移動と今後の生活
一章のラストです。
世界図書館の扉を潜ると現実世界に戻ってきた。
「あれ、お父さん?スキルは使わないの?」
萌花が声をかけてきた。のじゃ神様から聞いていたとおり時間はほとんど経っていないらしい。
「いや、世界図書館に行って神様と話しはしてきたよ。どうやら思考加速のおかげで時間はほとんど経たないらしい。それとアーニアの神殿に味方になってくれる神様の使徒がいたみたいだ。おそらく衛兵を排除したときに逃げた傭兵だと思う。近い内に向こうからコンタクトがあるとのことだ。それよりもこれからの生活についてだけどさすがに拠点の構築と仕事はしないといけないけどどうする?」
私の問いに真っ先に海人が手を挙げて
「冒険者ギルドがあるなら僕は冒険者になりたいです。」
と答えたので
「それで成り立つのなら構わないけどお父さんとしてはそれ以外の仕事を探したいと思う。」
と答えた。続けて六花が手を挙げて、
「料理による食の文化ハザードを起こすべきだと思います。」
と提案してきたので、
「それは却下です。大人の都合により料理無双は色々と問題があるのでやりません。」
と答えておいた。次に萌花が手を挙げて、
「お父さんが今までやって来た仕事でいいんじゃないの?スキルとして登録されているのだからそういう職も有ると思うよ。」
と言ってきた。
「ああ、お父さんもそれは考えていた。それとお前達もそれぞれの持っているスキルを有効利用していくのが一番理想的なんだと思う。」
まあ、私は元々仕事をしていたから何をしたらいいのかは分かるけど子供たちをどう導くかが問題だな。とりあえず全員の鍛練については私が教えた方が良いだろう。
「ところで大地君はどうしたい?」
一人会話を聞いていた大地君に声をかけてみる。大地君は少し考えたあとで、
「僕は皆さんを巻き込んでしまいました。出来れば一緒に行動して皆さんの手伝いをしたいと思っています。」
「手伝ってもらえるのは有り難い。だけど大地君、巻き込んでしまったというのは違うぞ。私たちは一緒にアーニアに誘拐された被害者。それに神殺しは私が自分の意志で選択したことであって君が責任を感じることではないよ。のじゃ神に色々話を聞いたけど今回のはなるべくしてなったことだから気にするな。」
私は大地君にそう言うと子供たちの方を見て、
「アルトリアは成人として認められる15歳になってから働く場合は何らかのギルドに所属しないといけない。冒険者になるなら冒険者ギルド、料理人になるなら料理人ギルド、土木系の仕事をしたいなら建設ギルドという具合だ。複数のギルドに登録することも可能なのでお父さんは建設ギルドを本業でやるとして冒険者ギルドにも登録しようとおもっている。」
「じゃあ、僕は冒険者ギルドに登録出来ないの?。」
海人がすかさず声をあげた。
「ギルドの年齢制限があるからな。15歳になるまではお父さんの助手として登録しないとダメかな?六花も同様だろうな。」
海人と六花にそう言って助手として冒険者ギルドに登録すると言ったあと萌花に所属するギルドを訊ねると、
「私は魔術士ギルドと冒険者ギルドかな?旅をしながらと考えるならこの2つが妥当だと思う。」
「まあ、そうだろうな。旅をしながら考えるのもいいと思う。大地君はどうする?」
「僕は冒険者ギルドと建設ギルドに雅人さんの助手として登録します。雅人さんの手伝いをしながら色々なことを考えたいと思います。」
と答えてきた。
「そうか。私としては助かるからいいけど。もし嫌になったりやりたいことができたら遠慮なく言ってくれ。君は若いのだから色々と見て感じたことを考える材料にするといい。それよりもう少しいくと街があるからそこまで行くとしよう。車がどうなっているのか確認もしたいから車をだすよ。」
無限収納から自分の愛車であるRV車を出すと子供たちが車に乗り込み、私は運転席に座った。
「さて、改造したと言ってたけどどんなに感じかな?」
エンジンをかけると座席から魔力が吸われるような感覚があったがそんなに気にする感じではない。社内を見渡すと道具などはそのままになっているようなので問題ないと判断してアクセルを踏んでみた。車体はいつも通り発車して前進する。特に問題なく走れて入るがなんだろう?砂利道を走るようなガタガタ揺れる感じはなくてスムーズに進む。
「あれ?」
砂利の上を走っているのにガタガタしない?サスの性能が良いというレベルじゃないということは魔力を使って整地をしているということだろうか?たしかに魔力の減りが多い気がする。試しに道になっているところを外れても振動が変わらない。しかし魔力の減りが大きくなったということ路面については魔力によって整地されているということだろう。スピードについてと速度を上げるとその分消費が増えるみたいだ。そうなると、アクセサリーソケットから電源はとれるのかな?
「萌花、スマホの充電が出来るか試してくれ。」
萌花はソケットに付いているケーブルをスマホに差し込んで画面を確認する。
「充電は出来てるよ。・・・・て言うか、スマホのアンテナ立ってるよ。しかもネット見れるしアプリも使える。あれ?ネット見ると魔力が減るね。ということは通話やメールも出来るということかな?」
萌花の言葉を聞いた私はふと考えていた。この車は魔力を電気に変換できるし、魔力を電波に変えて発信することもできる。魔法も魔力を火や水に変換して打ち出すと言うことは魔力は何にでも変換できるということになる。魔道具の場合はその変換方法が決められているが魔法は術者の想像力と資質によって何に変換されるかがきまるのだろう。私たちが持ち込んだ物は一種の魔道具になったと考えて良いだろう。そんなことを考えていると、
「ゲームはできるの?」
海人が萌花に聞いていた。
「できるけど魔力をかなり使うみたいだからいまのあんただとすぐに魔力無くなるからダメだよ。」
萌花の言葉を聞いた海人は項垂れながら
「僕、いっぱいゲームできるように強くなる。」
と言い、六花は
「あんたは結局それかよ。」
と海人の頭をパシッと叩いて萌花に、
「おい、海人の頭がこれ以上悪くなったらどうするの。」
と怒られた。大地君がそれを微笑みながら見ているのをバックミラーで確認すると、
「うん、いつもの調子になったな。」
と呟いていた。呟きを聞いた子供たちはよく聞こえなかったのか首を傾げている。まあ、いいかな。
「何でもないさ。さあ、行こうか。」
そう言って私はアクセルを踏んで近くの街を目指した。
次回は閑話を入れたいと思います。




