トラブルからは逃げられない
『おお!集めてきてくれたか!』
「はい、確認をお願いします。」
あれから俺たちは何事もなく始まりの町ラルベルへと戻ってきた。今回はクエストボスに出会わずにすんだ。やはり前回は運が悪かったのかもしれない。とにかく今は緑鱗の確認をしてもらおう。
『じゃあ、早速見せてもらおうか。』
「わかりました。」
俺達はメニュー画面から緑麟を取り出しカウンターに置きまくる。その数合計34個だ。
『どれどれ、ふむ・・・いくつか品質にばらつきがあるが、問題ないレベルだな。お前さんたち有難うな!』
≪クエストをクリアーしました≫
そういうとタジンさんは箱を2つ取り出し、緑麟を二つに分け始めた。品質にばらつきがあるという話だから高い物と低い物に分けているのだろう。その途中・・・
『仕分けが済めば報酬を持ってくるが、リザードマンの武具も買い取るがどうする?』
「数が凄いですが大丈夫ですか?」
『変な遠慮は無用だ。それにリザードマンの武具は需要があってだな、門番たちに売れるんだよ。他にも使い道はあるしな。』
「では俺は売ります。」
「僕もです。」
「私は知り合いに売るので、遠慮します。」
『よしわかった。ちょっと待っててくれ。』
仕分けを済ませ、奥へと行くタジンさん。その入れ替わりにヴォルフが出てきた。
「無事クリアーできたようだな。」
「ああ、今回はクエストボスは出てこなかったしな。」
「ふむ・・・単純に運なのか。それとも何か条件でもあるのか?」
「それよりもヴォルフさん、クエストを受けた時のことを説明してくださいよ。」
「私も気になるわ。」
そういえばこのクエスト受けた時にヴォルフが何やら意味深なことを言っていたな・・・
「なに簡単な確認だったんだよ。俺から頼んだものがNPCからも頼めばクエストになるのではないかとな。そして試みは成功したというわけさ。」
「でもそれなら、他にもクエストが発生しそうなものですが・・・」
「そこら辺はまだわかってないが・・・おそらくは好感度か親密度が関係していると思う。以前の異界の住人・・・PCは評判が悪かったからな・・・」
その言葉に俺たちは「「「あぁ~」」」と納得する。最近は生産職の人たちがNPCに弟子入りしたくらいだから、評判は悪くないんだろう。あるいは一部の人たちだけだとわかってくれたのかな?あとおそらく親密度が関係してるんだろうな。俺の称号の効果に親密度の項目があるし。
そんな話をしていたら、タジンさんが戻ってきた。皮袋3つと大きな背負い袋を背中に背負ってる。
『まずは3人に4000カロンずつ払おう。遠慮せず受け取ってくれ。』
そう言ってタジンさんから皮袋を受け取る俺達。これで俺の所持金は27800カロンだ。食事以外に使い道がないと貯まっていく一方である。新たな召喚獣はドールかアーマーにして装備にお金使おう。
『あと俺が作ったのをいろいろ持ってきた。その中から好きなのを1つ貰ってくれ。』
背中の背負い袋から取り出してカウンターに並べるタジンさん。出された物はマント、ローブ、靴である。
すべて三つずつあり、さてどれにするか・・・・
三人で相談した結果、俺は靴を。ゼノン君はローブ、カルタさんはマントを貰った。二人ともその日の気分で着替えるとのこと。ちなみにローブは黒で、マントは群青色だ。俺が貰った靴はこんな感じ。
冒険者の靴 品質:3 レア度:☆☆
生産者が冒険する者のために作った靴。かなり頑丈に作られている。
防具効果なし ファッション用
見た目は登山用の靴と言ったところか、今装備している靴はパッとしないくたびれた物だしちょうどよかった。早速装備する。タジンさんは俺たちが受け取ったのを見届けた後、奥へ歩いて行った。
