災厄の王VS神殺し
遅くなりました。
タニアの街を出発して六日がたった。途中でゴブリンの集落を発見したため壊滅させたが旅は概ね順調には進んでいる。しかし、タニアの街を出てから感じている視線は同じ距離を保ちながらずっとついてきている。恐らくかなりレベルの高い隠密スキルを使っているのだろうが強力な神の加護迄は隠せないらしい。邪悪と言って良いくらいの禍々しい神気が全く隠せていない。しかしこれについては神殺のスキルが影響しているのだろう。その証拠にシール達は追跡者に気付いていない。ということは追跡しているのは残り六柱の邪神の加護を受けた者ということになる。視線に気づいたあと私は手の内を見せないように魔物との戦いは子供たちに任せているためレベルは旅に出てから上がっていない。ステータスについては国士無双の上昇率三倍ブーストのお陰でなんとかなるが技術と経験が足りていないためこのままでは強くなれない。という事で一芝居うつことにした。戦いを任せてる間わざと弱いふりをして逃げまどっていたのだ。これについてはシールとメリッサには追っ手がいることを伝えているが大地くんと子供たちには弱い人間を護衛する依頼の予行練習と言ってある。私を弱いと認識して一人になったときに仕掛けてきてくれるなら成功である。シール曰くそんなにうまくいくわけないと言っているが少なくても疑心暗鬼にはかられるはずだ。とりあえず今日の夜トイレに行くフリをして釣れるかどうか試してみることにした。
そしてその夜、私は奴と対峙した。災厄の王といわれている頭のおかしい男ビリー・アグナロッドと。
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後をつけ始めて六日が経ったがどうやら俺様の見込み違いだったようだ。俺様の気づいたのも気のせいだったらしいな。全く戦いもせず逃げまどっている姿を見て俺様はそう結論付けた。これ以上時間を無駄にすると俺様が怒られるのでさっさと女を犯してタニアを焼くことにしたのだが流石の俺様もアイツら全員を相手にするのは疲れるので一人ずつ殺すことにする。そう思って隠れていると夜になりオッサンが一人で森のなかに入っていく。
「先ずはあの弱いオッサンからだ。テントの前に首を置いて恐怖を味あわせてやる。」
俺様はオッサンの後を追うと森の中でも立ち小便をしていた。俺様は剣を抜いてオッサンに近づくと首元に振り下ろした。しかし、首元に届く寸前にオッサンは虚空から剣を取り出し俺様の剣を弾き返した。俺様は咄嗟に後ろへ飛ぶとオッサンが口を開いた。
「どうやらエサに食い付いてくれたみたいだな。どこの悪神のパシリだ?」
こいつ、俺様をデルオーズ様のパシリ呼ばわりしやがった。コケにしやがって。
「はっ、聞いて驚け!!俺様の名はビリー・アグナロット。人呼んで災厄の王。偉大なる災厄を司る神、デルオーズ様の第一の僕だ!!貴様のような雑魚に名を教えてやる俺様の優しさに感謝してあっさり殺されろ!!」
俺様は魔剣テュルフィングを召喚してオッサンに斬りかかった。
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ビリー・アグナロットと名乗る頭のおかしな男が剣を召喚して斬りかかって来た。私は先ほど召喚したエクスカリバーで攻撃を受け止める。さて、今回の目的を果たさせてもらおう。
何故、こんな面倒な手順を組んで相手に襲わせたのか。先にのべたがステータスだけならレベル300の勇者にも負けないのだが実戦経験が少ないため全力の30%しか使えていない。そして経験を積むために一番いいのは格上の存在と闘うことだ。つまり、目の前にいる男は私が戦闘の経験を積むのにうってつけの相手なのだ。いくら自分のことを俺様と呼ぶ厨二臭の漂う頭のおかしい男であってもそれは変わらない。
「とりあえず自分のことを俺様と呼ぶ危ない男をうちの子達に会わせる気は毛頭無いのでここで始末する。」
冷静になられてすぐに撤退されると困るので挑発してみると、ビリーは肩を震わせながら剣を打ち込んでくる。私はそれをエクスカリバーで受け流し態勢が崩れるの確認するとそこに剣を降り下ろす。しかしビリーは無理矢理態勢を立て直して此方の攻撃を弾き飛ばして切りつけてくる。私も態勢を立て直して攻撃を捌いてビリーと距離をとった。
「やるな。この俺様の攻撃をこうも捌くとは。さては貴様も勇者だな?いったい誰の勇者だ!!」
「私は勇者じゃないですよ。巻き込まれてこちらに召喚された測量士ですよ。」
私はそう言ってビリーに全力で斬りかかるがビリーはそれを受け止める。舌打ちをしながら私を押し返すとすかさず斬りかかり何度か斬り合いの応酬をする。
「測量士だと、そんなのが俺様とここまで打ち合えるわけがねぇ。てめえは一体なにもんだー。」
私に押し返されて片ヒザを付いたビリーに私は、
「測量士ですよ。」
と言って斬りかかり受け止めたビリーに対して言葉を続ける。
「ただし、神殺しのね。」
「なっ!なんっ・・だと!?」
その言葉でビリーに一瞬の隙ができる。その隙を見逃さずビリーの剣を払いのけてエクスカリバーをはね上げてビリーの左頬の辺りを斬り付けた。
「ぐわっ!!」
ビリーはその衝撃で後ろに倒れたがすぐに立ち上がり左頬を手で拭った。
「よくも俺様の顔に傷を付けやがって。今日のところは見逃してやるが次は俺様が直々に殺してやる。」
ビリーはそう言って煙玉を地面に叩き付け一瞬のうちに姿を消してしまった。
「ちっ、逃げられたか。」
私は辺りにビリーの気配があるか探したがきれいさっぱり無くなっている。恐らく転移系のアイテムでも使ったようだ。今回の経験で分かったことがある。究極スキル『国士無双』は思っていた以上にチート能力であるということだ。いくら経験値とステータスが三倍だといってもまさか力の使い方のは把握や戦略の理解度など戦いを何度も経験しなければこなせないことにまで補正がかかるとは思わなかった。いくら命がけの戦いといってもたった一度の戦いで七割まで使いこなせるようになるとは・・・。
「考えても仕方ないか。とりあえず監視は緩んだので今後は戦いに参加しながら旅を進めるとしよう。」
私はそう言ってテントの方に歩き始めた。
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「クッッッッッソーーーー!!よくも俺様の顔に傷をつけやがってーーー!!何が神殺しだ!!ゆるさん!!ゆるさんぞーーー!!」
転移した俺様は近くにあった木をテュルフィングで切り倒し、何度もテュルフィングを叩きつける。
しかしそうするたびにあいつの顔が頭に浮かびますますいら立っていく。
「測量士めーー!!ただ殺すだけでは飽き足らねぇ!!奴の子供をいたぶり殺して、自分の無力さを味合わせてやる。キャーハハハハハ!!」
俺様はそう心に決めたのだ。絶対に殺してやる。




