召喚獣の講義
今回は説明会で長めです。
『『す、すみませんでした・・・』』
「いやまあ・・・落ち着いてくれたならいいけど。」
二人が泣き始めてからなんとしたものかと途方にくれかけたが、女性ーーここまで案内?してくれた人ーーが俺の存在を思い出し、盛大に泣いていた女の子を何とか落ち着かせ、今俺に謝っている。
「事情は説明してくれますか?さすがに気になりますので、教えてくれると有難いのですが?」
『え、え~と・・・』
女の子は恥ずかしそうに俯いたままである。初対面の人の前で大泣きしたのだから分からんでもないが、だがさすがにあんな行動の後では気になってしまう。
『でしたら私が説明します。』
「貴女が?」
『そもそも今回の件は私が最初に暴走したのが原因ですから、ですので私には説明責任があると思うのです。よろしいですか?』
自分の行動を暴走だといいきっちゃったよこの人・・・それとこの人暴走?の時とキャラが違う気がするどっちが素なんだ?
「では、お願いします。」
『ありがとうございます。申し遅れましたが私はカノンと申します。ほらユミちゃんも。』
『は、はい!わ、私はユミといいます、よろしくお願いします!』
「ご丁寧にどうも、俺はフレンといいます。」
『では説明しますので、どうか椅子に座ってお話を聞いてください、それほど長い話ではありませんが立ったままというのもなんですし・・』
その言葉聞いた俺は改めて部屋を見渡してみた、部屋の広さは学校の教室より少し小さいかな? そして椅子と机がセットで五つ均等に並べてある、俺は真ん中の席に座った。
『まずは私たちの行動の原因を簡単に言ってしまいますと、異界の住人さんたちの情報の中にあるゴーレムの不人気さです。』
「たしかに異界の住人の共通情報の中にはゴーレムはつかえないと言われていますが・・・」
『そんなことはありませんよ。事実異界の住人さんたちが招かれる前にいた召喚士の皆さんはゴーレムがつかえないなどとは口にしたことはありませんでした。むしろかなり強い召喚獣だと口にしていました。』
「え、そうなんですか?」
『はい、この二つの意見の食い違いについて私たちなりに考えたのですが、異界の住人さんたちはゴーレムとの付き合い方を間違えているのでしょう。異界の住人さんたちは北の草原でしか戦闘をしません。ですが北には動きの素早い獣タイプの魔物しかいないのです。動きの遅いLv1のゴ-レムではいくらやっても勝てる訳がありません。』
「確かにそのとおりです。」
『その間違いを正すためにここに来た数少ない異界の住人さんたちに、ゴーレムをお勧めしたりゴーレムの知識を教えようとしましたが、皆さん興味を示しませんでした。中には私たちに対し暴言をたたきつける方までいる始末で正直疲れてしまいました。そんな時に・・・』
「最初の召喚獣にゴーレムを選んだ俺が訪ねてきたと?」
『そのとおりです。以上が私たちの事情になります。』
そんな経験をしてきたんじゃあ、あんな反応や行動になるのも仕方ないな。
『それでは私は受付に戻りますので、フレン様のご要望であるゴーレムについての知識はユミちゃんが説明してくれます。ユミちゃん頑張ってね。』
『ふえ!・・あ、はい!!が、頑張ります!』
「君が説明してくれるのかい?」
『そ、そうです・・・あ、あの一生懸命説明しますので最後まで聞いてください!お願いします!!」
そう言葉にして目の前の女の子は深く頭を下げた。手が震えていることからこの子も暴言をたたきつけられた一人なのだろう・・・見た目12,3歳のショートヘアーの可愛いという表現ぴったりの子に暴言を吐くやつを想像するとかなりイラつく・・・っと今はそんなことより。
「はい、よろしくお願いします先生。」
『ふえぇ!せ、先生!?』
「教えてもらう立場なんだし、先生と呼んだ方がいいと思ったんだが・・・ダメかい?」
『だ、大丈夫です・・呼ばれなれてないから、びっくりしました・・』
『ふふ、よかったわねユミちゃん。フレン様この子はゴーレムの知識に関しては私たちの中では一番知っている子です。フレン様の疑問にもきっと答えてくれますよ、それでは失礼します。』
そういうとカノンさんは部屋を出て行った、ちなみに遅くなったが彼女の容姿はふわふわした茶髪を肩まで伸ばした美人さんである。なんかファンクラブができそうな人だ。
『で、では説明を始めようと思います。その前にフレンさんはゴーレムについてどんなことを知りたいですか?』
「そうだね、まずはゴーレムの基本知識から教えてくれるかな、先ほどの説明で異界の住人の共通情報は当てにしない方がいいみたいだし・・・」
公式サイトに載っていた情報は大丈夫だろうが、確認もかねて聞いた方がいいだろう。