「じょあ、フレン、ゼノン君。私はここで失礼するわね。」
「うん?カルタさんは何か用事があるのか?」
「ええ、リアルで少しね。」
「そうか・・・」
「そうだ、ゼノン君にヴォルフさんフレンド登録してくれない?」
「いいですよ。」
「俺もいいぞ。それにさん付けも不要だ。呼び捨てでいいぞ?」
「ありがとう。そうさせてもらうわね。」
その会話の後三人はフレンド登録をしてカルタさんが店を出た。俺は先ほどの会話でヴォルフの様子が気になった。
「ヴォルフ、俺たちがいない間に何かあったのか?」
「・・・あったといえばあった。」
ヴォルフにしては歯切れの悪い言葉に、疑問を覚えた。
「厄介ごとか?」
「ある意味ではそうだろうな、実は三人がクエストに行っている間に俺もタジンさんからクエストが発生したんだが・・・内容が現時点で問題なんだ。」
「現時点で?」
「ああ・・・その内容は”鉄鉱石を20個採掘してこい”という物なんだ・・・」
「「あ」」
確かにそれは現時点で問題だな。鉄鉱石は南の山道で手に入るが、今南門はギルド【アヴァロン】のメンバーが見張ってる。しかもそのクエストを達成するためには俺とパーティーを組む必要がある。【アヴァロン】が探していると思われる、クエストボス討伐者の俺と。
「だからどうしたものかと、悩んでるんだ・・・」
「事情を話して、延期もしくは内容を変えてもらうことはできないんですか?」
「そうするしかないか?しかし、そうすると弟子入りクエストの報酬に影響が出るかもしれないしな・・・」
悩み深く考えるヴォルフ。そんなヴォルフに俺は自分の考えを話す。
「悩む必要はないぞ、一緒にいこうぜ?」
「む?いいのか?俺はクエストの有無の話だが、おまえには・・・」
「確かに俺には問題だが、いつまでもこのままというわけにもいかないしな。何かあるなら運営に連絡するさ。」
運営への連絡手段はどのVRゲームでも、設定するように義務づけられてるしな。
「それに連中のやってることは俺からしたら、迷惑行為だからな。あのままじゃ満足にゲームを楽しめない。」
「すまんな、そういってくれると助かる。今回の件で何かトラブルになったらフレンの味方になることを断言しておく。」
「僕も今回の件には同行しますよ、目撃者は多い方がいいでしょう。」
ゼノン君もそう言ってくれたので早速三人でパーティーを組む。なおカルタさんとはこの町についた時点でパーティーは解散している。そんなことをしているとタジンさんが奥から出てきて今度は大きな筒を2個と大きな箱を肩に担いでいる。
『リザードマンの剣と槍はこの筒に、盾と手斧があればこの箱に入れてくれ。』
「ではまず俺から」
剣が8個で、槍が5個、小楯が6個、手斧が1個が俺の手持ちだ。
『ふむふむ・・・この品質と数なら全部で3800カロンだな。』
「それでかまいません」
『よしちょっと待ってろ・・・』
タジンさんは筒と箱を抱えまた奥に行き、今度も同じ筒と箱を持ってきた。皮袋も手に持って。
『ほれ、これが買い取り分だ。次はそっちの坊主だな。』
「はい」
ゼノン君は、剣6個、槍4個、盾3個を筒や箱に入れた。
『ふむ・・・坊主の方がフレンより品質が落ちてるな、これは2600カロンだな。それでいいか?』
「はい、大丈夫です。」
先ほどと同じように奥へ行き、皮袋をゼノン君に渡した。
『お前さんたち今日はありがとうな。あの姉ちゃんにもよろしく言っといてくれ。』
「はい、必ず。」
「タジン師匠。俺はこれから二人と一緒に鉱石を採りに行ってくるよ。」
『お、ヴォルフのやつのも手伝ってくれるのか?ああ、わかった。気を付けて行って来い。』
「いってきます。」
タジンさんに礼をして店を出る。さて今回はトラブルからは逃げられないだろうな・・・




