞いとったがあんな連中なんじゃな。」
「俺やヴォルフは直に話したことがあるが、話し合いが成立してなかったからなぁ。」
「マジか?」
「マジだ。」
ドル爺さん驚きすぎてキャラが崩壊しているぞ。PCたちが放心している間にアーロンはダンジョンに居座っていたメンバーと合流。そのままダンジョンに入るために数人を残して階段を上ろうとしていた。すると・・・
「待てよ。」
言葉は短いが、妙に力強さを感じる台詞にアーロンは足を止めて、放心していたPCも正気に戻ったようで声を発したと思われるPCに視線が集中する。
「あれ?あの人・・・」
そのPCはガレスが初戦闘した後に助言をしてくれたPCだった。彼の外見は190㎝はあろうかと言う長身と筋肉質の体、髪は短髪で茶髪である。その眼はしっかりとアーロンを捕らえていて逃がさないという意思が感じられた。
「バルドさん!」
「え?バルドってβテスターで一番有名な?」
「βテストで唯一4体のエリアボスモンスターを倒したパーティーのリーダーの?」
「まちがいねぇ!バルドさんだ!」
どうやら彼は有名人らしい。しかもβテスターと他のPCが言っていたのが聞こえた。そう言えば公式サイトにβテストが終わってからPVがアップされていてそれにはPCも映っていてその中に見た覚えがあるな?
「ある意味一番の有名人が来た形だな。」
「そんなに有名なのか?」
「ああ、特にβテスターと第一陣の間ではかなりのな。」
ヴォルフはそう説明してくれた。その間にアーロンはバルドさんへと話しかけた。
「まだ何か?こちらは早くこのダンジョンを楽しみたいのだが?」
「楽しみたいのはお前らだけじゃない。ここにいるPC全員がそうだ。」
「君たちはイベント期間中に十分楽しんだろう?」
「それを決めるのはお前じゃあない。そもそも十分だったらここにこれだけPCが集まるわけねーだろ?」
バルドの言葉に「そうだ!そうだ!」同調した声が上がる。
「こちらはイベントに参加できなかったんだぞ?」
「それは完全にあんたらの自業自得だろうが。あんたらの行動に問題があったから運営が罰を与えたんだろう?」
「私たちのどこに問題があるというのか?」
「PCへの強制や誹謗中傷、さらには他人の手柄の横取りは問題ではないって言うのか?」
「前半はそのようなことをした覚えはない。後半はそれを行ったPCたちはもう我々のギルドにはいないよってもう無関係だ!」
「そうかい。だが責任者としてそんな連中を止められなかったあんたの責任問題はまだ済ませてないようだな?」
「連中をギルドから追い出したんだ。それでもう責任は果たしただろう?」
これらの会話でバルドさんの後ろにいるPCたちの反応は「あいつ何言ってんだ?」「頭おかしいんじゃないか?」などなどと驚愕が大半だった。
「何より、あの話は嘘ではなくなった。なぜならクエストボスを倒したPCが今日我がギルドに入ったからだ!」
「はあ!?」
あいつマジで何言ってんだ?俺が【アヴァロン】に入った?何堂々と嘘を言ってるんだ!
