裏話 運営サイド01
今回は運営のお話。本文は次回です。
ゲーム会社おるらんど 今の時代この会社の名前を知らない者はいないだろう。今大人気のVRMMOサモナー・ライフ・オンラインーーこれからはサラオンと明記するーー世に生み出した会社でその人気ぶりは予約をしても1年は待たねば手に入らないと言われ始めるほどである。
その会社であるおるらんどの会議室では、社員一同笑みを浮かべているであろうことは疑いようがあるまい。この人気による利益は、凄まじい額に及ぶのだから・・・・だが実際は
「「「「「はぁ~~~・・・・」」」」」
皆一様に深いため息をついている・・・・あのおるらんど社がなぜ?と疑問の声が上がる光景である。
「きみ・・・もう一度説明してくれたまえ・・・」
「はい社長・・・」
上座に座るおるらんど社社長にそう言われ、女性は席を立ち資料を片手に持ち説明し始める。
「まずはサラオンの攻略状況ですが、北の草原にはPCが大人数で攻略しておりすでにエリアボスも倒され、第三エリアまで攻略が進んでいます。今月末には第四エリアに到達すると予測されています。しかし他のエリア・・・北以外のでは一切エリア攻略が進んでいない状況です・・・」
「PCの間では北の草原は、初心者用のエリアという認識ですからな・・・」
「別に間違っているわけでもないのだが、正しくもないがね。事実最初のエリアに出てくる敵は強さに差があるわけではないのだが・・・ステータスのバランスに差があるだけなんだがな・・・」
「続いてはNPCの成長型AIのPCに対する反応と感想、および対応に関してですが、あまりいいとは言えません。NPCの話に礼儀よく対応するPCがいないと言いませんが、少数でしかありません。中には平然と暴言を言葉にするPCもいるようです・・・それらのPCに対してはNPCが厳重注意や逮捕などの対応をしているほどです。ですが、これらの対応があったということをPC側は当事者以外は知りませんし広まってすらいません・・・」
「まあ、当事者が態々広めたりはしないだろうしな・・・」
「それでも目撃者が広めてもいいようなもんだが・・・話題性はあるんだし・・・後で詳しく調べてみるかね。」
「説明は以上です。」
「・・・そうか・・ありがとう・・・」
二度の説明を聞き社長は、いや会議室にいる全員は重い沈黙に包まれた。なぜなら現在のサラオンの状況は社員一同が思い描いていた夢の世界とはちがうのだから・・・
「発売開始から2か月で、北側のエリアしか攻略されてないのは問題だよな・・・」
「それだけじゃない、北側の町々でイベントが一切起こってないのも問題だ・・・」
「それについては、NPCとまともに話をしないのが原因だろうな・・・」
「NPCに情報を求めるのは、今も昔も変わらないハズなんだがなぁ・・・」
「北側以外が攻略されていないのは、やはりネット情報の誤りが原因か・・・」
「それにしても北側のエリアボスを倒したPCなら、ほかの場所でも通用するんだがな・・・」
「何度か戦ったようだぞ。しかし、苦戦してからはこなくなったようだ。贅沢だよな、楽な戦闘ばかりじゃ張り合いがないだろうに・・・」
話し合いというより不満の言い合いになりつつある会議室。それだけ現在の状況に納得がいっていないのが分かる。
「このままでは予定していた公式イベントもどういう結果になるか・・・」
「しかし、やらないわけにはいかないぞ。すでに公式イベントはまだかという問い合わせが来ている。」
「それはそうなんですが・・・」
このまま不満の発表で終わるかと思っていた。そんなとき・・・
コンコン
「失礼します・・・」
いきなり入ってきた女性、しかし会議室の一同はそれを咎めたりはしない。なぜならゲームは今も稼働中。何かがあればすぐに知らせることになっているからだ。
「ご報告します。成長型AI初期ナンバー01アルトに気に入られ、称号【大精霊アルトの祝福】を手に入れたPCが出てきました。」
「「「「!!!?!?」」」」
「そ、それは本当ですか!!」
報告に驚く一同社長も驚きながら報告の確認を求める。結果は・・・
「事実です社長。しかもそれだけではなく、そのPCはNPCとも友好的に会話をし召喚士ギルドの場所を教えてもらいました。さらにこのPCの召喚獣はゴーレムで南の山道にて戦闘も行っています」
「「「「おおぉ~~!!」」」」
「そ、そうですか!それはなによりです!!」
サラオンが始まって以来の嬉しい報告に会議室の一同の声に明るさが宿っていく。だが報告はされだけではなかった。
「しかも、ゴーレムだけではなくゴブリン、スケルトンを選んだPCの方も一人ずついるようで、これらをえらんだPCもNPCに友好的に会話をしています。」
「「「「「・・・・・・」」」」」
驚きすぎてとうとう声を出すのも忘れたようだ。
「報告は以上です、では失礼します。」
「ま、待ってください!」
「?なんでしょう。社長?」
「その三人のデータとモニターを記録してください!特にゴーレムのPCは最優先事項の一つとします!」
「!わ、わかりましたすぐに伝えてきます!」
そういうと女性は会議室を出て行った
「いいのですか社長?そんな簡単に決めてしまって?」
「かまいません。それに皆さんも気になるでしょう?なんせ初めて称号を手に入れたPCなんですから」
「たしかにそうですが・・・」
「なら問題ないでしょう。さて今日の会議はこれで終わりとしましょう。最後にいいニュースが来たわけですし、これ以上不満を言い合っても仕方ないでしょう。次の会議では多少は進展があるといいのですが・・・」
そんな社長のセリフで今日の会議は終了となった。
今回のような運営サイドのお話はまたやろうと思ってます。02をお楽しみアレw
8/3 一部変更




