神殿への旅
ようやく書けた。
タニアの街へと戻った私たちは冒険者ギルドで討伐報告と証明部位を納品していたところに、街に残っていた子供たちが合流した。
「お帰りなさい、旅の準備は出来たよ。お父さんと大地さんの荷物はこのバックに入ってるから自分で持ってね。」
合流した萌花はそう言って大きなバックを2つ渡してきた。それを受け取りひとつを大地くんに渡して私の分は自分の無限収納にしまった。大地くんもバックを会得した無限収納にしまう。
「あっ、大地さんも無限収納が使えるようになったんだ。」
萌花の声に大地くんは頷いた。
「うん、聖剣に認められたことで使えるようになったんだ。レベルも上がったから足手まといにはならないつもりつもりだよ。」
子供たちはそんなことを話ながらギルドに置いてある談話用の椅子に腰掛けて話を始めたので、私とシールが依頼の完了報酬をもらった後、ギルド員に明日から旅に出ることを伝えた。ギルド員からともう少し留まってほしいと言われたがそれを断り子供たちを促して冒険者ギルドをあとにした。
「さて、建設ギルドと魔術師ギルドには挨拶は済んでるけど他に挨拶するところはあるか?無いのなら食事にするけど?」
私の問いに子供たちは首を横に振ったので近くの食堂に入ることになった。
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食事を終えたあと、私とシールは旅の予定をたてるため子供達と別行動をとることにした。子供達と別れた私たちは酒場の個室を借りてエールを2つとちょっとしたつまみを注文したあと、机に地図を拡げて神殿の位置とルートを確認する。
「大体のルートはわかったが神殿まで何日位かかるんだ?」
「何もなければだいたい徒歩なら10日位でつくと思う。メリッサたちには不測の事態に備えて食料と水は多めに用意するよう言っといたので大丈夫だ。」
「移動方法については今回は修行もかねているのでそれでいいだろう。問題は私も含めてだが武器の使い方についてはある程度はスキルで対応できるが知識に対して圧倒的に経験が足りてないということだ。」
私の言葉にシールが頷く。
「確かにそれについては実戦を積むしかないからな。俺とメリッサを相手にして経験を積むしかないだろうな。しかし、雅人さんがその事に気がついていたとはな。てっきりいままでの勇者のように平和ボケしていると思っていたけどそうじゃないんだな。」
「伊達に年はとってないよ。子供たちが見えていないものを見て、子供たちに危険が無いように立ち回るのも親の努めだからな。力を得たからといって大人の私が増長したら子供たちを危険に晒してしまう。それだけは防がないとな。おっエールがきたな。とりあえず飲むか?子供たちがいないときじゃないとのめないからな。」
「俺も付き合うぜ。メリッサがいると酒も飲ませてもらえないからな。」
「まあ、オッサンは女と子供に弱いってことだな。」
「チゲぇねぇや。・・・・って、俺はまだ24歳だ。オッサンじゃねぇよ。」
自分もオッサン扱いされたことに気がついたシールのノリ突っ込みを聞きながら私はエールを飲み干すと次のエールを注文しながらふと考えていた、
(シールって24歳だったのか。って年下かよ。)
と。
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次の日、私たちはタニアの街を出発して東にあるトレースの神殿に進路をとった。
「お父さん、今回は車で移動しないの?」
海人から聞かれたので、
「ああ、今回は10日位で着くみたいだから体力を付けるために徒歩で行くよ。それに野営の仕方とか色々覚えないと行けないからね。」
と答えておいた。実際はその他にも理由があり、シール達にこちらの手の内をすべて見せる訳にはいかないからだ。現状でシール達を信用しているのは事前に萌花と大地くんが集めた情報とシール達が持ってきた情報にズレが無かったこと、世界図書館でのじゃ神たちがシール達の身元を確認していたからに過ぎない。私自身がトレースと話をして色々と確認してみないことには全てを教える訳には行かないだろう。
「うん、わかったよ。それに魔物も倒してレベル上げないといけないしね。」
「ああ、そういうことだ。」
私は海人の頭を撫でると海人は少し照れながら、
「やめてよ、お父さん。」
と言って前を歩いている萌花達の方に走っていった。その姿を見て元の世界でも同じようなことがあったことを思い出し、
「世界が変わってもこういうところは変わらないんだな。」
とつぶやいていた。アルトリアに来てまだ16日、近い将来には色々な事が起きて変わってしまうだろう。でも、こういうところは変わってほしくない。それを守るために私は力を付けないといけないのだろう。先ずはトレースとの会談をしてからだ。私はそんなことを考えているとふと、誰かの視線を感じ咄嗟にそちらに視線を向けたが何もいなかったので首を捻りながら先を進む子供たちに追いつくために足を早めた。
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「なんだ、アイツは?こんなに離れてるのに俺様の気配に気付きやがった。」
デルオーズ様に言われたアーニアの領域への侵攻の手始めにタニアの街を見に来た俺様は街から旅立とうとしている奴等を見つけた。奴等の中にいる女三人が好みだったのでつけていったのだがまさか勇者である俺様の隠匿スキルを看破するとはな。あんなオッサンにコケにされるとはな。面白い。奴の目の前で女を犯すのも一興だ。俺様はそう思い付くと奴等にこっそりとついていくことにした。このときは、それが災厄の王ビリー・アグナロット物語の崩壊するとは思っていなかった。
仕事がひとつ終わるとふたつ入ってくる。雪だるまです。漢会の更新が今月も出来ないかも。




