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この街で、僕は恋をした  作者: めい
第二章
8/33

3

放課後、僕は早足で校門に向かった。


「愛斗、待てって〜」


純平はだるそうに着いて来る。


「なにをそんな急ぐん。俺、裕子んとこ行かんとわりいんで?」


「俺は先に父さんとこ行っとく」


父さんのことだから、少しでも遅くなれば、ケーキ屋で待たずに校門前まで来そうな気がしたからだ。僕はそれが、とても嫌だった。


「愛斗、はえーよ!」


純平が僕にそう言うけど、僕は気に留めないようにした。だけど、それは無駄だった。


「吉田くーん、瀬能くん!」


先生と鉢合わせてしまったのだ。


「今、帰ろうとしよったやろ!もう!」


「だって愛斗がさあ」


僕は、少しハラハラしながら校門前を見る。向こう側は見えないけど、父さんはきっと来てない。


「はい、吉田くん、これお母さんにな。大事な資料やけん、必ず渡すこと!」


先生は純平に念を押し、僕を見た。


「もう、瀬能くんはしっかりしちょんに、何で一番仲良い吉田くんがこんなだらしないんかなあ」


僕は先生の目を見るだけでどきどきしてしまって、見るのがやっとだった。自分で思うよりもだいぶ、先生のことが好きなのかもしれない。


「だいたい、吉田くんはな…」


そう言いかけた先生の視線が違う方向を向き、先生はしゃべらなくなる。代わりに、聞き慣れた声がした。


「先生!お世話になってます!今日、家庭訪問やけん、よろしく頼んますね」


父さんが、校門から学校に入ってきた。僕の嫌な予感は的中し、僕は先生を見て、胸が締め付けられる思いだった。そう、僕は父さんと先生を、会わせたくなかった。そして2人が会うところを、僕は見たくなかった。


先生の好きな人は、僕の父さんだから。

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