「フレン。一応確認のために聞くんだが・・・・」
「出鱈目だ。なんならステータス画面も見せようか?」
ヴォルフにそう答えた。ステータス画面には所属しているギルド名が記載されるからな。
「そこまでせんでもよいぞ?そもそも今日はわしらと一緒に居ったんじゃ。わしらが証人じゃよ。」
「ありがとう。と言うかドル爺さんも知っていたんだな。」
「お主がゴーレムを持っていて、南の山道ではゴーレムで戦えると聞いとれば、誰でもピンッとくるわい。」
「それもそうか。」
俺達が話し合っている間、この場は静まり返っていたがバルドさんが言葉の波紋を落とす。
「ほ~このサラオンで初めてクエストボスを発見して、さらに倒した奴が【アヴァロン】入りかそいつはスゲーな!」
「そうだろう?」
「ああ、本当にすげーよ。それが本当ならな?」
「・・・・・何?」
おや?話の流れが変わったな。
「どういう意味かね?」
「そのまんまの意味だよ。お前らの言うことが本当かどうか疑わしいんだよ。」
「我々が嘘をついているというのか!!」
「現にお前らのギルドメンバーが一度嘘ついてるじゃねえか?」
「そのメンバーはもう居ない!」
「いなくてもそのメンバーを一度でも入れているわけだし、もっと言えば本当にいないかどうかなんて俺達には確認しようもないしな?」
「なぁ!?」
「それに居ようが居まいが一度嘘をついた所が何か言っても信用ってもんがねえ。実際に聞いてみようか?なあ!こいつらの言うことが信じられるPCはいるか!」
バルドさんは後ろへと振り返り大きな声で聴いてみた。すると・・・
「「「「「信じられません。」」」」」
示し合わせたわけでもないのに見事にPC全員が同じ言葉を言い放った。
「なぁ!?なぁ!?なんだと!?」
「わかったか坊ちゃん?これが現実だぜ?」
「私は嘘など言っていない!」
「しつこいなぁ~あんた。だったらそいつここに連れて来いよ?そうすればみんな信じてくれるぜ?」
「それは不可能だ!なぜなら・・・・」
「ログアウトしているんだったらそいつのPC名だけでもいいから教えろよ?このサラオンは重複不可能だから、後日誰かが確認できる。」
「ぐ!・・・」
「やっぱ嘘だろうお前?」
これは完全にバルドさんの勝ちだな。その時アーロンが俺を見つけてにやりと口を歪ませた。あ、あいつまさか・・・・
「はっはっは!PC名を言うまでもない。彼ならそこに居るよ!」
と、大きな声を出して俺を指さしやがった。そしてPC全員の自然が俺に集中する。あいつなんてことをしやがる!
「そんなとこに居ないでこちらに来るんだ!」
「誰が行くかぁボケェ!そもそも俺は【アヴァロン】に入った覚えはねぇ!」
「ボケ!!??」
あいつのあんまりな行動に我を忘れて暴言を吐いてしまった。だがこれは仕方がないだろう。俺の言葉に何人か笑っているし。中には腹を抱えて爆笑している奴もいる。
「く、くくく!すまないアンタ。ちょっといいか?」
そんな中バルドと呼ばれていたPCが俺に近ずき話しかけてきた。笑いを堪えながら。ツボか?
「あいつを弁護するわけではないいんだが、ステータス画面を見せてくれないか?」
「この状況では仕方ないか・・・・」
「もちろん見たステータスは公表しないことを誓う。何なら運営に連絡して俺を訴えてもいいぞ?」
「あんたは信用できそうだし構わないぞ。ただ念のためパーティーを組ませてくれ。」
「もちろん構わないぞ。」
パーティーを組めばパーティーメンバー限定でステータス画面を見せることも可能だからな。そう言えば運営がなかなか来ないな?前に白石さんが連中のことを監視しているって話だったのに?
とりあえず今はこの問題が先である。俺はバルドさんにパーティー申請を送り、バルドさんがそれを了承しすぐさま彼にステータス画面を見せる。すると・・・・
「・・・・・」
アーやっぱり驚くよな。称号が4つもあれば。
「おーい確認は済んだか?」
「ハァ!す、すまない。確かに確認した。あんたは【アヴァロン】はおろかギルドに所属してはいない。」
この発言でPCたちは一斉に【アヴァロン】メンバーを睨みつけた。さすがに有名PCの発言だからか信用があるのだろう。
「ぐ・・・」
「ア、アーロンさん・・・」
「どうしてあんな嘘を!」
【アヴァロン】メンバーもこの場しのぎに嘘をついたアーロンに対して動揺しているようだ。
「そろそろいいだろう?運営さんよ?」
「ええ、ご協力感謝しますよ。」
バルドさんが言った直後にその隣に以前出会った白石さんが現れた。やれやれこれでこの問題は解決になるかな?
次の更新は今日の18時予定。
現実にはこんな人が居ないことを祈る・・・・いないといいな~