『わ、わかりました。まずゴーレムのタイプである魔法人形というのは・・・・』
それからの説明は公式サイトの情報との違いはなかった、魔法人形タイプは物質に魔力が一定値宿る、もしくは込めると意思を持ち動き出すそうだ。魔力に耐えられる耐久力が必要なので魔物の目撃例は少なく、召喚士にしても過去に起こった大氾濫で、魔法人形タイプを召喚できる強力な召喚士たちは、事態解決に向かい帰ってこなかった。魔力を込める技術と知識については古代のもので今は失われているそうだ。遺跡タイプのダンジョンにごくまれに強力な魔法人形タイプの魔物が目撃されため、古代の技術で造られた魔物ではないかと言われているが詳細は不明である。
『魔法人形タイプの説明は以上です。つ、続いてゴーレムの基礎知識について説明します。』
「お願いします。」
『ゴ、ゴーレムは魔法人形タイプ召喚獣の中でもっとも筋力、体力のステータスが高い個体です、ただしほかのステータスは壊滅的なのでLvが低い時に戦闘を行う場合は相手を選ぶ必要があります。具体的に言えば俊敏の高い魔物より低い魔物と戦う方がいいです。』
「質問があります。いいかな?」
『は、はいどうぞ。』
「この町、始まり町ラルベルの周辺でゴーレムでも倒せる魔物はいるかな?」
『はい、いますよ。と、というよりゴーレムでしか最初は倒せない魔物がいます。』
「え?そうなの!?」
『そうですよ。そ、その魔物は南の山道にいる岩亀です。岩亀はとにかく固いのです。その固さはゴーレム以外の召喚獣はLv1では太刀打ちできないほどです。岩亀以外の魔物も固くゴーレム以外の召喚獣は苦戦すると思います。』
何とそうだったのか、ネットの情報では北の草原以外の魔物は強すぎて勝てないなんて書いてあったが、南の山道に関しては相性差の問題だったんだな。
『ゴーレムの基礎知識については以上です。こ、ここからはゴーレムお勧めの育成法や異界の住人さんが覚えられるお勧めスキルを教えます。』
「それはぜひ教えていただきたいな、今後を左右する重要なことだから。」
『は、はい!まかせてください!こほん・・・まずは育成法からですが、ゴーレムは先ほども言いましたが筋力、体力以外が壊滅的です。ですから他のステータスから伸ばすのがいいでしょう。具体的な優先度をいえば俊敏>器用>魔防>魔力でしょうか。これらは最初に進化するまでは続けた方がいいと思います。進化した後は個人で自由に決めていいかと思います。』
「なるほど、わかりました。」
このゲームでは召喚獣のLvが上がるとステータスがどれかに+1されそのあとプレイヤーが自由に1ポイントを割り振れる。高Lvになると割り振れるポイントが増えるのではないかとネット上では騒がれているが真偽のほどは定かではない。
『つ、続いては、お勧めのスキルの説明をしますね。ゴーレムの召喚獣もちの召喚士が一番持った方がいいスキルはズバリ【指揮】です!』
「【指揮】か、いったいどんな効果なんだ?」
『【指揮】は召喚士の指示が理解しやすくなるんです。』
「なんか、地味だね」
『た、たしかに地味に聞こえるかもしれませんが、このスキルは魔法人形タイプには必須と言っていいスキルですよ?』
「ゴーレムだけじゃなく、他の二体にも?」
『はい、か、簡単に説明しますと魔法人形タイプは低Lv時は意思がほとんどありません。そのため召喚士の指示を理解できない時があるんです。そうならないようにするためにも【指揮】は必須なんです!』
確かにネット情報の中にも魔法人形タイプはプレイヤーの指示に従わない時があると書いてあったな。中には無茶な指示出したやつもいるだろうが・・・
『ほ、他には、ステータスを補うために【戦闘時〇〇上昇】や特定の指示に補正を与える【〇〇命令】などもお勧めです。』
「なるほど。」
【戦闘時〇〇上昇】はたとえば筋力上昇ならば戦闘しているとき筋力のステータスが上がるスキルだ。
【〇〇命令】はたとえば攻撃命令なら攻撃指示を出した時攻撃力が上昇するそんなスキルだ。
『い、以上で説明を終わりにしたいと思います。あ、あの~お役にたちましたか?』
「もちろんだよ、おかげでだいぶ助かった。先生どうもありがとう。」
『ど、どういたしましてです!』
本当に助かった、特に南の山道の魔物の情報とお勧めスキルはかなり役立つだろう。
「用事は済んだし連れもいるから、失礼するよ。」
『あ、はい!今日はありがとうございました!召喚獣についてわからないことがあったらいつでも来てください!」
「ああ、そのときはよろしくね。」
ユミ先生は俺の返事を聞いた後深く頭を下げるのだった。そんな彼女に「じゃあ、またね先生。」とまた声をかけて席を立ち部屋を出るのだった。
プレイヤーのスキルを考えるのが難しい・・・




