トレースの使徒とオークの集落
遅くなりました。デスマーチ続行中のため続きは書き次第投稿します。
仕事が一段落着いた日、私たちは宿屋の食堂ではなく街で一番美味しいと評判の飯屋で食事をしていた。仕事がひと段落ついたら美味しいご飯を食べる。次の仕事に手を付ける前に気持ちをリセットするために地球にいた時からの習慣である。
「さて、ようやくランクも上がって仕事も一段落着いたことだし、明日は一日情報を集めて次に行く場所を決めたいと思うんだけどどこか行きたい場所はあるか?」
料理を食べたあと私が子供たちに聞いてみると萌花が、
「とりあえず魔術師ギルドで確認した限りこの周辺は光神トレース様とアーニアの信仰領域みたいよ。アマテラス様がこの世界の神の中でトレース様が一番話が分かるといってたんだからまずはトレース様の神殿に行ったほうがよくない?」
と答えた。たしかにその通りだ。トレースの使徒もこの街にいて私たちを十日ほど監視しているみたいだし明日の夕方にでも接触して神殿に案内させるのもいいだろう。
「わかった。では明日は旅に出る準備とトレース様の神殿について調べることにしよう。萌花と六花は大地くんと一緒に買い出しと市場で情報を集めてくれ。海人はお父さんと冒険者ギルドで情報集めだ。」
明日の行動について話し終わるとカウンターで食事代を支払い全員で外に出ると宿に向かって歩き出した。
しばらく歩いていくと後ろから誰かがつけてくる気配を感じた。
「雅人さん、だれかついてきてます。」
大地君も気づいたらしく私に声をかけてきた。私は測量スキルで脳内地図を作成した後、風魔法で空気の流れを作り、空間把握スキルで空気の流れを読み取り相手の人数と距離を確認しながら脳内地図に落とし込む。人数は男女二人で後ろに100メートルほど離れてついてきている。歩みの速度は私たちに合わせている。私は相手が鑑定魔法の射程内にいるため無詠唱で鑑定魔法を使用して相手が何者かを確認した。
「大地君、気にすることないよ。多分私に話があるみたいだからみんなは先に宿に戻ってなさい。」
鑑定魔法で相手の所属を確認した私はそういうと立ち止まり子供たちを先に行かせた。後をつけてきた二人が止まったのを確認すると振り向いて瞬動スキルを発動し一瞬で二人との距離を詰め声をかけた。
「十日くらいずっと監視していたみたいだけど私達になんの用ですか?」
突然現れた私に驚いた二人は後ろに下がる。女性の方は咄嗟に腰につけていた短刀を抜こうと手をかけたが男性に止められた。
「やめろメリッサ。俺の名はシール・メッケンボルス、こっちの奴はメリッサ・メルボルン。二人とも光神トレース様の使徒だ。あんたたちに危害を加える気は無いので安心してほしい。」
男の方はアーニアの神殿で傭兵と一緒に潜入していたやつだな。監視していた理由はおそらく信用できるかどうかの見極めだな。
「監視しててそれを信じろと言うのは難しいと思うんだけどね。まあ、神様から話は聞いてたからとりあえず信用しよう。私は神代雅人だ。トレース様の使徒が一体何の用ですか?」
私の言葉を聞いたシールは、
「監視していたことは謝る。しかし、それによって俺達はあんたたちが現状で我等と敵対しないと判断した。主の命によりあんたたちの護衛と神殿への案内をさせてもらう。」
と告げてきた。ある程度のことはのじゃ神様から聞いていたのでこちらとしても断る理由はないだろう。だが護衛をされてしまうと道中で魔物と戦いながら力の使い方を覚えるという目的がはたせない。
「ある程度のことはアマテラス様から聞いています。案内の件はお願いします。ただし、ひとつだけ条件として魔物との戦いは我々に任せてほしい。旅をしながらでも鍛えないとこれから先、生き残れないのでね。」
私の言葉を聞いたシールは少し考えたあと、
「わかった。そうさせてもらう。それとトレース様のところにいけばある程度の修行をすることが可能だから神殿に着いたら修行できるよう手配しよう。」
と言ってきた。
「了解した。出発は明後日を予定しているので明日は準備にあてようと思ってるのだがかまわないか?」
「ああ、こちらもその予定で動くようにする。」
そのあと、シールに神殿までの道のりと用意しなければならないものなどの情報を聞きながら宿に戻り二人を子供たちに紹介して旅の予定を話し合った。ちなみにシールは話しかけてくる前に同じ宿を取っていたため子供たちが眠ったあと、子供たちをメリッサに任せて遅くまでこの世界のことを教えてくれた。
翌朝、予定を変更して萌花、六花、海人はメリッサと買い出しに行かせて私は大地くんとシールを連れて冒険者ギルドに貼ってあったオーク集落の討伐依頼を受けると街の外に出ていた。理由は大地くんの戦闘訓練のためだ。ちなみに六花達のレベル上げについては冒険者ギルドのランクアップ時に三人ともレベル15まで上げたのだが大地くんについてはまだ8にしかなっていなかった。勇者として召喚されただけありステータスについては文句はないのだがこれからの旅のことを考えると不安だった。その話をシールに話すとオークは人と魔物の両方の性質を持っているため
いい訓練になるとのことである。
「大地くん、今回はあくまで訓練だから聖剣の使用は控えてくれ。まずは武器の力に頼らないようにしよう。」
「わかりました。」
大地くんはそう言うと武器屋で買った鉄の剣を取り出した。
「俺と雅人さんがサポートするが、もし命の危険を感じたら躊躇せずに聖剣を使用しろ。」
シールの言葉に大地くんが頷く。少し緊張しているみたいだ。
「ランクアップの時に狩ったやつに比べれば数は多いけど強さは大したことないから気楽にいこう。さてと、いこうか。」
私はそう言うと、大地くんは火魔法の詠唱を始めた。
「火の精霊よ。我力となり敵を燃やせ。ファイアボール!!」
大地くんが放ったファイアボールがオーク集落の入口に立っていた2体のオークに当たる。その音が開戦の合図となり大地くんとオーク達の戦いが始まった。
次の異聞録はシールさんです。書いてはいるのですが閑話で出す予定です。




